【はじめに】
令和7年 第1回定例市議会の開会に当たりまして、市政執行に対する私の所信を申し上げます。
市政の舵取りを担わせていただき、本年3年目を迎えますが、引き続き、9万8千の市民に、安全安心な暮らしと、活気あふれるまちを実感していただけるよう、現場重視の姿勢で、責務を全うしてまいります。
本年も、皆さまの一層のご支援とご協力をお願いいたします。
さて、現下の国際情勢は、ウクライナや中東において緊迫した情勢が続いており、円の動向も相まって、原油価格や物価の高騰等、市民生活へも大きな影響を与えているところです。
また、米国の政策に起因し、今後の経済や安全保障政策など、我が国に与える影響・変化を注視していく必要があります。
一方、国内においては、石破内閣のもと、国づくりの基本軸として、地方創生の更なる推進や、自衛隊の人的基盤をはじめとする防衛力の強化、社会保障制度や少子化対策への取組の充実などが掲げられております。
政府には、市民生活に直結する物価高騰対策や、少子化対策など、現下の課題を踏まえた政策への取組に期待するところであります。
本市におきましては、昨年度から策定を進めておりました、ラピダス社の立地等による、まちの変化や将来のまちづくりの方向性を示す「将来ビジョン」が完成し、また、ラピダス社立地や今後の半導体関連産業集積による波及効果等を想定し、「人口ビジョン」を改訂したところであります。
これらのビジョンを踏まえながら、本市を取り巻く社会情勢の変化を的確に捉えて、第7期総合計画に掲げる施策を着実に進め、「市民が暮らしやすく、活力あふれるまち」となるよう、全力で取り組んでいく所存であります。
【市政運営の基本姿勢について】
ここで、市政運営に臨む基本姿勢について申し上げます。
私はこれまで「市民の安全安心」と「地域経済の活性化」、これを基本に、まちの課題に取り組んでまいりました。
今後もこの二つのテーマを軸に据え、市民に「安心感」「安定感」「将来への希望」を感じていただけるまちづくりを目指して、各施策を推進してまいります。
まずは、「安全安心、人を育むまちづくり」であります。
昨年の能登半島地震をはじめ、全国各地で発生している台風・集中豪雨による風水害や、大雪による雪害等、近年、頻発化している自然災害を目の当たりにし、あらためて、防災・減災に向けた取組の重要性を強く感じているところであります。
また、少子高齢化、労働人口の減少、デジタル社会への転換など、社会構造が大きく変化している中、全国的に深刻化している人材不足への取組や、多様化するライフスタイルへの対応、まちの将来を担う子どもたちが、生き生きと学び、子育て世代が安全安心に子育てできる環境づくりは、本市においても重要な課題であります。
時代の流れとともに、急速に変化する社会情勢を見極め、市民ニーズを的確に捉え、「医療・福祉」をはじめ、「子育て・教育環境」の充実や、「防災施策」の推進、「都市基盤」の整備など、日々の生活に「安心」と「幸せ」を感じるまちづくりを進めてまいります。
次に、「快適で、活気あふれるまちづくり」であります。
私は、これまで、現場重視の姿勢で、さまざまな分野で活動する市民や事業者と対話し、それぞれが抱える課題やまちへの想いなどの把握に努めてまいりました。
そして、産業や自然環境、あるいは経験豊富な人材など、まちのポテンシャルは高いものと、感じているところです。
本市には、北海道の空の玄関である新千歳空港が所在し、石狩管内において高い農業生産額を誇る農業生産地帯や、280社を超える企業が立地する工業団地、四季折々の景観が魅力的な国立公園支笏湖があり、現在、次世代半導体製造拠点となるラピダス社による工場稼働に向けた取組が進められております。
これらの特性(地域資源)は、まちの活性化、発展に欠かせない、たいへん貴重な財産であり、本市が誇る特性を最大限活かしながら、市民、事業者とともに、活力あふれるまちづくりに取り組んでまいります。
【重要課題について】
次に、今後のまちづくりにおける「重要な課題」とその対応について申し上げます。
はじめに、現在、国家プロジェクトとして進められております「次世代半導体製造拠点整備への対応」であります。
令和5年2月のラピダス社による「千歳美々ワールド」への立地決定からわずか2年、世界最先端の半導体工場 「IIM-1」 が、4月から試作ラインの稼働を迎えます。
