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令和2年度教育行政執行方針

 

はじめに 

 

 令和2年第1回定例市議会の開会にあたりまして、令和2年度の教育行政執行方針を申し上げます。

 令和という新たな時代を迎え、グローバル化の進展や絶え間ない技術革新等によりIoTやAIが新たな価値を生み出すSociety5.0の社会が到来する中、未来を担う子どもたちがこれから生きていくために必要な資質・能力を確実に備えることのできる教育が求められています。

 

 令和2年度から小学校で完全実施される新学習指導要領においては、これからの時代に求められる教育を実現していくため、必要な学習内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくことが重要としております。

 

 こうした国の動向を踏まえ、「ふるさと千歳に感謝し ふるさと千歳を愛し ふるさと千歳の発展を祈り 千歳の未来を託す」という千歳市学校教育基本計画の基本理念のもと、子どもたちが学ぶ意義を実感できる環境を整え、学校・家庭・地域が協力して教育活動のさらなる充実を図ることができるよう教育施策を推進してまいります。

 

 また、生涯学習の充実にあたっては、市民一人一人が学習活動を通して学んだ成果を生かし、住みよい暮らしや市民主体の地域づくりにつなげていくため、生涯にわたって学習や課題に取り組むことができる環境づくりを進める必要があります。

 

 このことから、「千歳市総合教育会議」における議論などを通じて、「千歳市教育大綱」の基本目標の実現を目指し、本市の教育、学術及び文化の振興について総合的かつ計画的に推進してまいります。

 

 教育行政の基本姿勢

 

 ここで、今後の教育行政に臨む基本姿勢について申し上げます。

 

 一つ目は、『未来への飛翔・すべては子どもたちのために』であります。

 

 未来を担う子どもたちが生き生きと活動し、探求心を持って学ぶ姿は、まち全体を元気づけ、将来への希望を感じさせます。
 子どもたちが主体的に学び、他者との対話を通じて多様な価値観を理解するなど、新しい時代に求められる資質・能力を身に付けられるよう「千歳市学校教育基本計画」に基づき、各種教育施策に取り組みます。

 

 二つ目は、『学びの意欲と豊かな心を育む文化のまち』であります。

 市民の主体的な学習活動は、自らを高め、心を豊かにするとともに、まちの魅力を高め、住みよい暮らしや市民主体の地域づくりの活力となります。
 このため、「千歳市生涯学習基本計画」に基づき、地域の教育資源などを生かし、活力ある地域社会の実現に向けた仕組みづくりを推進するとともに、様々な学習や文化芸術活動を通じて、「人づくり・地域づくり・まちづくり」につながる生涯学習社会を構築してまいります。

 

 また、引き続き教育に関する施策を総合的・体系的に進めていくため、令和3年度を始期とする次期計画につきましては、千歳市学校教育基本計画と千歳市生涯学習基本計画を統合した、新たな基本計画として策定してまいります。

 

 教育重点施策

 

 次に、令和2年度の教育重点施策について申し上げます。

 第1に、『確かな学力の向上』であります。

 

 新しい時代を生きる子どもたちが、生きて働く「知識・技能」、未知の状況に対応できる「思考力・判断力・表現力」、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性」の3つの資質・能力を身に付けるためには、基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得し、これらを活用して新たな課題を解決する深い学びを創造することが必要です。

 各学校においては、「主体的・対話的で深い学び」の視点から、子どもたちが主体的に学び、他者との対話を通じて考えを広げ、学びを人生や社会の在り方と結び付けて理解し、生涯を通じて能動的に学び続ける姿を目指して、学習の質を一層高める授業改善の取組を進めるとともに、引き続き、習熟度別少人数指導やICTを活用した教育の推進など、確かな学力の向上に向けた取組を進めます。

 第2に、『教育環境の整備』であります。

 

 学校施設は、子どもたちの学習・生活の場であることから、安全・安心な教育環境を確保するため、計画的に施設の改修などを進めます。
北陽小学校については、過大規模校の状態を解消し、教育環境の改善を図るため、分離新設校となる「(仮称)みどり台小学校」の令和4年4月開校に向けた取組を進めます。

 

 第3に、『外国語教育の充実』であります。

 

 社会のグローバル化の進展に伴い、異文化理解や異文化コミュニケーションの重要性はますます高まっており、こうした社会に適応するために英語力の向上は必要不可欠な課題となっています。
 新学習指導要領において、小学校高学年での外国語教科化や中学年での外国語活動の導入など外国語教育が拡充されることを踏まえ、教員の指導力向上を目的とした校内研修の実施や、外国人英語指導助手(ALT)の増員による、聞くこと・話すことの指導の強化など、外国語教育の充実を図ります。

