平成27年第1回定例市議会以降における諸般の行政をご報告申し上げます。
(1 はじめに)
新年度に入り早くも2か月が経過しましたが、本年度の当初予算については、骨
格予算としながらも積極的な予算として各分野において様々な取組を進めておりま
す。
3月には、現状の人口増加を維持する取組方針を示した「千歳市移住・定住促進
プロジェクト」を策定し、企業誘致などによる働く場の確保や雇用機会の創出をは
じめ、子育てや教育環境の充実、結婚を考える男女の出会いの場の提供など、活力
が循環するまちづくりに継続して取り組んでいるところであります。
北海道の月例経済報告によりますと、北海道経済の動向は持ち直しの動きが鈍化
しているとした見方がされておりますが、本市においては、新千歳空港の平成26
年度における乗降客数の速報数値が平成25年度を上回る約1,952万2千人と
なり活況を呈しているなど、これからも、本市の特性や資源を生かし、まちの勢い
が継続するよう取組を進めてまいります。
今後も市内において多くの行事を予定しておりますが、関係団体や市民と協力、
協働を行いながら、様々な機会を通じてまちの賑わいを創出するとともに、交流人
口の拡大を図り、市内経済の活性化を推進してまいります。
これらの取組により、移住・定住促進プロジェクトにおける、平成32年度の目
標人口97,000人の達成に向け、本市のさらなる発展を目指し、各分野におけ
る施策に切れ目なく取り組んでまいります。
(2 叙勲について)
本年春の叙勲におきまして、村田(むらた)刀一(とういち)様が消防功労により瑞
宝単光章を受章されました。
ここにそのご功績と栄誉をたたえ、深く敬意を表するとともに心からお喜び申し
上げます。
(3 総合教育会議の設置等について)
4月に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が一部改正したことに伴い、
5月28日、教育委員会との協議・調整の場であります「千歳市総合教育会議」を
設置し、第1回目の会議を開催したところであります。
この会議におきましては、主に、教育や文化等の振興に関する総合的な施策の方
針を定める「千歳市教育大綱」について協議を行い、この結果を踏まえ、同日付け
で「教育大綱」を策定したところであります。
今後も総合教育会議を必要に応じて開催し、教育委員会と情報を共有しながら、
さらに連携を深めて教育行政に取り組んでまいります。
(4 介護予防サロン事業について)
4月から町内会単位で、「百歳体操」や「ノルディックウォーキング」などの活
動を行う「介護予防サロン事業」のモデル事業を開始いたしました。
この事業は、介護予防センターが高齢者の「居場所づくり」と「出番づくり」を
進めるもので、高齢者の皆さんが住み慣れた地域でいつまでも元気で暮らすことの
できる地域づくりを目的としております。
5月末で16町内会が本事業を開始しており、今後、1町内会が参加する予定と
なっております。
国は、平成29年4月までに介護保険の要支援者が利用する「訪問介護」と「通
所介護」を市町村事業に移行することとしており、市といたしましては、町内会等
にご協力をいただきながら、住民主体による「通所型サービス」の構築に向けて取
り組んでまいります。
(5 千歳市不妊治療費助成事業について)
4月から、市内に在住する不妊に悩む夫婦を対象に、経済的な負担の軽減を図る
ため、本市の独自事業として、特定不妊治療費の助成を開始いたしました。
本事業につきましては、市ホームページや広報ちとせをはじめ、産婦人科の医療
機関や千歳保健所などにおいてポスター・リーフレットによる周知を図っており、
5月末までの実績といたしましては、申請件数が10件となっております。
今後も、子どもを望む夫婦が安心して治療に臨むことができる環境づくりに努め
てまいります。
(6 幼保連携型認定こども園について)
4月に子ども・子育て支援新制度がスタートし、本市では、公立保育所2か所と
民間保育園・幼稚園5か所が、幼稚園と保育所の良さを併せ持ち、地域の子育て支
援を行う「幼保連携型認定こども園」に移行いたしました。
道内では、公立施設4か所、民間施設10か所が「幼保連携型認定こども園」に
