(はじめに)
平成28年第1回定例市議会の開会にあたりまして、市政執行に対する
私の所信を申し上げます。
全国的に人口減少が進む中、本市は、人口増加を続けている数少ないま
ちであります。国は、地方に活力や人口を取り戻すため、一昨年11月に
「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、全ての地方自治体に中長期的な
人口の将来展望と地方創生に向けた目標や施策等を内容とする「地方人口
ビジョン及び地方版総合戦略」の策定を今月までに求めたところでありま
す。
本市におきましては、こうした地方創生の動きに先んじて、昨年3月に
「千歳市移住・定住促進プロジェクト」を策定し、平成32年度の目標人
口を9万7千人と掲げ、その達成を目指して定住促進に向けた各種施策を
進めるとともに、本プロジェクトを強化発展させ、今般、「千歳市人口ビ
ジョン・総合戦略 ~みんなで97,000プロジェクト~」を策定し、
地方創生に向けた取組をさらに進めます。
また、中間年を迎えた「千歳市第6期総合計画」におきましても、内容
の見直しとともに、平成32年度の将来人口を9万5千人から9万7千人
に上方修正し、戦略的に人口増加を目指すこととしたところであります。
人口は、まちの発展の原動力であり、その対策は、本市の最重要課題で
ありますことから、「第6期総合計画」を着実に推進し、総合力の高いま
ちづくりを進めるとともに、「総合戦略」などにより移住・定住促進策を
総合的かつ効果的に進めることにより、平成32年度の将来人口9万7千
人の達成に全力で取り組んでまいります。
(市政運営の基本姿勢)
ここで、今後の市政に臨む基本姿勢について申し上げます。
第1は、『市民協働により、住み良い、発展がつづく都市づくり』であ
ります。
本市の発展の歴史を振り返りますと、大正15年、当時の千歳村民が総
出で無償の汗を流し、原野に作り上げた一本の着陸場が、現在の新千歳空
港につながっていることに始まりますが、先人は私たちに、この貴重な財
産とともに、「事に当たって一致団結する」という精神も同時に残してい
ただきました。
少子高齢化や人口減少など、地方を取り巻く環境は厳しいものがありま
すが、このような状況にこそ、この精神に基づき、市民と行政がそれぞれ
の役割を担い、まちの発展を支え合う、市民協働によるまちづくりを進め
ることが重要であります。
このようなことから、まちづくりの目標を『市民協働により、住み良い、
発展がつづく都市づくり』と掲げ、今後も、市民一人ひとりが真に夢を持
ち、その夢が実現できる都市づくりを推進してまいります。
第2は、『みんなで生き生き 活力創造都市 ちとせ』であります。
本市のまちづくりの基本指針として平成23年度にスタートしました
「千歳市第6期総合計画」は、その後の社会経済情勢の変化や計画の進捗
状況等を検証し、中間年である平成27年度に内容を見直したところであ
ります。
この見直しを踏まえ、一段と本計画の着実な推進を図り、平成32年度
の将来人口9万7千人を達成するとともに、一人ひとりの市民の皆さまが
夢と希望が持てるまちづくりを目指し、将来都市像『みんなで生き生き 活
力創造都市 ちとせ』の実現に邁進してまいります。
(当面する課題への対応)
次に、当面する課題について申し上げます。
1点目は、「地域経済の活性化」であります。
我が国の経済は、雇用・所得環境の改善に伴う個人消費の持ち直しや、
特に好調な外国人観光客数の増加などを背景に、一定の回復の兆しが見受
けられるものの、依然として厳しい状況があるものと考えております。
このことから、企業誘致による雇用の場の創出をはじめ、本市が持つ優
れた観光資源やスポーツ施設等を活用して、観光振興やスポーツ合宿の誘
致などによる地域経済の活性化や交流人口の拡大を図るなど、まちの活力
の増加につながる取組を進めてまいります。
さらに、平成28年度を初年度とする新たな「千歳市商業振興プラン」
