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令和7年度教育行政執行方針

 

はじめに 

 

 令和7年第1回定例市議会の開会にあたり、令和7年度の教育行政執行方針を申し上げます。

 社会を取り巻く環境は、人口減少・少子高齢化の進行やグローバル情勢の混迷、生成AI等デジタル技術の発展など、急激に変化しており、学校教育の推進にあたっては、学校・家庭・地域が一体となり、こどもたちが、予測困難な未来に向けて、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となるために必要な「資質・能力」の育成を一層推進する必要があります。

 また、生涯学習の充実にあたっては、市民一人ひとりが生涯にわたり、あらゆる機会に、あらゆる場所で学習することができ、学びを通して、まちづくりで活躍する人材を育む「生涯学習社会の構築」を進めていく必要があります。

 これらの状況を踏まえ、子どもたちが生き生きと学び成長し、市民一人ひとりが生涯にわたって学習し、その成果を地域で生かし、ふるさと千歳の未来につなげることができるよう、「千歳市教育振興基本計画」に基づき、教育活動のさらなる充実に取り組んでまいります。

 

 教育重点施策

  

 ここで、令和7年度の教育重点施策について申し上げます。

 第1に、『確かな学力の向上』であります。
 学力向上には、児童生徒が基礎的な「知識・技能」を習得するだけでなく、これらを活用して思考し、判断し、表現する力を育むこと、さらには、主体的に学ぶ態度や人間性を養うことが必要とされております。

 これらの資質・能力の基盤となる読解力と記述力などの言語能力を向上させるためには、児童生徒が主体的に課題に向き合い、意見交換を通して考えを深める「探究型・対話型」授業と、基礎基本や学び方を身につける「習得型・反復型」授業を効果的に組み合わせた学習指導が重要であります。

 各小中学校においては、児童生徒が積極的に他者と意見交換することができる学習支援ソフトを本格導入し、電子黒板など既存のICT機器と組み合わせた授業を推進するほか、算数・数学科における学習支援員等による習熟度別少人数指導やデジタルAIドリルの効果的な活用による個別学習の充実などにより、授業改善を着実に推し進めるとともに、教員の意識改革に努め、子どもたちの資質・能力を育成する「授業改革」を徹底してまいります。

 第2に、『いじめ・不登校の対策』であります。
 いじめは、どのような理由があっても絶対に許されるものではなく、どの学校でも起こりうるという認識のもと、引き続き、いじめシンポジウムの実施等により、いじめが起こる背景や要因、その対策などについて児童生徒や保護者などの共通理解を図るとともに、教員による日常的な観察やいじめアンケート、ハイパーQU検査による客観的な調査の実施により、早期発見、迅速な対応に努めるほか、家庭や関係機関とも連携し、児童生徒一人ひとりの状況に応じた個別の相談や支援を行うなど、いじめの見逃しゼロに向けた取組を進めてまいります。

 不登校については、教室に登校することが困難な児童生徒のための「校内教育支援センター」に専属の支援員を配置し、学習保障や教育相談の充実を図るとともに、児童生徒・保護者の悩み、不安等を教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーと共有するなど、学校復帰や学びの継続に向けた、組織的な支援を行ってまいります。

 第3に、『生涯学習の推進』であります。
 市民が活躍する生涯学習によるまちづくりを推進するため、各世代の生活課題や地域課題に対応した社会教育の充実に努めてまいります。
 また、まちの魅力を高め、心を豊かにする文化芸術の振興と文化財の保護・継承を進めてまいります。

 

  主な施策  

 

 次に、「千歳市教育振興基本計画」の基本理念を実現するための6つの基本目標について、主な施策を申し上げます。

 第1は、『社会で生きる力を育む教育の推進』であります。
 「学年・学級経営」については、基本的なルールを守り、互いに認め合える人間関係を築くことは、児童生徒が学び合う「探究型・対話型」授業の充実につながるとともに、自尊感情や自己有用感が高まり、いじめや不登校の未然防止にも寄与することから、引き続き、ハイパーQU検査による客観的な分析を活用しながら個別支援や教育相談を充実させ、互いに認め合い、助け合いながら学びに向かう集団の育成を図ってまいります。

 「確かな学力の育成」については、各小中学校における授業改革等を徹底するとともに、更新時期を迎えている学習者用コンピュータについては、令和7年度から令和9年度の3か年で、国が示す都道府県単位での共同調達の方法により、計画的に更新してまいります。

 「特別支援教育」については、引き続き、児童生徒が、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援を受けることができるよう、小学校入学前から教育相談を行い、適切な就学先の決定に努めるほか、研修の実施などにより、教員の指導力向上に取り組むとともに、対象となる児童生徒の増加に応じて、児童生徒ヘルパーの増員を行うなど、特別支援教育の充実に努めてまいります。

