用地補償の手順
用地庶務係は、道路、公園、河川及び緑地の整備や学校の設置など、公共事業に必要な用地の取得及び取得に伴う物件の移転等に対する補償を扱っています。用地補償は次のような手順で行われます。
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用地測量・物件調査
関係者の皆様にあらかじめ事業の計画の概要等をご説明し、ご理解を得て、事業に必要な土地などの測量や、移転していただく建物、工作物、立木のほかに、動産、居住者、営業の実態などの調査をします。
なお、調査などに当たっては土地などの所有者、借地人、借家人など関係者の皆様の立会いをお願いします。 -
補償金の算定皆様から確認を得た調査内容に基づき、権利者ごとに補償金を算定します。
なお、事業用地の取得に際しての補償は、公金によってまかなわれるものですので、具体的な補償内容と補償額は、損失補償基準に準拠して、適正で公平な補償を行います。
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用地協議・契約の締結皆様から確認を得た調査内容に基づき、権利者ごとに補償金を算定します。
なお、事業用地の取得に際しての補償は、公金によってまかなわれるものですので、具体的な補償内容と補償額は、損失補償基準に準拠して、適正で公平な補償を行います。
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建物などの移転・土地の引渡し
建物・工作物・立木などを移転していただき土地の引渡しをしていただきます。
なお、お譲りいただく土地の所有権移転登記などは、契約時に提出していただいた書類をもとに、市が行います。
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補償金の支払い
建物などを移転していただき、土地などの引渡しを受けた後、補償金を指定の口座へお支払いいたします。
なお、建物移転が伴う場合などは、前金をお支払いすることもあります。
主な補償の種類
主な補償の種類として次のものがあります。
土地の補償土地の取得価格は、周辺の土地の正常な取引価格、地価公示価格、不動産鑑定評価額による資料に基づき、総合的に比較検討したうえで算定を行い決定します。
なお、土地は、実測面積によりお譲りいただきます。
建物の補償土地に建物がある場合は、その土地と建物の関係、利用状況、種類、構造などから移転方法(再築、曵家、改造、除却工法など)を認定し、それに必要な費用を補償します。
工作物の補償土地に物置、看板、ビニールハウス、庭石など移転できる工作物がある場合はその移転に必要な費用を、ブロック塀、井戸などの移転できないものがある場合は、同程度のものをつくるのに要する費用を補償します。
立竹木の補償庭木などで移植することが適当と判断されたものは移植(掘り起こし、運搬、植付け)に必要な費用を、それ以外のものは伐採(伐採、運搬)に必要な費用を補償します。
営業補償店舗などが移転することにより、営業を一時休止する必要があると認められるときは、一定期間の収益減少の補償をします。そのほかに、得意先喪失の補償、固定的経費の補償、休業(人件費)の補償などがあります。
建物移転に伴う経費の補償動産(家財道具、商品など)の荷造り、運搬などに必要な費用、仮住居を必要とする場合の費用、移転先を探すための費用や建築確認の法令上の手続きに要する費用など、建物を移転するために必要となる費用を補償します。そのほかに、家賃減収補償、借家人に対する補償などがあります。
(注)廃材処分費について 建物などの移転に伴い必要となる廃材処分費は、上記2から4の各補償にそれぞれ含まれています。
(注)消費税等について 建物などの移転に伴って支払う経費に掛かる消費税及び地方消費税については、その相当額を課税対象となる補償金に加えて補償します。なお、事業者の方につきましては、消費税の納税義務により判断しますので、関係する書類のご提出をお願いします。
税金の優遇と制限
税金などの優遇と制限については、次のようなものがありますが、個々人によって適用条件が異なりますので、詳細については各相談窓口に直接ご相談願います。
譲渡所得
公共事業に協力していただきますと税法上の特例措置があり、次のうちいずれか一方の適用を受けることができます。
5,000万円の特別控除この特例措置は、契約の申し出をした日から6か月以内に契約された場合に適用され、譲渡所得の金額から最高5,000万円まで控除されます。 代替資産を取得した場合の課税の特例この特例措置は、契約をした日から2年以内に代替資産を取得した場合に適用され、土地代金等で代替資産の取得に当てられた金額については譲渡がなかったものとみなされます。移転補償については、この特例措置の対象とならず(建物取壊しの場合を除く。)、課税対象(一時所得)となります。相談窓口
札幌南税務署 電話011-555-3900
不動産取得税
代替地を取得する場合や建物補償を受けて新築などをする場合には、原則として課税されますが、申告することによって不動産取得税が軽減されます。
相談窓口
石狩振興局課税課 電話011-281-7939
固定資産税など
固定資産税(都市計画税を含む。)は、毎年1月1日現在の土地・建物の所有者に課税されますので、譲渡などをした年分の税額は、全額負担していただくことになります。相談窓口
市役所税務課 電話24-0162
国民健康保険料
公共事業協力者に対する減免措置があります。なお、所得として課税対象となった補償金がある場合は、翌年度の保険料が変わることがあります。相談窓口
市役所国民健康保険課 電話24-0279 市役所高齢者支援課 電話24-0297
配偶者控除など(所得税、住民税)
配偶者または被扶養者の方が土地を譲渡した場合は、その所得が一定の金額を超えるとその年分の配偶者の控除または扶養控除が受けられなくなることがあります。相談窓口
市役所税務課 電話24-0158
年金などの支給
土地などの譲渡により、障がい基礎年金、児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、特別障がい者手当などは、受給額が変わることがあります。また、農業者年金(経営移譲年金)の場合は手続きが必要となります。相談窓口
新さっぽろ年金事務所 電話011-892-1631
市役所市民課 電話24-0267 市役所子育て推進課 電話24-0328 市役所障がい者支援課 電話24-0327 市役所農業委員会 電話24-0799
相続・抵当権など
相続
登記名義人が亡くなっている場合は、相続による所有権移転登記が必要となりますので、相続方法を相続人の方々で決めていただきます。お譲りいただく土地については、遺産分割協議書等により市が相続登記を行います。
抵当権など
土地に抵当権等の権利が設定されている場合は、権利者の方に抵当権等の権利を抹消してもらうことになりますが、抹消についての話し合いは土地所有者の方に行っていただきます。
借地権など
他の人に貸している土地で借主に借地権や耕作権があるときは、その権利に対する補償金も土地の取得価格に含まれていますので、土地代金の配分は、所有者と借地権者の当事者間で、権利配分割合を決めていただき、その割合に応じて個別に契約します。
土地収用制度
公共事業を実施するためには、多くの場合新たな土地の取得が必要となります。事業を行うもの(起業者と言います。)は、土地の所有者やその土地についての正当な権利(借地権など)を持っている方やその土地にある物件などの権利を持っている方(関係人)と話し合って用地買収をします。しかし、「補償金の額に対する不満」とか「先祖伝来の土地だから」などの理由で、話し合いでの用地買収ができない場合があります。そのままでは、事業の整備が大幅に遅れるなど、社会全体にとって大きな損失を招くこととなります。そこで、公共事業を実施するために必要と認められるときには、個々の土地所有者等の意思に反することになっても、当該土地の利用を可能にする制度が必要になります。そのために設けられたのが土地収用制度であり、公共の利益となる事業の遂行と私有財産の保護という二つの利益の調整をする役割を持った制度です。