等により、商業者、関係機関、行政が連携して商店街や中心市街地の活性
化を図るなど、まちの賑わいづくりや商業振興につながる取組を進めてま
いります。
2点目は、「定住促進」であります。
人口の減少は、地域経済の縮小や市の財政基盤等への影響が懸念される
ほか、町内会活動や地域防災力など市民生活の活力低下を招くなど、地域
の存立基盤に関わる深刻な問題です。
このことから、本市が持つ資源や優位性を生かし、企業誘致の推進や自
衛隊の体制強化、子育て支援、教育環境の充実等、これまで定住促進につ
ながる様々な施策に取り組んできたところであります。
人口の増加が続いている現状において、この機を生かし、新たな「総合
戦略」をはじめとする様々な定住促進施策を複合的に進める相乗効果によ
り、定住人口の拡大を目指してまいります。
3点目は、「新千歳空港の24時間運用枠拡大と民営化への対応」であ
ります。
新千歳空港の24時間運用枠拡大については、昨年8月に地域の理解に
より30枠拡大が合意されました。現在、枠の拡大に伴う「住宅防音対策」
及び「地域振興対策」について住民説明会を開催していることに加え、実
施主体である公益財団法人新千歳空港周辺環境整備財団については、平成
28年度から人員体制等を強化し、住宅防音対策等が円滑に実施できるよ
う取組を進めてまいります。
新千歳空港の民営化については、国が新千歳空港の民営化に前向きな姿
勢を示しており、北海道は、昨年12月に道内空港の関係者で構成する検
討会議を開催し、「今月までに道内空港民営化に関する課題整理等を行う
方針」を示していることから、今後、具体的な検討が進む見通しでありま
す。
北海道の玄関口である新千歳空港の民営化にあたりましては、空港の競
争力向上、安全・安心対策や空港周辺環境対策、航空自衛隊千歳基地との共
存共栄、空港従事者の雇用継続などの課題に適切に対応する必要があるほ
か、将来にわたり安定的な経営の継続、新規路線の誘致、地元地域や北海
道全体の産業の発展、観光の振興に資することなどが重要な視点となりま
す。
市といたしましては、今後とも、様々な観点から対応の方向性を検討し、
北海道が設置する検討会議などの機会を通じて、本市の考え方を述べるな
ど、取組を進めてまいります。
4点目は、「自衛隊の体制強化」であります。
防衛省は、防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画で示された「統合機
動防衛力」を具体化するため、部隊の改編や新編などを本格的に行ってい
くと考えられ、その基となる現在の「中期防衛力整備計画」は、平成28
年に国際情勢、財政事情等の内外諸情勢を勘案し、必要に応じて見直しを
行うとされており、厳しい国家財政の影響を受けて、北海道の部隊が削減、
縮小の対象となることを危惧しているところであります。
また、改編等が予定されていない部隊についても、配置される実員数は
定員数を大きく下回るなど、充足率が著しく低い状況にあります。
本市は、自衛隊とともに発展してきたまちであり、市内に居住する隊員
が減少することは、北の守りや災害発生時の対応など安心・安全確保とい
う面から市民の不安が増大するほか、地域経済やまちづくりにも深刻な影
響を及ぼすこととなります。
これらのことから、既存の部隊の充足率向上に加え、新たな部隊の配置
や地域コミュ二ティとの連携を防衛省及び関係機関に要望していくととも
に、「北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会」による「北海道における自衛隊
の体制強化を求める中央大会」を8月に実施するなど、引き続き、体制強
化を求める活動を強力に行ってまいります。
5点目は、「持続可能な行財政運営」であります。
急速な人口減少や少子高齢化などによる社会経済状況の変化に伴い多様
化・複雑化する市民ニーズに的確に対応するためには、行財政運営の効率
化や適正化が必要となることから、行財政改革を引き続き進めるとともに、