本市では、これまで道路や上下水道など各種インフラ整備を着実に進め、試作ラインの稼働に向けた対応を完了したところであり、引き続き令和9年の量産開始に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。
市内では装置メーカーや物流企業など新たに37社が立地し、半導体産業拠点としての芽が着実に育ちつつあるほか、ホテルやオフィス開発等の民間投資の動きが、かつてないほど活発化しています。
まちの新たな活力を生み出す関連従業員などの定住者や、出張者など一時滞在者の受け入れ環境整備を進めるとともに、産業の持続的発展を支える人材育成についても、公立千歳科学技術大学をはじめとする関係機関と密接に連携し取り組んでまいります。
これまでラピダス社の立地を契機に、市内ではサービスや消費活動の増大などによる経済効果を少しずつ実感しておりますが、今後も市内事業者の取引拡大に向けた取組などを通じて、市内経済全体の底上げや、多岐にわたる波及効果に繋げてまいります。
また、このたび策定した「千歳市将来ビジョン」では、同社の立地によるまちの変化のほか、産業や人口などへの影響についての調査・分析を行い、将来のまちづくりに向けた3つのコンセプトなどを描いたところであります。
今後、様々な機会を通じて市民や事業者の皆さまに理解、共感をいただくことで、更なるまちの発展を目指してまいります。
2点目は「子育て支援と教育環境の充実」です。
少子高齢化社会が進む中、本市においても、出生率が低下傾向にあることから、子育て世代が安心して子どもを産み育てられる環境づくりが重要となっております。
まちの将来を担う子どもたちの健やかな成長を支えていくため、令和7年度から5か年を計画期間とする「千歳市こども計画」等に基づき、こども施策を総合的に推進し、地域特性を踏まえた妊娠・出産から子育てまでの切れ目のない支援を行ってまいります。
また、令和8年度から、国において新たな給付制度として創設されることとなりました「こども誰でも通園制度」について、円滑な実施を図るため、令和7年度の早期に先行実施いたします。
仕事と育児の両立支援を充実させるため、令和7年度は、保育の受け皿確保として、利用定員を45人拡大するほか、「病児・病後児保育事業」について、感染症流行時等においても、更なる受け入れが可能となるよう利用定員をこれまでの3名から5名に拡大します。
利用定員の拡大とともに、市内保育従事者数の増加を図るため、子育て支援員を新たに雇用するために必要な費用を保育所等に補助するとともに、子育て支援員となるために必要な研修を実施してまいります。
子どもたちの安全と快適な学習環境等を確保していくため、引き続き、小中学校及び市内の学童クラブや児童館へエアコン設置を順次進めるなど、ソフト、ハードの両面から、子育て支援と教育環境の充実を図ってまいります。
3点目は「自衛隊の体制強化」についてです。
本市は、70年以上の長きにわたり自衛隊との共存共栄のまちづくりを進めており、人口の維持や安定した市内経済活動の継続のためには、自衛隊の体制維持・強化が不可欠であります。
国は、「防衛力整備計画」等に基づき、新たな領域における部隊の新編や、南西正面への部隊配置、人的基盤の強化など、防衛力の整備等に必要な事業を着実に推進しているところですが、南西重視の観点から、千歳市における部隊が削減、縮小の対象となり、隊員が減少することを強く懸念しております。
防衛政策上、北海道の重要性は不変であり、引き続き、「北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会」、「千歳市における自衛隊の体制強化を求める期成会」などと連携を図り、本市への新たな部隊の誘致を含めた自衛隊の体制強化や充足の向上、人材確保に向けた自衛官の処遇改善を求める活動を精力的に行ってまいります。
4点目は「都市基盤の整備と防災への取組」です。
市民生活や社会経済活動にとって最も身近な社会インフラである道路や橋梁、上下水道などの都市基盤の整備については、老朽化が進む道路、橋梁などの修繕や更新、耐震化などを、計画的に進めているところであり、今後も、市民がこのまちで、快適に暮らし続けられるよう、積極的に取り組んでまいります。
