令和3年度から4年度の2か年に渡り、千歳市官民連携まちなか活性化推進事業を実施し、グリーンベルト周辺のまちの中心部「まちの顔エリア」が目指すべき将来像を令和5年2月に「ちとせ未来ビジョン」としてまとめました。
このページでは、「ちとせ未来ビジョン」策定までの道のりと、策定された「ちとせ未来ビジョン」についてご紹介いたします。
「まちの顔エリア」の昔と今
複数の“商店街”や、かつてエスプラザビルにあった“ちとせデパート”などが栄えた中心部は、多くの人が行き交う「まちの顔」と言われていましたが、現在は、人口の増加やライフスタイルの多様化に伴い、郊外に住宅が増えたことで、この場所に訪れる人は年々少なくなり、日常的な活気は見えにくくなりました。
しかしながら、この中心部には個性を持った人たちが日々活動し、もっと魅力的な使い方ができる可能性を秘めた様々な空間資源があり、新千歳空港からの良好なアクセスにより発展したホテルや飲食などの一定の商圏もあります。
まちの中心部に再び日常的なにぎわいを取り戻すため、「まちの顔エリア」について、もう一度しっかりと見つめなおす必要があります。
「第3期千歳市商業振興プラン」の策定(令和3年5月)
千歳市の商業活性化を推進するため、令和3年度から令和7年度までを計画期間とする「第3期千歳市商業振興プラン」を策定しました。
「①チャレンジする商業」、「②商業の魅力向上」、「③歩いて楽しい人が集まるまちづくり」の3つの基本方針目標を柱とし、「変化の中から創出する新たな商業」の実現に向けて千歳市の商業活性化を目指しています。
まちの顔エリアにおいては、「③歩いて楽しい人が集まるまちづくり」を基本方針として、にぎわい再生を図るため、官民連携によるエリアマネジメント等のあり方について検討することとしています。
※ 官民連携とは
…地域が抱える課題に対して、行政と民間が連携して、それぞれの強みを生かすことによって、最適な公共サービスの提供を実現し、地域の価値や住民満足度の最大化を図るもの。公共施設等の建設、維持管理、運営等を行う場合に活用されることが多いが、近年では官民連携の枠組みをまちづくりに活用するケースも多い。
※ エリアマネジメントとは
…特定のエリアにおいて、その地域に固有の社会課題の解決やエリアの価値向上を目的として、地域が主体的に行う取組のこと。
「ウォーカブル推進都市」への参画(令和4年1月)
国土交通省では、「ウォーカブルなまちづくり」を推進することにより、居心地が良く歩きたくなるまちなかの形成を進めています。
世界中の多くの都市で、街路空間を車中心から“人中心”の空間へと再構築し、沿道と路上を一体的に使って、人々が集い憩い多様な活動を繰り広げられる場へとしていく取組が進められています。これらの取組は都市に活力を生み出し、持続可能かつ高い国際競争力の実現につながっています。
※ ウォーカブルなまちづくりとは
…国土交通省により、令和元年ごろから推進されている新たなまちづくりの方針。ウォーカブルなまちなかの推進にあたり、キーワードとなる4つの要素、Walkable(ウォーカブル:歩きたくなる)、Eye level(アイレベル:まちに開かれた1階)、Diversity(ダイバーシティ:多様な人の多様な用途、使い方)、Open(オープン:開かれた空間が心地よい)の頭文字を取った“WE DO”がキーワードとなっている。
国土交通省では、「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の形成を目指し、ウォーカブルなまちづくりを共に推進する自治体(ウォーカブル推進都市)を募集しており、本市は第3期千歳市商業振興プランにおいて、「③歩いて楽しい人が集まるまちなか」を基本方針の一つに掲げているため、本市もウォーカブルを推進するまちとして応募し、令和3年度から参画しています。
参考 : 国土交通省 ウォーカブルポータルサイト
「ちとせエリアプラットフォーム」の立ち上げ(令和3年6月)
ちとせ未来ビジョンの策定に向けて、地元商業者や経済団体、学識経験者や学生など、官民の幅広い関係者が参画して、社会実験やワークショップなどを行いながら、まちの顔エリアの将来像やまちづくりの取組の方向性について議論・共有する組織として、「ちとせエリアプラットフォーム」を立ち上げました。
・ ちとせ未来ビジョンの策定時のメンバー
ちとせエリアプラットフォームメンバー(令和5年2月時点) (PDF 76.5KB)
・ 現在のメンバー
ちとせエリアプラットフォームメンバー(令和6年6月時点) (PDF 67.3KB)
ちとせ未来ビジョン策定に向けた「社会実験」(令和3~4年度)
社会実験とは、広義の意味では、新たな制度や施策の導入に先立ち、場所や期間を限定して試行することで、その制度や施策の有効性などを検証するものです。