財政運営のあるべき姿を定めた「千歳市財政標準化計画」に基づき、安定
的な財政基盤の確立に努めてまいります。
また、多くの公共施設等を維持して行くためには、多額の更新・修繕費
用等が見込まれることから、全体の状況や将来の見通し等を踏まえ、財政
状況と経費のバランスを取りながら、改修・更新・長寿命化等を計画的に
行う必要があります。このことから、基本的な方針として、「千歳市公共
施設等総合管理計画」を平成28年度に策定し、効果的で効率的な行財政
運営を進めてまいります。
(重点施策)
私は、まちづくりの目標を実現するため、「3つの活力と3つの安心」
を柱として60項目の公約を掲げたところでありますが、各施策を取り組
むにあたり、特に重点化を図る施策について申し上げます。
第1に、「経済・雇用」であります。
地域経済の活性化と雇用の拡大を図るため、企業誘致や定住施策を積極
的に推進するとともに、本市の持つ優れた資源を生かした観光振興やスポ
ーツ合宿の誘致等、交流人口の拡大を進めます。
第2に、「市民協働・地域活動」であります。
市民協働のすそ野を広げる取組を進め、市民協働のさらなる浸透を図る
とともに、市民の地域における活動が充実するよう、町内会館の新築・改
修の支援やコミュニティセンターの備品整備を行います。
第3に、「医療・福祉」であります。
市民が必要とする医療体制の充実をはじめ、休日夜間急病センターの新
設により救急医療体制の整備を進めるとともに、高齢者や障がい者が安全
に安心して自立した生活を送ることができるよう地域福祉の充実に取り組
みます。
第4に、「子育て・教育」であります。
男女の出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで切れ目のない支援を行
い、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを進めます。
また、小中学校にICT機器を設置するなど教育環境の充実を図るとと
もに、安定した学校給食を提供できるように新たな学校給食センターの整
備に向けた取組を進めます。
第5に、「環境・防災」であります。
本市を含む近隣の2市4町で構成する道央廃棄物処理組合により、ごみ
処理広域化を進め、環境負荷の低減などを図るほか、防災備蓄倉庫の整備
や防災行政無線のデジタル化に取り組むなど、市民が安全で安心して暮ら
せるための環境づくりを推進します。
(主な施策)
次に、「第6期総合計画」の目指す都市像を実現するための、6つの
「まちづくりの基本目標」に沿って、主な施策を申し上げます。
第1は、『あったかみのある地域福祉のまち』の推進であります。
地域福祉については、市民主体の地域福祉活動やボランティア活動の促
進を図り、「お互いに支え合い、安心して暮らし続けられる、あったかみ
のあるまち」の実現を目指します。
昨年4月に開始した「生活困窮者自立支援事業」については、生活困窮
世帯の中学生を対象として開設した「ちとせ学習チャレンジ塾」に、新た
に高校生も対象とするとともに、コミュニケーション能力に課題があるな
ど、通常の就職活動では就職することが困難な方を対象とする「就労準備
支援事業」に新たに取り組みます。
保健予防対策については、新たな「千歳市健康づくり計画」に基づき、
幅広いライフステージに応じた生活習慣の改善や、生活習慣病の早期発見・
重症化予防に向けた健康づくりを進め、健康な市民の増加を目指します。
また、自殺の要因となるこころの病気への気づきや適切な対応を促すた
め普及啓発を図り、こころの健康づくりと自殺予防の取組を進めます。
母子保健対策については、昨年4月に開始した特定不妊治療費の助成に
加えて、人工授精などの一般不妊治療についても助成対象にするなど制度
を拡充し、不妊に悩む夫婦を支援するとともに、安心して子どもを産み育
てる環境づくりを進めます。
医療については、市立千歳市民病院において、救急医療、小児・周産期