移行しておりますが、その半数が本市の施設であり、本市においては認定こども園
の先進地として、より質の高い教育・保育を提供する環境づくりを進めてまいりま
す。
また、新制度において新たに導入された地域型保育事業として、「小規模保育事
業所」6か所、従業員以外の地域の子どもたちも利用できる「事業所内保育事業所」
2か所について、市が認可決定したところであります。
この結果、認定こども園や小規模保育事業所などの保育に係る認可定員が157
人拡大され、子育てしやすい環境づくりが進んでおります。
(7 子育てに関する情報発信について)
子育てに関する情報発信については、これまでの子育てガイドに市内詳細地図を
16ページ追加し、子育て施設や子育てママのおすすめスポットなどを掲載した
「千歳市子育てガイド&おでかけMAP」を3月に発行し、各公共施設や市民課窓
口などに配布を行っております。
また、本市の子育て支援ホームページ「ちとせ子育てネット」をスマートフォン
での表示に最適化するなど、スマートフォン利用者の利便性向上を図り、積極的な
情報提供に努めております。
このほか、怒鳴ったり叩いたりせずに子どもを育てる学習プログラム「コモンセ
ンス・ペアレンティング」の習得を目的とした「子育てスキルアップ講座」を4月
28日に開催し、受講者から好評を得たところであります。
(8 子育て支援事業について)
4月から子育て支援の中核施設である「ちとせっこセンター」と「げんきっこセ
ンター」に、「ちとせ子育てコンシェルジュ」を4名配置したところであり、多様
な子育てサービスの情報提供により、子育て世代を支援するほか、転入後間もない
子育て家庭を訪問し、子育ての孤立感や不安感の解消のため、「傾聴」と「協働」
による寄り添い型の支援を行っております。
また、平日働いている親や祖父母が、休日に子どもや孫と一緒に楽しいひと時を
過ごせるよう、4月5日の日曜日に「ちとせっこセンター」、4月19日の日曜日
に「げんきっこセンター」において、初めて休日開館を実施し、多くの市民が来場
しました。
さらに、自宅から遠い、車がないなどの理由で、これらの施設利用が困難な親子
のために、4月から7か所の児童館において、親子同士の交流支援や子育て相談な
どの子育て支援事業を開始し、国の基準を満たす「地域子育て支援センター」を3
か所から10か所に拡大したところであります。
このほか、障がいのある子どもへの支援につきましては、こども通園センターに
おいて療育支援や発達相談を実施しておりますが、4月から新たに認定こども園や
保育所、幼稚園などへ出向いて療育指導を行う「療育支援専門員」6名を配置した
ほか、各施設を巡回し、障がい児の早期発見・早期対応を担当する「巡回支援専門
員」2名を配置するなど、障がいのある子とない子が共に成長するための、インク
ルージョン保育を推進する体制づくりを行っております。
(9 企業誘致について)
企業誘致につきましては、埼玉県さいたま市に本社があります藤工業株式会社が、
第2工業団地内の空き工場を取得し、進出いたしました。
同社は、建築工事請負業、鉄筋加工、溶接金網の製造販売等を行っている事業者
で、この度取得された工場において、異形(いけい)棒鋼(ぼうこう)を材料とする建
築・土木資材の加工・製造を行うと伺っており、操業時期は平成28年4月を予定
しているとのことであります。
次に、東京都中央区に本社がありますヤマト運輸株式会社が、千歳市と事業用定
期借地権設定契約を締結し、流通業務団地に立地することとなりました。
同社は、貨物自動車運送を行う事業者であり、臨空工業団地にあります千歳主管
支店の中の営業所を移転し、流通業務団地に建物を新築すると伺っており、操業時
期は本年10月を予定しているとのことであります。
この度の進出等により、本年度の立地件数は2件となり、本市の産業振興に波及
効果をもたらすとともに、この勢いが今後の企業誘致に弾みがつくものと期待して
おります。
(10 ヒメマス釣りの解禁について)
支笏湖のヒメマス釣りにつきましては、本年も例年どおり、6月1日に解禁とな
りました。
本年の動力船使用許可申請数は、昨年より約2.0パーセント多い505件で、
3か月間の解禁期間中は、釣り人の事故防止をはじめ、資源保護や環境保全等につ