防災への取組としては、予測できない大規模な地震や自然災害等への日頃からの備えの重要性が増しているところであり、指定避難所への給水確保に向けた重要給水施設の耐震化を継続して行うとともに、ハザードマップや施設情報などの地理空間情報をWeb(ウェブ)上で確認できる「公開型GIS」の導入を進めてまいります。
災害対応は、官民の連携協力も極めて重要となってまいりますことから、物資供給や避難所運営などに関する民間事業者等との災害協定の締結をはじめ、防災関係機関との連携、消防力の強化、資機材等の充実など、災害時においても市民が安心して生活できるよう、取組を進めてまいります。
5点目は「空港開港100年に向けた取組」です。
令和8年に迎える空港開港100年に向けた取組については、昨年2月に設立した「千歳市空港開港100年記念事業実行委員会」を中心に、市民公募により決定したロゴマーク、及びキャッチフレーズ「翼に夢を乗せて次の100年へ」を活用した啓発活動を行い、市民の機運醸成を図るとともに、記念事業の検討を進めているところであります。
令和7年度は、99年前に千歳に初めて着陸した、「北海」第一号の原寸大模型を、蘭越浄水場から市役所本庁舎市民ロビーに移設する予定であり、空港開港100年の節目を契機に、歴史を再認識し、次の100年に向けたスタートラインとなるよう、実行委員会とともに取り組んでまいります。
【主な施策】
次に「第7期総合計画」で設定した「7つのまちづくりの基本目標」に沿って、主な施策を申し上げます。
第1は、『あたたかさとつながりを心で感じられるまち』の推進であります。
医療については、市立千歳市民病院において、医師をはじめとする医療従事者の更なる充実を図り、地域の基幹病院として救急・高度医療、小児・周産期医療の充実に努めるとともに、紹介患者の積極的な受入などにより、地域医療連携を推進してまいります。
また、新興感染症や医療制度改革など医療を取り巻く環境の変化に的確に対応し、持続可能な地域医療体制を確保するため、「市民病院の経営改善及び2030年を見据えた医療機能検討委員会」を新たに設置するなど、更なる経営改善に取り組んでまいります。
地域福祉については、市民の健康や社会福祉活動の拠点となる「総合福祉センター」について、主要設備の老朽化等の解消を含め、施設の環境改善を着実に進めてまいります。
また、こども・子育て、障がい、介護、生活困窮等の複合・複雑化した支援ニーズに対応するため、新たな相談支援、参加支援、居場所づくりを一体的に行う「重層的支援体制整備事業」を実施し、各関係機関と連携して包括的な支援を進めてまいります。
保健予防については、予防接種において、帯状疱疹ワクチンが予防接種法に基づく定期接種の「B類疾病」に位置づけられることから、新たに65歳以上の対象の方に接種費用の助成を実施します。
母子保健については、妊婦健診費用等の拡充を図るため、多胎を妊娠中の方に健診回数の上乗せを実施するとともに、産後ケア事業における、デイサービス型の利用期間を産後4か月未満から産後6か月未満に引き上げるなど、妊産婦等に対する支援の充実を図ってまいります。
高齢・障がい福祉については、「千歳市コミュニケーション並びに情報の取得及び利用のための多様な手段の利用促進に関する条例」を制定し、意思疎通に配慮が必要な障がいのある人や高齢者のコミュニケーション等のための多様な手段の利用促進や、理解を深める施策を進め、市民が安心して共に生きることができる地域社会の実現を目指します。
また、認知症予防・介護予防を目的として、身体障害者手帳の交付対象とならない中等度の難聴高齢者の社会参加や地域交流が促進されるよう、補聴器購入費助成事業を新たに実施してまいります。
子育て支援については、育児期間の経済的負担を軽減し、子育て環境の更なる充実を図るため、子ども医療費の助成対象年齢を高校生世代(18歳)まで拡大するほか、所得制限を撤廃し、令和7年8月診療分から、医療費を「原則無料化」します。
第2は、『豊かな自然を育み快適で住みよいまち』の推進であります。
カーボンニュートラルに関する取組については、市民や事業者と地球温暖化の危機感を共有し、グリーン水素の地産地消に向けた取組や、公共施設への太陽光発電設備の導入など、脱炭素化とまちの発展の両立を目指してまいります。