医療、高度医療の充実を図るなど、「中期経営計画」に掲げた取組を着実
に推進するとともに、医療の質の向上と信頼性の確保を図るため、病院機
能評価の認定更新に取り組みます。
救急医療体制については、初期救急医療における市民の安心と安全を確
保するため、休日夜間急病センターの平成29年秋の開設を目指し、本年
秋からは建設工事に着手するとともに、医師をはじめとするスタッフの確
保に向けた取組を進めます。
高齢者福祉については、認知症対応型通所介護及び小規模多機能型居宅
介護などの地域密着型サービスの整備を進めるとともに、介護予防事業の
充実を図ります。
さらに、認知症が疑われる初期の段階から、医療と介護の専門家が高齢
者とその家族を支援する「認知症初期支援集中チーム」や「認知症地域支
援推進員」を新たに設置し、 認知症の高齢者が住み慣れた地域で安心し
て暮らせるよう支援体制の整備を進めます。
障がい者福祉については、障がいのある方の就労支援や相談支援体制の
充実及び障害福祉サービスの提供体制の確保に努めるとともに、障がいの
ある方が安心して暮らすことができるよう地域生活の支援に取り組みます。
子育て支援については、本年4月から、子どもを持ちたいと考えている
子育て世代を支援するため、妊婦相談や母乳相談のほか、妊娠・出産に関
する啓発事業などを担当する専任の助産師を新たに配置し、妊産婦を対象
とする産前・産後ケアの充実を図ります。
乳幼児期の教育・保育施設については、本年4月に幼稚園1か所が幼保
連携型認定こども園に移行するほか、小規模保育所2か所の開設により保
育定員を拡大します。
子育て支援センターにおいては、子育て親子の孤立化や子育て不安の解
消を図るとともに、地域全体で子育て世代を支援する取組を進めます。
また、学童クラブについて、需要が増えている北陽小学校区においては、
平成29年度の開設に向けた整備を進めるとともに、緑小学校区において
は、新たに整備に向けた取組を進めます。
子育て家庭に対する経済的支援策としては、国の「ひとり親家庭・多子
世帯等自立応援プロジェクト」の一環として、「児童扶養手当」の第2子
以降の加算額を増額するなど、子育て家庭の負担軽減を図ります。
障がいやその心配のある乳幼児には、こども通園センターでの療育支援
と認定子ども園や幼稚園等への訪問療育や巡回相談を継続し、道の専門支
援事業を活用しながら職員の資質向上を図り、障がいの早期発見・早期対
応に努めます。
男女共同参画の推進については、男女平等意識の醸成や男女共同参画社
会づくりに向けた普及啓発を図るとともに、新たな「千歳市男女共同参画
推進プラン」を策定します。
町内会活動の支援については、千歳市町内会連合会と連携した町内会加
入促進や再編交付金を活用した町内会館の改修事業、町内会館備品整備事
業等を引き続き行います。
コミュニティセンターについては、大和地区における新たなコミュニテ
ィセンターの整備や中心街コミュニティセンターの今後のあり方などの検
討を進めます。
また、結婚を希望する独身男女の出会いの場を提供する婚活パーティー
や結婚のすばらしさ・家族を持つことの意義等、結婚を考えるセミナーを
開催します。
第2は、『人と地球にやさしい環境のまち』の推進であります。
環境保全対策については、新エネルギーの導入を促進するとともに、節
電など省エネルギー対策と温室効果ガス排出削減を推進します。
廃棄物対策については、本年3月改定の「千歳市一般廃棄物処理基本計
画」に基づき、家庭ごみの分別・減量に関するパンフレットの全戸配布に
よる啓発の強化やリサイクルの推進など、持続的発展が可能な循環型社会
の構築に取り組みます。
ごみ処理広域化については、道央廃棄物処理組合において焼却施設建設
予定地の最終候補地選定を終えたところであり、本市におきましては、今
後、組合の一員として2市4町で連携しながら、地域住民などへの説明に
努めるとともに、建設コスト・運営コストの低減や環境負荷の抑制につな
がる施設建設に引き続き取り組みます。
