令和7年第1回定例市議会以降における諸般の行政をご報告申し上げます。
(1 はじめに)
市長就任から3年目を迎え、任期も折り返しとなりました。この2年で市を取り巻く環境は大きく動き、中でも、国家プロジェクトとして進められている次世代半導体製造工場につきましては、4月からパイロットラインの立ち上げが開始され、量産にむけて、新たな段階に入ったところです。今後、関連企業の進出や市内企業の取引拡大など、地域経済全体へ好影響が波及することを期待しております。
また、空港開港100年につきましては、節目となる令和8年に向けて、次の100年につなげる各種記念事業の準備を進めてまいります。
市政を支えてくださる市民の皆さまに改めて感謝申し上げるとともに、今後も「安全・安心で活気あふれるまち・千歳」の実現に向け、引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。
(2 叙勲について)
本年、春の叙勲におきましては、元航空自衛隊第2航空団副司令であります佐藤 敏博(さとうとしひろ) 様が防衛功労により瑞宝小綬章を受章されました。
ここにそのご功績と栄誉をたたえ、深く敬意を表するとともに心からお慶び申し上げます。
(3 千歳市民栄誉賞受賞者のご逝去について)
千歳市民栄誉賞受賞者 廣重 力 (ひろしげつとむ)様が5月22日にご逝去されました。
廣重様は、平成3年に北海道大学第14代学長に就任され、在任中は新たな学部の創設や副学長制度の採用など、現在の北海道大学の礎を築く改革に尽力されました。
そのご功績は誠に大きなものがあり、心からご冥福をお祈り申し上げます。
(4 市功労者のご逝去について)
千歳市功労者 中山 和朗(なかやまかずお) 様が4月10日にご逝去されました。
中山様は、千歳商工会議所議員、常議員及び副会頭として、商工業の振興、中小企業の指導育成など、地域経済の発展に貢献されました。
そのご功績は誠に大きなものがあり、心からご冥福をお祈り申し上げます。
(5 新千歳空港について)
新千歳空港における令和6年度の乗降客数につきましては、国内線が前年度比4.6パーセント増の約2,095万人、国際線が前年度比33.9パーセント増の約388万人、国内線と国際線を合わせ、前年度比8.3パーセント増の約2,483万人となり、開港以来最多を記録しました。
6月15日には、タイのチェンマイを結ぶ定期便が新たに就航するなど、特に国際線では、インバウンド需要の増加に伴い、増便や新規就航が進んでおります。
6月26日、空港の機能強化を求める新千歳空港の整備促進などについて、国等への要望活動を実施しました。
引き続き、空港運営事業者などと連携し、空港機能の高度化・高質化や航空路線の維持、拡充に取り組んでまいります。
(6 空港開港100年記念事業について)
4月17日、「令和7年度千歳市空港開港100年記念事業実行委員会総会」を開催しました。当日は、実行委員会を構成する全45団体が参加し、令和7年度の事業計画等について決定したところです。
現在は、製作したポスターやのぼりのまちなかへの掲示のほか、記念バッジの配布などの普及啓発活動を開始したところであり、今後も、「空港があることの誇り」を後世へと伝えるため、令和8年の空港開港100年に向け、機運の醸成を図ってまいります。
(7 千歳市空港開港100年記念音楽フェスの開催について)
6月21日、空港開港100年記念事業の一環として、千歳商工会議所青年部とSORAON実行委員会の共催により、日本航空学園新千歳空港キャンパス特設会場において、「SORAON2025~空飛ぶ愛と、音楽と。」が開催され、約1万2,600人の来場がありました。
多くの市民にご来場いただくため、特別価格の千歳市民専用入場券 約2,200枚の販売や大学生以下は無料とし、当日は、空港開港100年の普及啓発活動や各種イベントなど、幅広い世代に楽しんでいただきました。
開催にあたり、ご尽力いただいた皆様に感謝するとともに、空港開港100年を機に、このイベントが本市の新たな魅力に成長していくことを期待しております。
(8 次世代半導体関連事業の進捗状況について)
ラピダス社の半導体製造工場「IIM-1」につきましては、引き続き付帯する建設工事及び設備工事による作業員の方が3,000人前後従事する見込みとなっており、今後も多くの方が市内の様々な施設やサービスを利用するものと想定しております。
本市としましては、2年後の量産開始に向け、引き続きインフラ整備等にスピード感を持って取り組むとともに、先端半導体産業の拠点化に向けた様々な事業を着実に進めることで、更なる発展に繋げられるよう、全力で取り組んでまいります。