 

 第4に、『いじめ・不登校の対策』であります。

 

 いじめ問題への対応は、「千歳市いじめ防止基本方針」に基づき、「いじめは人間として絶対に許されない」という確固たる認識と毅然とした態度で取り組むとともに、いじめの未然防止、早期発見・迅速な対応に努め、その根絶に向けて学校・家庭・地域等との連携により取り組んでまいります。
また、不登校の児童生徒への対応については、要因や背景を的確に把握するよう教員とスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが情報を共有し、学校内での組織的な支援を行うなど児童生徒の学校復帰に向けた取組を推進します。

 第5に、『生涯学習の推進』であります。

 

 活力ある地域社会の実現のため、まちづくり・人づくりにつながる市民活動を支援するとともに、市民ニーズに応じた学習機会の充実や文化芸術の振興、文化財の保護と活用、青少年の健全育成の取組を進めます。

 

  主な施策  <学校教育の推進>  

 

 次に、「千歳市学校教育基本計画」の基本理念を実現するための3つの基本目標について、主な施策を申し上げます。

 

 第1は、『ふるさと千歳への感謝と希望を育てる』であります。

 

 学年・学級経営については、望ましい学級集団の形成が児童生徒育成の基礎となることから、ハイパーQU検査を活用するなど、学年・学級経営の点検・改善に努め、互いに支えあい高めあう親和的な学級づくりを進めます。

 

 教育相談の体制については、不登校やいじめなど、生徒指導上の課題に対応するため、学校・スクールソーシャルワーカー・スクールカウンセラー等の連携により、学校内での組織的な相談体制の充実を図り、学校生活に不安を抱える児童生徒及び保護者へのきめ細かな対応に努めます。

 

 いじめ問題については、児童生徒一人一人が、元気で明るく学び、健やかに成長していくことができるよう、学校や「いじめ問題等対策連絡協議会」等との連携を強化し、いじめ問題への総合的かつ適切な対応を図るとともに、教育相談やいじめアンケート調査を通じて児童生徒の変化や状況を把握し、いじめの未然防止や早期発見・早期対応に努めてまいります。

 

 不登校対策については、学校・家庭・関係機関との連携を図るとともに、スクールソーシャルワーカーの増員など相談・支援体制の充実により、子どもたちの実態や不登校の要因を的確に捉え、不登校の早期解消に努めるほか、適応指導教室「おあしす」での集団生活への適応や生活習慣の改善のための相談・指導を行うなど、不登校児童生徒の一日も早い学校復帰に取り組みます。

 

 学校施設については、安全・安心な教育環境を確保するため、講堂の床・屋根の改修、トイレの洋式化などを実施するとともに、「(仮称)みどり台小学校」の校舎・講堂の建設に着手します。

 防災・安全教育については、相次ぐ自然災害や子どもが被害者となる交通事故・犯罪の全国的な発生を踏まえ、子どもたちが自ら危険を回避する力を育てるため、災害発生を想定した避難訓練や保護者への引渡し訓練などを実施します。

 

 就学支援の充実については、経済的な理由によって就学が困難な児童生徒への支援を適切に実施するほか、修学旅行費の支給時期の見直しなど支給方法の改善に努めます。
 また、修学・進学への意欲・能力がある学生生徒を支援するため、引き続き給付型奨学金を交付します。

 

 家庭の教育力の向上については、基本的な生活習慣の確立と家庭における子どもたちへの働きかけが重要であることから、千歳市PTA連合会などとの連携による「家庭生活宣言」の普及啓発等を通じて、規則正しい生活習慣や学習習慣、社会生活ルールやマナーの習得に努めます。

 

 地域の教育力の向上については、学校が抱える課題の複雑化に対応するため、学校と地域が目標やビジョンを共有し、連携・協働して子どもたちを育む「地域とともにある学校」を目指し、市内全校でコミュニティ・スクールを導入します。

 

 子どもたちの安全・安心については、児童生徒を犯罪や事故から守り、登下校等の安全を確保するため、「千歳っ子見守り隊」の取組を推進するとともに、児童生徒の緊急避難場所となる「子ども110番の家」の拡充を継続するなど、子どもたちの安全確保に努めます。

 第2は、『国際都市千歳にふさわしいグローバルな感覚を育てる』であります。

 