廃棄物対策については、本市を含む2市4町で構成する道央廃棄物処理組合において、昨年4月から焼却施設の供用を開始しており、引き続き、「安全」・「安心」・「安定」した、施設の管理運営を行ってまいります。
また、最終処分場の整備を、全ての構成市町が参画可能となる令和16年度を目標として、検討を進めてまいります。
航空機騒音に対する住宅防音工事の促進については、「予算の確保」のほか、「対象範囲の拡大」「告示後住宅への対応」など、「制度の拡充」を国に対し強く要望してまいります。
米軍再編に係る訓練移転や諸外国との共同訓練等については、市民の「不安解消」や「安全・安心」を確保するため、引き続き、国に対し「事前の情報提供」や「安全管理の徹底」などを求めてまいります。
再編関連訓練移転等交付金については、令和8年度までの時限措置とされておりますが、市民の福祉と生活環境の改善を図るため、交付金の延長や新たな交付金制度の創設など訓練移転に係る交付金の継続を国に対し強く要望してまいります。
第3は、『災害や危険から暮らしを守るまち』の推進であります。
消防については、本市を含む6消防本部で整備を進めている札幌圏共同消防指令センターを令和7年10月頃から運用を開始するとともに、消防施設の適正配置と消防力の効率的な運用を図るため、消防署富丘出張所の新築移転に向けた取組や、消防車両、消防用資機材及び消防団員の防火服の更新整備を推進し、災害対応力の強化を図ってまいります。
防災については、災害応急対策用品の整備や、民間事業者、防災関係機関等との連携強化に努めるとともに、地域の活動が主体的に行われるよう、自主防災組織や各町内会等の要望に合わせた「出張訓練支援」や「地域防災リーダー養成講座」「避難所開設訓練」などの防災事業を積極的に実施し、市民とともに、災害に強いまちづくりを進めてまいります。
デジタル技術を活用した防災対策として、住民基本台帳情報を基にした被災者台帳の作成や、避難所の入退所管理等が行える「クラウド型被災者支援システム」を整備し、災害時における被災者支援業務の迅速化、効率化を図ってまいります。
また、近年、市街地周辺でのヒグマの目撃情報が増加していることから、ヒグマが警戒する音を発生する装置を新たに導入し、出没抑制に向けた取組を進めてまいります。
第4は、『充実した学びと豊かな文化・スポーツのまち』の推進であります。
学校活動への支援については、不登校対策として、教室に登校することが困難な児童生徒の学習保障や教育相談の充実を図るため、校内教育支援センターへの支援員配置を進めてまいります。
学校給食の充実については、「千歳市新学校給食センター整備基本計画」に基づき、事業者の募集に向けて、要求水準書等を策定するなど、計画的に事業を推進してまいります。
公立千歳科学技術大学については、令和7年度を始期とする「公立大学法人公立千歳科学技術大学第2期中期目標」に基づき、質の高い教育・国際レベルの研究に取り組むとともに、文部科学省の補助事業を活用した大学院の機能強化・拡充による高度情報専門人材の育成や、今般、採択された「地方大学・地域産業創生交付金」を活用し、北海道、北海道大学との緊密な連携のもと、半導体産業の発展を支える人材の育成を進めてまいります。
スポーツ振興については、スポーツ施設を市民が安心に利用できるよう、緊急性などを踏まえながら修繕に努めるとともに、青葉公園庭球場など施設の更新を計画的に行ってまいります。
文化財については、世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産の一つである国指定史跡「キウス周堤墓群」のガイダンスセンターを本年4月25日にオープンするとともに、史跡の保存や活用を行い、その継承を図ってまいります。
第5は、『地の利と資源を生かした産業のまち』の推進であります。
農林業においては、優良農地の確保や、スマート農業の普及推進助成等による農業経営の強化、健全な森林の維持など、今後も地域資源を生かし、次世代に繋いでいく事業を引き続き推進してまいります。
また、農業基盤整備については、漁川右岸地区において、農地の湛水被害の解消や農業生産性の向上及び農業経営の安定を図るため、地域及び関係機関と連携し、国営事業を通じ排水施設の整備などに取り組んでまいります。
