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肺の生活習慣病「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」を知っていますか?

COPD(シーオーピーディー、慢性閉塞性肺疾患)

  COPDは、「肺の生活習慣病」と呼ばれています。別名「たばこ病」と呼ばれ、患者の90%が喫煙者です。喫煙者の15~20%がCOPDを発症します。受動喫煙(たばこの先端から出る煙を吸うこと)によっても発症します。

  たばこの煙などの有害な空気を吸い込むことで、気道・肺胞に炎症が起こり、肺胞が破壊され、肺が軽石のようにスカスカになります。弾力を失った肺は、膨らみ過ぎの状態となり、横隔膜が圧迫され、肺の動きが悪くなります。これにより、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出といった機能が低下します。

  壊れた肺は、元に戻りません。最終的には、自分で呼吸することができなくなります。

COPDポスター.jpg

COPDの症状と合併症

 

症状について

  COPDの症状は、初期段階ではありません。

  進行してくると、慢性のせきやたん、動いたとき(労作性)の息切れがみられます。

 COPDは、20年以上の喫煙歴を経て発症します。典型的な症状がでる頃には、重症となっていることが多いです。

40歳以上の方で、喫煙歴があり、COPDの症状(長引くせき・たん、動いた時の息切れ)がある場合は、医療機関で肺機能検査を受けることをお勧めします。

COPDチェック.jpg

 

 

合併症について

  COPDが進行すると、呼吸機能が低下します。これにより呼吸に必要なエネルギーが増大するため、全身が衰弱し、様々な合併症が起こりやすくなります。

  COPDの合併症は、肺炎、肺がん、心不全、動脈硬化、骨粗しょう症などであり、多岐にわたります。動いたときの呼吸の苦しさから引きこもりがちになり、気持ちが落ち込み、結果として、うつ病になることもあります。

 

 

日本におけるCOPD死亡者数

 厚生労働省の統計によると2022年のCOPDによる死亡者数は16,676人でした。近年、COPDによる死亡者数は頭打ちになっていましたが、2018年は1995年以降で最高値を記録しています。COPDは長期の喫煙歴を経て発症する病気です。日本でも過去の喫煙率上昇の影響がCOPDによる死亡者数を増加させてきたと考えられます。

 これまで、男性の喫煙率が高かったため死亡者数も男性の方が多いですが、女性の方がCOPD発症リスクが高いという報告も発表されています。

 

CODPデータ.JPG

※参考:COPD(慢性閉塞性肺疾患)情報サイト GOLD

COPDを予防するために、ぜひ禁煙しましょう

  肺機能は、加齢とともに徐々に低下します。喫煙すると、早期から肺機能が低下します。

  喫煙者の方でも、禁煙した年齢が早ければ早いほど、肺機能の低下速度を抑えることができます。

 

禁煙による体の中の変化

 

禁煙後からの時間経過 体の中の変化
1分 たばこのダメージから回復しようとする機能が働き始める。
20分 血圧が正常近くまで下降。脈拍も正常付近に復帰。
8時間 血中の一酸化炭素レベルが、非喫煙者と同じになる。
24時間 心臓発作の確率が下がる。
48~72時間 臭いと味の感覚が復活し始める。
1~9か月 咳、痰、息切れが改善する。
5年 肺がんのリスクが半分に減る。
10年 肺がんのリスクが非喫煙者と同程度になる。

 

 
禁煙のポイント

 

禁煙開始日を決める

最低1~2週間程度の準備期間を設け、そのうえで禁煙を始める日を具体的に決めましょう。

以下の条件が少なくとも1つ以上ある日を選ぶと良いかもしれません。

  • 仕事などがひと段落したときで、あまりストレスがなく時間にゆとりのあるとき。
  • お盆休みや正月休みなど、禁煙開始日の前後を休みにできるとき。
  • 自分や家族の誕生日、結婚記念日、年始めなど、自分にとって特別な意味がある日。
禁煙外来を活用する

禁煙外来は、医師の指導のもと飲み薬(またはニコチンパッチなど)を用いて禁煙に取り組みます。

禁煙の方法は様々ありますが、禁煙外来で飲み薬を服用することが、最も禁煙成功率が高い方法です。

飲み薬は、禁煙離脱症状を和らげ、たばこへの欲求を軽減する働きがあります。

たばこを吸っても、おいしくなくなります。

離脱症状に対処する

離脱症状の多くは、ニコチンが体内から抜け出すためにみられ、通常禁煙後3日以内にピークとなります。

概ね一週間、長くても2~3週間で消失します。症状別に工夫して対処しましょう。

 

症状別対処法の例
症状 対処法の例
口さみしいとき 糖分の少ないガムや、干し昆布を噛む。
  歯を磨く。
  没頭できる趣味や作業をする。

イライラ

落ち着かない    

深呼吸をする。
  水やお茶を飲む。
  散歩や体操などの軽い運動をする。
  リラクゼーション法を身につける。
集中できない 禁煙後一週間(特に2、3日)は仕事を減らしてストレスをさける。 
眠れない カフェイン入りの飲み物をさける。
  軽い運動をする。
  ぬるめの風呂に入る。
便秘 水分を多くとる。
  食物繊維を多くとる。

 

 

禁煙治療について

一定の条件を満たすと、健康保険を使って禁煙治療を受けることができます。

健康保険を使った禁煙治療にかかる費用は、自己負担分3割として、3か月で約12,000円~17,000円程度です。

約一か月分のたばこ代で、12週間の禁煙治療を受けることができます。

禁煙治療が保険適用となる条件(4つ)

1.「禁煙治療のための標準手順書」に記載されているニコチン依存についてのスクリーニングテスト(TDS、下記の表の当てはまる個数)の結果が5点以上で、ニコチン依存症と診断     

 

1 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くのタバコを吸ってしまうことがありましたか。        
2 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
3 禁煙したり本数を減らそうとした時に、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
4

禁煙したり本数を減らそうとした時に、次のどれかがありましたか。(イライラ・神経質・落ちつかない・集中しにくい・ゆううつ・頭痛・眠気・胃のむかつき・脈が遅い・手のふるえ・食欲または体重増加)

5 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
6 重い病気にかかった時に、タバコは良くないとわかっているのに吸うことはありましたか。
7 タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
8 タバコのために自分に精神的問題(注)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
9 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。
10 タバコが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか。

(注)禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、禁煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。

 

2.ブリンクマン指数(一日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上

     ※35歳未満は、ブリンクマン指数による要件なし

3.直ちに禁煙することを希望

4.「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、その禁煙治療を受けることを文書により同意

 

【保険診療の流れ】

 健康保険を使った標準禁煙治療は、12週間に5回のプログラムです。

保険診療スケジュール.JPG

 

【日本呼吸器学会認定の呼吸器専門医および指導医がいる医療機関】

日本呼吸器学会認定の呼吸器専門医および指導医がいる医療機関.JPG

【千歳市内で禁煙外来を実施している医療機関】

 千歳市 禁煙治療に保険が使える医療機関.JPG

 出典:日本禁煙学会ホームページ「禁煙治療に保険が使える医療機関」(令和6年8月現在)

 

 

健康づくり課健康企画係

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