下水道事業については、公共用水域の水質保全対策として、千歳川左岸
地区の合流改善に必要な幹線汚水管の敷設が完了したことから、面的整備
に着手するとともに、支笏湖温泉地区については、千歳処理区への統合に
向けた汚水管の敷設を継続実施し、あわせて支笏湖畔下水終末処理場を汚
水ポンプ場に改造し、事業を完了させます。
第3は、『安全で安心して暮らせるまち』の推進であります。
防災については、市民の防災・減災意識の醸成に努めるとともに、自主
防災組織の結成や育成支援に取り組みます。
また、大規模災害等が発生した場合に備え、指定避難所における備蓄倉
庫の整備を進めるほか、防災行政無線のデジタル化を推進します。
消防については、消防総合庁舎の耐震化を実施し大規模地震に対応する
ほか、高規格救急自動車を更新するなど、迅速・的確な救急業務の推進に
努めます。
火災の予防については、防火安全対策を図り火災発生件数の抑制と被害
の軽減に取り組みます。
住宅施策については、本年9月、市営住宅みどり団地3号棟80戸の完
成を目指し、整備を進めます。
千歳川流域の治水対策については、国と連携を図りながら、遊水地等の
整備促進に努めます。
在日米軍再編に係る訓練移転については、本年1月に千歳基地において
7回目となる訓練が円滑に行われましたが、今後も市民への情報提供や国
に協定の順守を求めるなど、市民生活の安全と安心を確保します。
また、再編交付金については、法律に基づく再編交付金の効力が平成2
9年3月31日までとなっておりますが、訓練移転が継続されることが考
えられますことから、再編交付金の継続に向けた活動に積極的に取り組み
ます。
C経路については、周辺地域の良好な住環境を確保するため、今後も計
画的に補修を進めます。
水道事業については、浄水施設や配水管などの計画的な更新を行うとと
もに、安全でおいしい水の安定供給に努めます。
また、昨年4月から開始している石狩東部広域水道企業団拡張事業から
の受水に伴う費用や施設の更新費用の増加への対応として、料金改定によ
り収支の改善を図るため、中長期的な「経営計画」の策定を行うとともに、
引き続き効率的な経営に努め、経営の健全性と事業の持続性を確保します。
第4は、『学びの意欲と豊かな心を育む教育文化のまち』の推進であり
ます。
昨年4月に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が一部改正さ
れたことに伴い、5月に教育委員会との協議・調整の場である「千歳市総
合教育会議」を設置し、これまで2回の会議を開催したところであります
が、今後もこの会議を通じて教育委員会と連携を深めながら教育行政に取
り組みます。
学力向上については、「学習支援員」の配置やハイパーQU検査の実施
拡大などを進めるほか、全中学校にデジタル教科書を導入するとともに、
電子黒板等を小学校の少人数指導用教室と特別支援学級、中学校の理科室
等に設置し、「ICT教育」の充実を図ります。
いじめ・不登校問題については、千歳市いじめ防止基本方針に基づき、
いじめの未然防止・早期の発見・対応に向けた取組を行うとともに、不登
校対策として、スクールソーシャルワーカーを活用し、家庭や関係機関と
連携しながら学校復帰に向けた取組を進めます。
学校環境の整備については、学校施設の安全性向上のため、屋内運動場
を対象とした非構造部材の耐震化や放送設備の更新、校舎の大規模改修な
どを計画的に推進します。
教職員住宅については、老朽化した管理職住宅の1校1戸の整備を進め
るとともに、教職員の居住環境の改善と移住・定住を促進するため、新た
な一般教職員住宅の整備方針を策定します。
特別支援教育については、児童生徒一人ひとりの教育的ニーズに応じた
適切な支援を行うため、「特別支援教育支援員」を増員するとともに、医
療的ケアが必要な子どもへの支援を行うため、新たに「学校看護師」を配
置します。
学校給食センターについては、新センターの整備に向け、調理場の機能