 教職員の資質・能力の向上については、学校指導訪問を通じて学習規律の徹底や授業改善に向けての指導・助言を行うほか、各種研修の開催を継続します。
 また、教員が心身の健康を維持しながら、教育活動に意欲的に取り組むことにより、教育の質を向上させ、子どもたちが心身ともに健やかに成長できる環境づくりを目指す「千歳市立学校における働き方改革推進計画」に基づき、勤務時間外の留守番電話対応や教職員の勤務管理、学校閉庁日・部活動休養日の設定など、引き続き学校における働き方改革を推進します。

 

 学校間の連携・接続については、義務教育9年間を見通した系統的な教育活動や小中学校の円滑な接続を図るため、「千歳市小中連携・一貫教育推進基本方針」に基づき、4つの中学校区をモデル校区に指定し、小中学校12校において調査研究に取り組むとともに、これまでの調査研究事業の成果を踏まえ、令和3年度からの市内全校での小中連携・一貫教育実施に向けた準備を進めます。

 

 ICT教育については、新学習指導要領に基づき児童生徒の情報活用能力を育成するため、学習活動において積極的にICTを活用できるよう、校内通信ネットワークや学習者用コンピュータなどの環境整備を計画的に進めるとともに、教員のICT機器活用能力の向上を図るため、各学校における校内研修や長期休業期間を利用した研修を実施します。

 

 国際理解教育については、総合的な学習の時間などで外国の文化に触れる機会を充実するとともに、姉妹都市アンカレジ市サンドレイク小学校、ミアーズ中学校との相互交流を通じて、多様な考え方を学び異文化に親しむ取組を支援します。

 

 第3は、『知的な探究心を持ち積極的に行動する力を育てる』であります。

 

 確かな学力を育成する教育の推進については、ICTの活用をはじめ、ハイパーQU検査の実施・分析による落ち着いた学習環境の構築や学習支援員の効果的な活用による習熟度別少人数指導の一層の推進、千歳市学力向上検討委員会による提言を踏まえた授業改善の取組の徹底と検証など、学習指導の充実を図ります。

 

 読書活動については、子どもたちの読書活動の充実を図るため、「ちとせっ子読書プラン」を推進するほか、全小中学校に配置している学校司書を活用し、読書相談や調べ学習でのアドバイスなど、学校図書館の充実を図ります。

 

 体験的な活動については、「千歳市アクティブスクール事業」等の取組により、地域の人材を招いた講話や空港など本市特有の資源を活用した多様な体験活動を行うとともに、地域企業等の協力を得て職場見学や就業体験などの取組を進めます。

 

 体力・運動能力については、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果において、新体力テストの実施方法改善に向けた実践協力校の取組の成果が表れていることから、引き続き成果の見られる取組の普及を図るとともに、楽しい体育・保健体育の授業づくりのため、児童生徒が課題を発見し、解決に向けて話し合い・助け合う行動を充実させるなど、授業改善や運動習慣の定着に向けた取組を進めます。

 

 学校給食については、安全・安心で、よりおいしい給食を提供するため、引き続き新しい献立の追加や味付けを工夫するほか、適温で牛乳を提供するための保冷庫の整備を進めるなど、学校給食の改善と衛生管理に努めます。

 

 新学校給食センターの整備については、基本構想で示した方向性を踏まえ、整備の内容や時期について、今後も継続して検討してまいります。

 

 健康教育については、栄養摂取の偏りや食習慣の乱れ等を原因とする肥満や生活習慣病など、現代的な健康課題に早期の理解を促すため、食事や運動、休養などの大切さを指導する健康教育を推進します。

 

 特別支援教育については、一人一人の教育的ニーズに応じた指導や支援を行うため、教育相談を通じた適切な就学先の決定に努めるほか、東小学校、青葉中学校、駒里中学校及び北斗中学校に新たに特別支援学級を設置し教育環境の充実を図るとともに、引き続き特別支援教育支援員や児童生徒ヘルパー、医療的ケアを行う学校看護師の配置を進めます。

 

  主な施策  <社会教育の推進>  

 

 次に「千歳市生涯学習基本計画」の基本目標を実現するための6つの推進方向について、主な施策を申し上げます。

 

 第1は、『いつでも、どこでも、だれもが学びあえる仕組みづくりの推進』であります。

 

 市民の自主的な学習活動や交流活動の支援については、「千歳学出前講座」や「生涯学習フォーラム」、生涯学習まちづくりフェスティバル「ふるさとポケット」を実施するなど、市民の学びあいによる学習活動や交流活動の充実に努めます。