5月7日、ラピダス社の本市への立地を契機に経済界が主導して、大学、自治体、金融など、本市を含む道内外の36団体により、ラピダス社を核とした、先端産業の集積を目指す「北海道バレービジョン協議会」の設立総会が開催されました。
本市といたしましては、この枠組みを通して次世代半導体拠点化を促進し、さらなる発展につなげてまいります。
(9 企業誘致について)
本年2月から5月の企業誘致につきましては、2月に、系統用蓄電事業を行うため大和エナジー・インフラ株式会社が、通信衛星用地上局事業用地を拡張するためスカパーJSAT株式会社が、それぞれ本市と土地売買契約を締結しました。
3月には、半導体製造工場向けの加工場及び資材倉庫を建設するためジャパンマテリアル株式会社が、事業用地を拡張するため株式会社MMCフードサービスが、変電所を建設するため北海道電力ネットワーク株式会社が、それぞれ本市と土地売買契約を締結しました。
5月には、系統用蓄電事業を拡大するため、BSホールディングス株式会社が、本市と事業用定期借地権設定契約を締結しました。
また、北海道空港株式会社が分譲する新千歳空港ロジスティクスセンターにおいては、3月に東西海運株式会社が車両のストックヤード等として土地を活用するため、土地売買契約を締結しました。
これにより、市内工業団地への令和6年度の立地件数は20件、本年度の立地件数は1件となり、本市の産業振興に波及効果をもたらすことを期待しております。
半導体関連企業のオフィス進出状況につきましては、4月に、製造技術者やITエンジニアなどの人材紹介事業を行う「株式会社ワークポート」及び、各種ガス取扱い及び半導体製造装置の設置工事等を行う「株式会社テック・エンジニアリング」が、6月に半導体装置や関連部材の供給等を行う「水戸工業株式会社」が、それぞれ市内にサービス拠点を設置しました。
今後も、企業ニーズの把握に努めるとともに、きめ細かな支援を通じて、半導体関連企業の集積に向けて取り組んでまいります。
(10 自衛隊の体制強化を求める活動について)
我が国及び北海道周辺における厳しい安全保障環境を踏まえ、防衛政策における北海道の重要性を改めて強く訴えることなどを目的に、6月24日、「千歳市における自衛隊の体制強化を求める期成会」として、千歳市議会防衛議員連盟の皆さまとともに、防衛省及び関係国会議員に対し、自衛隊の体制強化や本市への新編部隊等の配置、厳しい募集環境を踏まえた自衛隊員の処遇改善などに関する要望活動を行いました。
自衛隊とともに発展するまちづくりを進める本市にとって、自衛隊の体制強化は、経済やまちづくりに大きく影響する重要な課題でありますことから、引き続き、自衛隊の体制強化を求める活動に、積極的に取り組んでまいります。
(11 医療的ケア児の支援について)
医療的ケア児が健やかに成長でき、その保護者が安心して子育てを行える環境を作るため、さっぽろ連携中枢都市圏の連携事業として、医療保険による支援を上回る訪問看護を提供する「医療的ケア児レスパイト事業」を開始しました。
今後も子育て世代が安心して子どもを育てられる環境づくりを進めてまいります。
(12 ちとせ市民応援商品券2025について)
食料品の値上げなどにより、市民生活へ影響が生じていることから、市では、市民の暮らしを支え、地域経済を活性化することを目的に、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して、1人あたり5,000円分の「ちとせ市民応援商品券2025」の配付を進めております。
7月14日から市内の対象店舗でご利用いただけますので、米をはじめとする生活必需品などにぜひご活用いただきたいと考えております。
今後につきましても、市内経済状況等の把握に努めるとともに、必要に応じて、市民生活の安定や地域経済の好循環につながる取組を検討してまいります。
(13 姉妹都市・友好親善都市との交流について)
5月24日から31日までの8日間の日程で、姉妹都市であるアメリカ合衆国アラスカ州アンカレジ市から、ミアーズ中学校の生徒12人と引率2人の合わせて14人が本市を訪れました。
滞在中は、市内中学生宅にホームステイをしながら、中学校での授業体験などを通じて、日本の文化や生活習慣に触れるとともに、友情のきずなを深めることができました。
今回の交流事業に当たり、生徒を受け入れていただいたホストファミリーや多くの関係者の皆さまに、心から感謝申し上げます。
(14 観光入込客数の状況について)
令和6年度の千歳市全体の観光入り込み客数は約185万人となり、対前年度比2.7パーセントの減少となりました。