や設備、施設規模などの基本調査のほか、教員や保護者等による外部検討
委員会を設置するなど、調査検討を進めます。
生涯学習については、本市の豊かな自然環境や生活環境、地域の教育資
源などを生かした様々な学習機会の充実に努めるとともに、「生涯学習情
報メールマガジン」などを活用した情報発信に努めます。
また、放課後の子どもの安全で健やかな活動場所を確保するため、新た
に「放課後子ども教室」を児童館未設置校区である緑小学校で開設します。
文化財については、市民活動団体と協働しながら、国指定史跡キウス周
堤墓群の世界文化遺産登録に向けた取組を進めるとともに、企画展や講演
会などの普及啓発事業を実施します。
スポーツの振興については、市民がスポーツ施設を安心して利用できる
よう、総合武道館、温水プール、青葉公園テニスコートなどの改修を計画
的に行いスポーツ振興の促進を図ります。
国際交流の推進については、国際交流応援情報紙「エール」等を通じ、
市民への情報提供に努めるとともに、国際理解の促進と国際交流機会の拡
充に努めます。
アンカレジ市、指宿市などの姉妹都市等との交流については、幅広い分
野における友好交流を推進するとともに、友好親善都市中国長春市との交
流については、新たにマラソンを通じたスポーツ交流事業を実施します。
第5は、『活力ある産業拠点のまち』の推進であります。
農業の振興については、農業経営の安定や生産力の向上、担い手の育成
等をはじめ、安全・安心な農畜産物の生産体制を整備するとともに、各種
イベントや農産物直売所などによる地産地消の取組を進めます。
また、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)等の貿易の自由化に伴
う農畜産物の輸入量増加などの影響が懸念されることから、関係機関・団
体等と連携し、関連情報の把握に努めるとともに、国等の補助・助成制度
の活用を図り、営農の支援・強化を進めます。
グリーン・ツーリズムの推進については、都市住民が農村地域の景観や
食と農の魅力を実感できる機会を拡充するとともに、道内外で実施される
展示会やイベントに出展するなど、観光客に対し本市の魅力を広く情報発
信します。
優良農地の確保については、土地改良事業の推進や農業用施設の適正な
管理・機能保持に努めるとともに、農業・農村が有する多面的機能の維持・
発揮を図るため、地域の共同活動を支援します。
支笏湖産ヒメマスについては、関係機関や団体などと連携し、ふ化放流
事業を円滑に実施することをはじめ、老朽化したふ化場関連施設の整備を
行うとともに、ブランド化に向け、本年4月に商品化が予定されている魚
醤などのPR等に取り組みます。
工業の振興については、さらなる企業立地を推進するため、道外の企業
を対象とした企業立地動向調査を実施するほか、市ホームページやパンフ
レットなどを活用した情報発信を積極的に行い、本市の立地環境の特性を
生かした誘致活動を展開するとともに、道央地区を中心とした自治体、関
係機関や市内の民間企業などとの連携による取組を進めます。
また、市内に事務所などを借りて製品の開発・製造を行う創業者等への
支援に取り組み、新たな事業の集積や維持・拡大につなげます。
立地企業に対しては、定期的に訪問し操業状況等の把握に努め、各種助
成制度の利用や課題解決、販路開拓に向けた支援を行うなど、きめ細かな
フォローアップに取り組むとともに、企業間のビジネスマッチングやネッ
トワークの強化、さらには産学官連携を促進し、地域内経済の振興を図り
ます。
高度技術産業の集積については、千歳科学技術大学の学術研究機能を生
かし、ホトニクスバレープロジェクトに基づいた産学官連携の研究開発活
動や最先端研究設備等の利用の促進、さらには、研究開発支援機関等の事
業を活用した新製品・新技術の開発などの支援を通じ、その推進を図りま
す。
商業の振興については、新たな「千歳市商業振興プラン」に基づき、商