 

 まちづくり活動を行うセンター機能については、市民活動交流センター「ミナクール」において、市民活動の情報提供や相談機能の充実を図り、市民の自主的な活動と交流を支援します。

 

 まちづくりを行う人材や団体の育成については、「みんなで、ひと・まちづくり委員会」による千歳の魅力づくりに関わるリーダー養成事業を実施するなど、まちづくりの担い手の育成に努めます。

 

 地域の力による子どもたちの活動支援については、「学校支援地域本部事業」を市内全ての小中学校で実施し、地域住民の知識や経験を生かした教育活動の充実に努めます。

 

 第2は、『社会の変化や今日的課題などに対応した、様々な学習機会の充実』であります。

 

 市民ニーズに応じた学習機会については、「市民教養セミナー」を実施し、社会的課題に対応した学習内容の充実に努めます。

 

 高齢者の学習機会については、「千歳高星大学」や「千歳高星大学大学院」において、生きがいのある人生や地域社会への貢献に向けた学習機会を提供するとともに、趣味や教養を高める「若返り学園」を実施します。

 

 家庭教育に関する学習機会については、「ママさん教室」や「男性の子育て講座」、「家庭教育セミナー」を開催し、子育てに必要な知識を学ぶ機会や家庭教育について考える機会を提供してまいります。

 

 第3は、『市民ニーズに対応し、安全で快適に利用ができる社会教育施設の充実』であります。

 

 社会教育施設の機能の充実と計画的な改修・更新については、北ガス文化ホールで計画的に実施している大ホールステージの吊物ワイヤーの交換のほか、千歳公民館分館の外壁・屋根の改修などを実施します。

 

 第4は、『多様な文化鑑賞機会の充実と文化活動の支援』であります。

 文化鑑賞機会の充実については、幅広い世代の市民に多様な文化芸術に触れる機会を提供するため、北ガス文化ホールにおける音楽・演劇などの公演や、市民ギャラリーにおける絵画・写真等の作品展など、市民ニーズを反映した魅力ある事業を実施します。

 

 読書環境の充実については、市立図書館の図書資料の充実に努めるとともに、土・日曜日や祝日における開館時間の更なる拡大や、来館が困難な高齢者や障がい者に対する「図書宅配サービス」を新たに実施します。

 

 文化関係団体等の育成と活動の支援については、各団体の活動状況を「生涯学習情報メールマガジン」やホームページで紹介するとともに、引き続き、活動成果の発表機会の充実に向けた支援や、文化の向上と振興に貢献された方に対する表彰を実施します。

 

 第5は、『文化財の保護と継承』であります。

 

 文化財の保護と継承については、国指定史跡「キウス周堤墓群」や「ウサクマイ遺跡群」、市指定史跡「美々貝塚」をはじめとする遺跡の保護に努めるとともに、市指定無形民俗文化財である「アイヌの伝統的芸能と工芸技術」や「泉郷獅子舞」の保存・伝承活動を支援します。

 

 国指定史跡「キウス周堤墓群」については、本年度の保存活用計画の策定に引き続き、整備基本計画を策定するとともに、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部や関係自治体などと連携し、キウス周堤墓群を含む「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産登録に向けた取組を進めます。

 

 埋蔵文化財の普及啓発については、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産をテーマとした講演会や、市内の遺跡等に関する企画展、遺跡見学会、体験学習会を実施するほか、新たにキウス周堤墓群の子ども向けパンフレットを作成します。

 

 第6は、『思いやりの心とチャレンジ精神を育む青少年の健全育成活動の推進』であります。

 

 青少年の健全育成活動の推進については、公益財団法人千歳青少年教育財団との連携により、各種教育事業を実施するなど、青少年が地域の中で健やかに育つ環境づくりに努めます。

 

 体験活動等の充実については、「イングリッシュキャンプ」や「チャレンジ教室」を開催し、子どもたちが英語や科学などへの理解を深める学習機会の充実に努めます。

 

むすび

 

 以上、令和2年度の教育行政執行にあたっての方針と重点施策及び主な施策について申し上げました。

 

 子どもたちが生き生きと学び成長し、市民一人一人が生涯にわたって学習し、その成果を地域で生かすことができるよう、学校や家庭、地域、関係機関・団体などと連携を図り、様々な教育課題を的確にとらえながらスピード感を持って精力的に取り組み、市民の期待と信頼に応えられる教育行政を推進してまいります。

 

 市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

 

 

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