要因といたしましては、道の駅サーモンパーク千歳周辺や支笏湖で増加した一方、大型商業施設の規模縮小に伴い大きく減少し、全体として減少となりました。
今後とも、引き続き観光動向の把握に努め、市内関係機関や団体と連携を図りながら、観光客の誘客に向けた取組を進めてまいります。
(15 「支笏湖チップ」釣りの解禁について)
支笏湖のチップ釣りにつきましては、本年も6月1日に解禁となりました。
本年の動力船使用許可申請数は336件で、8月31日までの3か月にわたる解禁期間中は、事故防止をはじめ、資源保護や環境保全等について、支笏湖ヒメマス釣魚対策協議会など関係機関と連携を図りながら万全を期すとともに、今後の豊漁を期待しております。
(16 スポーツ振興について)
令和6年度の本市におけるスポーツ合宿の実績は、陸上競技を中心とした79件3,311人となりました。
今後も、日本陸上競技連盟や競技団体と情報共有を図りながら、千歳市スポーツ合宿・大会誘致等推進協議会と連携しスポーツ合宿の誘致を推進してまいります。
6月1日、6年ぶりにハーフマラソンが復活した「第45回千歳JAL国際マラソン」が開催され、国内外から6,724人のランナーが自然あふれる林間コースを駆け抜け、盛会のうちに終了しました。
大会開催にあたり協力いただいた、市民ボランティアをはじめ、大会を支えていただいた多くの皆さまに感謝申し上げます。
また、当日は、ハーフマラソンの部に、友好親善都市である中華人民共和国 吉林省 長春市から、馬剛(まがん)さん、魏亜楠(うぇいやなん)さん、白暁文(ばいしょううん)さんの3人がハーフマラソンに出走され、多くのランナーと交流を図りました。
今後も、マラソン交流を通じた友好の輪が広がることを期待しております。
(17 株式会社レバンガ北海道との包括連携協定の締結について)
5月14日、株式会社レバンガ北海道と「包括連携協定」を締結しました。
この協定は、双方が連携・協力して、地域の一層の活性化及び市民サービスの向上を図ることを目的としており、今後、地域の魅力発信、観光振興、スポーツ振興、健康づくりに関することなど、様々な分野にわたる取組を進めてまいります。
(18 各会計の決算状況について)
令和6年度の決算状況につきましては、一般会計における予算の執行率は歳入で93.6パーセント、歳出で90.5パーセントと見込んでおります。
このうち、令和7年度への繰越明許費を除くと、歳入では99.4パーセント、歳出では96.1パーセントとなり、経費の節減などにより、収支不足の補てん等として予算で見込んでおりました財政調整基金からの繰入れをせず決算を行い、実質収支は約18億1千万円の黒字を見込んでおります。
歳計剰余金につきましては、寄附金等の積立など前年度繰越金として翌年度の歳入予算に編入する財源を除き、約6億9千万円を財政調整基金に積み立て、引き続き安定的な財政基盤の確立に努めてまいります。
特別会計につきましては、予算の執行率は歳入で95.5パーセント、歳出で94.5パーセントと見込んでおり、6特別会計いずれも実質収支で黒字の決算見込みであります。
水道事業会計につきましては、有収水量が前年度を2.7パーセント上回り、給水収益につきましても2.9パーセントの増となったことなどにより、総収益は、対前年度比3.7パーセント増の約22億3,600万円、総費用は、対前年度比2.0パーセント増の約21億2,400万円となり、単年度収支は、約1億1,200万円の純利益を見込んでおります。
下水道事業会計につきましては、有収水量が前年度を1.4パーセント上回り、下水道使用料につきましても1.5パーセントの増となったことなどにより、総収益は、対前年度比2.1パーセント増の約35億700万円、総費用は、対前年度比3.0パーセント増の約34億2,200万円となり、単年度収支は、約8,500万円の純利益を見込んでおります。
病院事業会計につきましては、小児医療や高度医療などに対する一般会計からの繰入金が増加したものの、入院患者数が約2,900人、外来患者数が約2,300人それぞれ減少したことに加え、新型コロナウイルス感染症の特例的な財政支援が終了したことに伴う補助金の減少などにより、総収益は対前年度比0.6パーセント減の約65億7,700万円となっております。
総費用は、診療体制の充実に加え、会計年度任用職員へ勤勉手当の支給を開始したことや人事院勧告に基づく給与改定などにより給与費が大幅に増加したことなどにより、対前年度比4.0パーセント増の約71億1,900万円となり、単年度収支では約5億4,200万円の純損失を見込んでおります。
以上申し上げまして、行政報告といたします。