業者と行政がそれぞれ担う役割を意識し、商業者の自発的な取組による個
店の魅力化や商業者の連携づくりなどに支援を行い、商業活性化や中心商
店街の賑わい再生を進めます。
中小企業に対する経営支援については、関係機関と連携を図りながら、
事業活動の安定化や育成・拡大を図ります。
流通機能については、卸売業者、仲卸業者、買受人などの関係者と協働
して、公設地方卸売市場の活性化や売上高向上等に取り組むとともに、こ
れまでの3年間の市場の活性化等に関する取組結果を踏まえ、公設地方卸
売市場の運営のあり方等を検討します。
観光振興については、増加する訪日外国人を含めた観光客を誘致するた
め、本市に訪れた観光客が楽しく安心して市内観光ができるよう市のホー
ムページや観光ガイドの充実などを図るとともに、今月26日に北海道新
幹線が開業することから、関係団体などと連携し、情報誌などに観光ルー
トやクーポン券を掲載するなど、交流人口の拡大に向けて取り組みます。
「道の駅サーモンパーク千歳」については、昨年8月のリニューアルオ
ープン以来、イベントや飲食・直売所など、多くの観光客や市民の方で賑
わっており、今後も長く愛される施設となるよう取り組むとともに、公益
財団法人千歳青少年教育財団が設置・運営する「サケのふるさと 千歳水族
館」については、道の駅との連携を強め、共催イベントを充実させるなど、
両施設の相乗効果がさらに高まるよう支援します。
スポーツ合宿・大会の誘致については、まちの強みを生かしながら、
「千歳市スポーツ合宿・大会誘致等推進協議会」を中心に、スポーツ合宿
や大会の誘致等の活動を積極的に進めます。
また、スポーツ施設使用料の減免拡充など、支援制度の充実に取り組む
とともに、関係機関・団体等との連携による訪日外国人などに向けたゴル
フツーリズムを促進するほか、市民を対象としたアスリート等によるフォ
ーラムを開催するなど、まち全体の「スポーツやおもてなしに関する意識」
の醸成を図ります。
雇用については、関係機関との連携を図りながら、市民の就労を支援す
るとともに、市内の産業を支える人材を確保するため、UIJターン事業
の充実、女性の就業促進、若年者の就労意識の形成に向けた取組を進め、
雇用情勢の変化に対応します。
第6は、『都市機能が充実したまち』の推進であります。
新千歳空港については、本年、空港開港90年の節目を迎えます。昨年
は、外国人観光客が引き続き増加し、国際線乗降客数が210万人を超え、
年間乗降客数が過去最高の2,045万人を記録するなど、北の拠点空港
として順調に発展を遂げております。旅客ターミナルビルにおいては、現
在、利用者の混雑の緩和や利便性向上に向けた大規模改修工事などが進め
られており、早期の完成を期待するとともに、今後の観光客や新規就航路
線の誘致などにも弾みがつくものと期待をしております。
新千歳空港は、北海道経済の振興と発展に重要な役割を担っております
ことから、今後も北海道や新千歳空港国際化推進協議会などの関係団体と
連携しながら、国内外の航空路線の維持・拡充及び空港機能の強化など、
国際拠点空港化の推進に取り組みます。
道路整備については、幹線道路や生活道路の整備を計画的に進め、安全
性と利便性の向上を図るとともに、仲の橋通の歩道のバリアフリー化に着
手します。
また、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、朝雲橋や日の出橋の修繕工事に
着手するなど、施設の長寿命化とコスト縮減を図ります。
道路の維持管理については、平成26年度に実施した道路ストック総点
検結果に基づき、適切な維持管理と施設の長寿命化、計画的な改修・更新
に努めます。
道央圏連絡道路については、泉郷道路の平成31年度完成供用開始に向
け、国に整備の促進を要望するとともに、「新千歳空港インターチェンジ」
に接続する道道泉沢新千歳空港線の4車線化並びに延伸計画については、
関係団体及び北海道と連携を図り事業化の促進に努めます。