いて、支笏湖ヒメマス釣魚対策協議会など関係機関と連携を図りながら万全を期す
とともに、昨年を上回る釣獲数を期待しております。
(11 観光入り込み客数の状況について)
平成26年度の千歳市全体の観光入り込み客数は約468万人となり、対前年度
比7.0パーセントの減少となりました。
要因といたしましては、道の駅サーモンーパーク千歳とサケのふるさと千歳水族
館の再整備や、これに伴う未開催となったインディアン水車まつりの影響などによ
るものと考えております。
今後とも、観光動向を把握し、千歳観光連盟や千歳商工会議所、支笏湖旅館組合
などの関係機関、団体と連携を図りながら、観光客の誘客に向けた取組を進めてま
いります。
(12 スポーツ振興について)
3月13日から15日まで、ハンガリーのエゲル市で開催された、障がい者卓球
ハンガリアン・オープンに千歳市スポーツ指導員として、スポーツ振興に尽力され
ております時(じ)耕(こう)佐知子(さちこ)さんが、日本肢体不自由者卓球協会より
クラス10女子派遣選手として選考され、団体戦に出場し、クロアチアの選手と組
み、3位という好成績を収められました。
今後、ますますのご活躍を期待しております。
(13 各会計の決算状況について)
平成26年度の決算状況につきましては、一般会計における予算の執行率は歳入
で97.2パーセント、歳出で96.0パーセントとなる見込みであります。
このうち、平成27年度への繰越明許費を除くと、歳入では98.2パーセント、
歳出では97.0パーセントとなり、経費の節減などにより、収支不足の補てん等
として予算で見込んでおりました財政調整基金からの繰入れをせず決算を行い、実
質収支は約4億5千万円程度の黒字となる見込みであります。
この歳計剰余金につきましては、当初予算に計上した前年度繰越金等を除き、財
政調整基金に積み立て、引き続き安定的な財政基盤の確立に努めてまいります。
特別会計につきましては、6特別会計いずれも実質収支で黒字の決算見込みとな
り、予算の執行率は歳入で98.6パーセント、歳出で96.9パーセントとなる
見込みであります。
水道事業会計につきましては、全体の有収水量が前年度を0.1パーセント下回
ったものの、給水収益は約14億4,840万円と対前年度比0.1パーセントの
増となっております。
総収益は、会計制度の改正に伴い、新たに発生した長期前受金戻入の影響により、
営業外収益が約1億5,520万円増加したことから、対前年度比8.3パーセント
増の約17億8,760万円となっております。
また、総費用は、新たに計上が義務付けられた退職給付引当金等の影響により、
特別損失が約1億8,230万円増加したことから、対前年度比7.2パーセント増
の約16億7,990万円となっており、単年度収支につきましては、約1億77
0万円の純利益を見込んでおります。
下水道事業会計につきましては、全体の有収水量が前年度を0.6パーセント上
回り、下水道使用料は約15億7,910万円と対前年度比0.9パーセントの増と
なっております。
総収益は、水道事業会計と同様、長期前受金戻入の影響により、営業外収益が約
11億8,070万円増加したことから、対前年度比50.1パーセント増の約35
億9,540万円となっております。
また、総費用は、会計制度の改正に伴い、減価償却費が大幅に増加したことから、
対前年度比42.4パーセント増の約31億4,880万円となり、単年度収支につ
きましては、約4億4,660万円の純利益を見込んでおります。
病院事業会計につきましては、入院患者数が約1,100人減少したものの、外
来患者数が約5,100人増加となったほか、会計制度の改正に伴う医業外収益の
増加により、総収益は対前年度比1.9パーセント増の約58億2,100万円と
なっております。
総費用は、新たに計上が義務付けられた退職給付引当金等の影響により、特別損
失が約10億9,800万円増加したことから、対前年度比25.3パーセント増
の約68億7,300万円となっており、単年度収支では約10億5,200万円
の純損失となりましたが、経常損益は約4,100万円の利益を見込んでおります。
以上申し上げまして、行政報告といたします。