商業の振興については、引き続き、空き店舗の利活用促進や中小企業振興融資を利用する事業者への保証料補給などを行い、創業しやすい環境づくりや市内企業の安定経営を支援するとともに、市民や商業者、関係団体等の意見を踏まえた新たな「商業振興プラン」の策定に取り組んでまいります。
雇用者、求職者については、合同求人企業説明会や高校生向けの市内企業見学バスツアーを継続するとともに、採用後の早期離職を防ぐための企業向けセミナーを開催するなど、市内企業の人材確保を一層支援してまいります。
観光振興については、観光パンフレットの多言語化や新たな「観光PR動画」の作成などPRツールを充実させ、関係団体や自治体等と連携して国内外へのプロモーション活動を進め、引き続き、訪日外国人を含む旅行者の誘客を図ってまいります。
また、令和8年度からの新しい「観光振興プラン」を策定するため、関係事業者等と協力して市の特性や優位性を生かした観光地づくりに向けた課題分析や施策の方向性を検討するとともに、観光振興に向けた施策の一環として宿泊税の導入についても、引き続き関係者等への説明や調整を行いながら、検討を進めてまいります。
支笏湖チップについては、地域団体商標の登録に向け、長年にわたり支笏湖地域が一丸となって取り組んできた結果、昨年、地域団体商標に登録されましたことから、支笏湖漁業協同組合と連携し、更なるプロモーション活動を行い、ブランド強化に取り組んでまいります。
本市の工業団地については、ラピダス社の立地以降、半導体関連企業をはじめとして様々な業種の企業から問い合わせをいただいているほか、立地企業からも用地拡張の相談が寄せられておりますが、現在本市の11の工業団地は、およそ93パーセントが分譲済みとなっており、また、残りの区画についても順次商談を進めているところです。
このことから、本市への進出を検討している企業の需要に応えられるよう、新たな工業団地の開発に向け、柏台地区に所在する国有地を工業用地として、土地利用計画を取りまとめたところであります。
整備にあたっては、「半導体産業を中心とした多様な産業の集積拠点」をコンセプトとし、早期の開発に向け、新たに「土地区画整理事業特別会計」を設置し、本事業に係る基本設計、現況測量、地質調査等を実施してまいります。
企業誘致については、引き続き、企業への訪問活動やトップセールスなどによる誘致活動を行うほか、令和10年度に予定する新たな工業団地の分譲に向けて、企業進出の動向を把握するため、新工業団地立地意向調査を実施するとともに、首都圏等で開催される産業展示会などにおいて、積極的に情報発信を行うなど、本市工業団地のPRを行ってまいります。
また、立地企業の振興については、引き続き、企業の円滑な操業をサポートするため、意見交換や訪問活動などを積極的に行うとともに、企業と共に発展するまちづくりを進められるよう、連携を図ってまいります。
第6は、『暮らしやすく便利な都市基盤があるまち』の推進であります。
新千歳空港については、地域経済の活性化に繋げるため、北海道エアポートをはじめ、関係機関と連携して、空港機能等の高質化や航空路線の維持・拡充などに取り組むとともに、24時間運用に係る深夜・早朝便の運航については、引き続き、市民の理解を得ながら、地域住民の生活環境の保全に努め、新千歳空港の国際拠点空港化に取り組んでまいります。
中心市街地の活性化については、引き続き、千歳市民夏まつりの開催などを支援するとともに、エリアマネジメントに関する勉強会を実施するなど、「ちとせ未来ビジョン」の実現に向けた取組を進めてまいります。
公園については、誰もがお互いを認め合い、楽しく遊ぶことができるようインクルーシブ遊具の整備とともに、公園の魅力向上に向けた施設の更新や民間との連携による利活用の検討などを行い、より柔軟に使うことが出来るよう取組を進めてまいります。
千歳川流域の治水対策については、昨年7月、千歳川流域は北海道では初となる、特定都市河川浸水被害対策法に基づく、千歳川流域水害対策計画が策定されましたことから、今後、堤防整備や河道掘削などの河川整備の加速化や、開発行為に伴う雨水の流出抑制対策などを着実に推進し、千歳川流域における水害への安全性の向上に取り組んでまいります。
また、現在、千歳川の河川空間を活用した、千歳市かわまちづくり計画について、令和7年4月の申請に向けて策定を進めており、今後、まちのシンボルである千歳川の利活用を図ることにより、市民をはじめ本市を訪れる方にとって魅力あるまちとなるよう、取組を進めてまいります。