まちの顔エリアにおいては、公共空間の新たな使い方による可能性や、民間と行政による官民連携の効果を探ることを目的に、社会実験を実施しています。
秋のアウトドアイベント in the PARK CHITOSE (令和3年11月)
グリーンベルトの新たな使い方等を検証するため、「焚き火」を使用したアウトドアイベントを実施しました。
その結果、「グリーンベルト×秋×焚き火」のような、季節に合った空間をつくることで、居心地の良さを向上させることができるとわかりました。
ちとせ未来ビジョン検討のヒント : 「日常的な賑わい(居心地の良い空間づくり)」の可能性
冬のお試しプロジェクト hyphen-CHITOSE (令和4年2~3月)
まちの顔エリアで開催される、実施時期が近く、テーマに親和性のある複数のイベントについて、相互に連携した情報発信をすることによる相乗効果を検証しました。
その結果、共通のハッシュタグなどを使用したことで情報の発信力が高まり、SNSアカウントのフォロワー数が増加することなどがわかりました。
ちとせ未来ビジョン検討のヒント : 「効果的な情報発信(情報発信の工夫)」の可能性
空と川のOUTDOOR*FESTIVAL (令和4年7月)
官民の団体・事業者が連携することによる集客力や経済性(採算性)の相乗効果を検証するため、市内最大の集客力を誇る「千歳のまちの航空祭」に合わせて、千歳市×自衛隊×Possibility.Labo×千歳青年会議所の4者による、グリーンベルト一帯を使用したアウトドアイベントを実施しました。
また、周辺の商店街では、歩道上にテーブルや椅子を設置することにより、イベント会場外への回遊を促す検証も行いました。
その結果、官民連携による集客力、経済性(採算性)の相乗効果があることと、来場者に商店街や周辺店舗への回遊を促す声掛けも行ったことで、商店街を訪れた人の滞在時間が長くなったこともわかりました。
ちとせ未来ビジョン検討のヒント : 「空間資源の活用(場の特長を活かしたコンテンツの充実)」、「ウォーカブルなまちなか(歩行者ネットワークの充実)」の可能性
「空と川のOUTDOOR*FESTIVAL」についての詳細はこちら
CHITOSE RIVER SAUNA (令和4年9月)
千歳川を活かした新たな使い方を検証するため、グリーンベルトにコンクリート製サウナ「CUBERU」やテントサウナを設置したほか、千歳川を水風呂に、河川敷の芝生を「ととのう」場所にすることや、サウナ飯・ドリンク、焚き火、音楽も楽しめる環境をつくるサウナイベントを実施しました。
その結果、千歳川や河川敷を有効活用することで、居心地の良さを向上させることができるとわかりました。
また、このイベントをきっかけに、さらなる動きとして、エリアプラットフォームのメンバーである成田 智哉氏が主催者となり、イベントを通じてつながった参加者同士で千歳のまちの未来について語り合う「CHITOSE MIRAI KAIGI」がドレモルタオ カフェで開催され、官民連携のエリアマネジメントを進める機運醸成につながりました。
ちとせ未来ビジョン検討のヒント : 「空間資源の活用(場の特長を活かしたコンテンツの充実)」、「人づくり(人材の発掘、確保、育成とその仕組みづくり)」の可能性
社会実験から得られたヒント
これらの社会実験の結果、ちとせ未来ビジョンの検討のヒントとなる課題が下記のとおり見えてきました。
・ まちの顔としての魅力の向上、日常的な賑わいの創出が必要
・ エリアにあるグリーンベルトや千歳川などのまちの資源の有効活用が必要
・ エリアに関わる人たちが一致団結して取り組む機運の醸成(「心がけ」や「仕組み」の整理)が必要
・ 主体的にまちづくりに取り組む人材の獲得が必要
「ちとせ未来ビジョン」の策定 (令和5年2月)
社会実験の結果も踏まえながら、ちとせエリアプラットフォームで議論を重ね、令和5年2月に「ちとせ未来ビジョン」が完成しました。(下記の画像は一部のみ抜粋。)
ちとせ未来ビジョン(全体).pdf (PDF 15.8MB)
このちとせ未来ビジョンでは、まちの顔エリアが目指すべき将来像を「たくさんのヒト・モノ・コトが集まり、楽しく過ごせるまちのリビング」として掲げています。
また、エリアの具体的なイメージは下記のとおりです。
・ 人づくり…誰でもまちづくりに参画し絆を育んでいくエリア
・ 空間資源の活用…グリーンベルトや千歳川などの資源を活用して楽しみと出会えるエリア
・ 日常的な賑わい…交流とコミュニケーションの拠点となり経済の活性化につなげるエリア
・ ウォーカブルなまちなか…歩いて楽しい回遊したくなるエリア
・ 効果的な情報発信…情報を通じて多様な人とまちがつながるエリア
ちとせ未来ビジョンの実現に向けた取組(令和5年度~)
ちとせ未来ビジョンの実現に向けて、各種取組を進めています。
「ちとせ未来ビジョンの実現に向けた取組」についての詳細はこちら