交通政策については、本市初の交通計画となる「千歳市交通戦略プラン」
に基づき、市民の利便性や交通事業者の経済性、行政における公共性のバ
ランスがとれる市内バス路線の再編をはじめとした各種交通施策を展開し、
誰もが使いやすく、様々な交通手段を選択できる交通ネットワークの充実
に向け取り組みます。
千歳川周辺の環境整備については、千歳川沿いの河川緑地に新たに「千
歳川桜プロジェクト事業」として桜の植樹を進め、市民に親しまれる水辺
環境の整備を進めます。
公園緑地の整備については、老朽化した既存の施設において、遊具の更
新や撤去・改修をはじめ、高齢者などに配慮したバリアフリー化を進めま
す。
次に、行政経営の基本目標の『市民協働による自主自立の行政経営』で
あります。
市民協働の推進については、協働事業などの実施を通じて、市民協働の
理念を伝え、すそ野を広げる取組を進め、市民協働のさらなる浸透を図り
ます。
市民の参加によるまちづくりについては、広報ちとせ、市ホームページ、
市長の出前講座、市政ガイドなどにより、市政に関する情報提供を図り、
市民の市政に対する理解や関心を促すとともに、市長への手紙・ポスト、
パブリックコメントなど様々な方法により把握した市民の意向を市政に反
映してまいります。
市役所庁舎の第2庁舎の建設については、「まちづくりを推進する中核
的な公用施設」として、市民が多く利用する窓口の集約化や開放的な展望
を有する食堂の設置など、市民が親しみ利用しやすい庁舎を目指すととも
に、防災拠点として高い耐震性能を有し、自然環境にやさしく経済性や維
持管理にも配慮した庁舎となるよう取組を進めます。
住民票交付などの窓口サービスについては、本年1月から交付が開始さ
れた個人番号カードを活用して、市民が身近なコンビニエンスストアで住
民票などの証明書の交付を受けることができるようコンビニ交付を導入し
ます。
(新年度予算)
次に、新年度予算の概要について申し上げます。
平成28年度予算については、財政標準化計画の目標達成を基本に増加
傾向にある扶助費等の財源を確実に措置しながら、景気・雇用情勢を踏ま
え、一定の事業量を確保し、雇用や地域経済の活性化策を行うとともに、
定住促進、子育て支援など、第6期総合計画を中心とする各種施策を着実
に進め、千歳のさらなる発展を目指し、「未来へ続く“発進”予算」とし
て取りまとめたところであります。
この結果、一般会計総額では、377億3,850万9千円、前年度の
政策予算を追加した補正後予算に比べ1億6,174万6千円の増となっ
ております。
また、特別会計では、6会計の総額で156億2,611万3千円、一
般会計を含めた7会計の総額では、533億6,462万2千円、前年度
の補正後予算に比べ、3,801万9千円の増となり、これに公営企業会
計を加えますと、総体で686億5,205万2千円の規模で編成したと
ころであります。
なお、予算の詳細については、別に「平成28年度千歳市各会計予算大
綱」でご説明いたします。
(むすび)
以上、本年度の市政運営と施策の大綱について申し上げました。
私は毎年、1年間の目標を漢字一字に込め、「一年一字」として新たな
年への想いを表してきたところであり、本年は、「発(はつ、たつ、ひら
く)」としたところであります。
私たちのふるさと千歳は、先人が将来を夢見て築いた貴重な財産や潜在
的な優位性などにより今日まで着実に「発展」してまいりましたが、今改
めて魅力や潜在力を「発見」し、そのことを広く内外に「発信」すること
により、さらなる「発展」の循環につなげたいという思いを、この「発」
という文字に込めたものであります。
このまちの魅力や価値をさらに高め、9万6千市民の皆さまが先人と同
じく将来に「夢」や「希望」を持ち、「千歳に住んで良かった」と思って
いただけるまちづくりを目指し、全力で邁進してまいります。
市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。