上下水道については、「水道事業経営計画」及び「下水道事業経営計画」に掲げる経営の基本方針に基づき、施設の重要度・優先度を踏まえた計画的な更新のほか、重要給水施設である指定避難所等への配水管路の耐震化や汚水管の更生事業を行い、災害に強い施設整備を進めるとともに、経営の健全性と事業の持続性を確保します。
また、ラピダス社の試作ラインに必要な水の供給を開始し、量産体制における排水処理に対応するため、ポンプ場及び下水道管の整備や、処理場における処理能力の増強に引き続き取り組んでまいりますとともに、半導体工場の立地を契機としたまちの発展に伴い、水需要の増加が想定されることから水源確保に向けた検討を進めてまいります。
第7は、『多彩な市民とオール千歳で挑戦するまち』の推進であります。
町内会活動については、生活環境の向上や防犯、自主防災など、市民協働のまちづくりを進める上で重要な役割を担っており、引き続き、市町連などと連携し、活発にコミュニティ活動に取り組むことができるよう必要な支援に努めてまいります。
また、新たな地域コミュニティの拠点となります、「(仮称)大和地区コミュニティセンター」について、令和9年度中の供用開始に向けて、実施設計業務などに着手してまいります。
DXの推進については、「千歳市DX推進計画」に基づき、(都市計画、道路、防災など)行政が保有する様々な地図情報をインターネットで広く公開し、市民や事業者が来庁せずに情報を閲覧、利用することができるシステムの導入や、住民登録、税などの行政情報システムの標準化、行政文書における電子決裁システムの導入など、様々な
分野においてデジタル技術を活用し、質の高い行政サービスの提供や業務の効率化を進めてまいります。
情報発信については、本市の持つまちの魅力を「ふるさと納税」や「移住情報ポータルサイト」などを活用し、効果的に発信していくとともに、市民生活やまちづくりに関する情報を、広報ちとせやホームページ、SNS等による発信に加え、プレスリリース等メディアの積極的な活用により、幅広い年齢層に情報が伝えられるよう取り組んでまいります。
市公式ホームページについては、AI技術を活用した検索機能や、「やさしい日本語」機能の導入、市政情報を動画で発信する「インターネット放送局」の開設などにより、誰もが迅速かつ簡単に情報を得られるよう、機能の強化を図ります。
健全な財政基盤の整備については、令和7年度が、現在実行している第2期財政標準化計画の中間見直しの時期となることから、歳入に見合った歳出を前提として、近年の物価・人件費等の高騰や財源の見通し等も考慮しつつ、事業予算確保の方策を検討してまいります。
【新年度の予算】
次に、新年度の予算について申し上げます。
令和7年度当初予算の編成に当たっては、「第7期総合計画」及び「第2期財政標準化計画」を着実に推進するとともに、人口増加が続く、持続可能な千歳市の未来に向けて、直面する課題の解決に積極的に取り組み、公約に掲げる政策を具現化するため、「優先課題推進枠」として予算の重点化を図り、「次世代へつなげる"発展"予算」として取りまとめたところであります。
この結果、一般会計の予算総額では、595億1,916万3千円、前年度予算と比べ、68億4,316万3千円、13パーセントの増としたところであります。
また、一般会計に7特別会計を含めた8会計の総額では、781億4,577万9千円となり、公営企業会計を加えた総体では、1,002億5,928万2千円の規模で編成したところであります。
なお、予算の細部については、別に「令和7年度千歳市各会計予算大綱」の中でご説明申し上げます。
【むすび】
以上、市政に臨むにあたっての「私の所信」について申し上げました。
令和7年は、ラピダス社が建設を進めているIIM-1において、次世代のロジック半導体の試作ラインの稼働が予定されるなど、本市が、国内外から一層注目される年になります。
「空港」「自衛隊」、そして、半導体関連産業の集積をはじめとする「工業都市」など、まちの強味を活かしながら、様々な期待をまちの活力に変え、更なる発展を目指し、まちづくりを進めていく所存であります。
引き続き、市議会議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力を心からお願い申し上げます。