 「外国語教育」については、引き続き、小学校で一部導入されている英語専科教員による授業実践の成果を各校と共有することで、小学校教員の指導力向上や、中学校との英語教育の円滑な接続に取り組んでいくほか、小学校に配置している外国人英語指導助手(ALT)を増員し、児童生徒の英語力の向上を図ってまいります。

 第2は、『豊かな心と健やかな体を育む教育の推進』であります。
 「ふるさと教育」については、本市や北海道の歴史、文化、産業について、理解を深める学びや体験学習を推進するほか、小学校社会科副読本「私たちの千歳」を活用するなど、郷土に対する愛着や誇りを育む学習機会の充実を図ってまいります。

 「読書活動」については、「第3次千歳市子どもの読書活動推進計画」に基づき、子どもたちの読書活動の充実を図るほか、学校図書館司書の配置日数を計画的に増加していくなど、読書相談や調べ学習でのアドバイスをはじめとする学校図書館機能のさらなる充実を図ってまいります。

 「体力・運動能力」については、新体力テストの結果などを踏まえ、体育の授業において、十分な運動量を確保し、様々な要素の運動を取り入れた指導の工夫と改善を図るなど、児童生徒の健やかな身体の育成に努めてまいります。

 「部活動の地域移行」については、引き続き、教員に代わり部活動を指導する「部活動指導員」を中学校に配置し、部活動の充実や教員の負担軽減を図るとともに、令和7年度に国が示す新たなガイドラインを踏まえ、実効性のある地域展開について、検討してまいります。

 「食育」については、正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう、栄養教諭を中心とした指導を推進するほか、引き続き、児童生徒が考案したメニューを実際の給食で提供する「給食レシピコンテスト」を実施するとともに、給食だよりやSNS、千歳市教育委員会だより「からふる」を活用し、給食や地元食材の魅力を発信するなど、食育の充実に努めてまいります。

 学校給食については、児童生徒が必要とするエネルギー量や栄養バランスが確保された給食を安定的に提供できるよう、学校給食費を改定することといたしましたが、近年の急激な物価高騰により給食用食材の購入費が高止まりしていることを踏まえ、令和4年度から実施している食材購入費の一部公費負担を継続し、保護者の負担軽減を図ってまいります。

 新学校給食センターの整備については、「千歳市新学校給食センター整備基本計画」に基づき、事業者募集のための要求水準書等を策定するなど、計画的に事業を推進してまいります。

 第3は、『学びを支え、つなぐ教育環境の充実』であります。
 「学校運営」については、各校が掲げる学校経営方針を着実に実現し、教育の質向上に資するため、教育委員会の学校教育主事やスクールソーシャルワーカーが各学校を訪問し、学校改善プランや授業改革の推進、いじめ・不登校などの課題に対する指導・助言を行うほか、教職員の働き方改革を進めるため、ICT機器の活用による業務の効率化やメンタルヘルス対策などに取り組んでまいります。

 「学校施設・設備の充実」については、学校における安全・安心な教育環境の確保に向け、校舎・講堂の計画的な改修に取り組むとともに、小中学校の普通教室等へのエアコン設置については、令和6年度からの小学校の整備に続き、中学校の整備に着手してまいります。

 小中学校の適正規模・適正配置については、半導体関連企業の集積などにより、人口動態や人口構造に変化が生じることが見込まれることから、千歳市人口ビジョン(改訂版)や児童生徒数の将来推計などを踏まえ、各校の課題等を整理し、それぞれの学校のあるべき姿や今後の方向性について、検討してまいります。

 「学びのセーフティネットの構築」については、経済的理由で教育の機会が失われることのないよう、小中学校については、引き続き、就学援助制度により、必要な支援を行っていくとともに、給付型奨学金については、出願者数の状況を踏まえ、令和3年度に拡大した交付人数枠を維持し、高等教育を受ける機会の確保に努めてまいります。

 「家庭教育支援」については、千歳市PTA連合会との連携により、令和6年度に改訂した「家庭生活宣言」を普及啓発するなど、児童生徒の規則正しい生活習慣や学習習慣、社会生活ルールやマナーの習得を目指してまいります。

 「学校と地域の連携・協働」については、「学校運営協議会(コミュニティスクール)」において、保護者や地域住民が、学校と教育目標やビジョンを共有し、学校運営の改善を図るとともに、児童生徒を犯罪や事故から守り、登下校等の安全を確保するため、「千歳っ子見守り隊」の取組を推進するなど、子どもたちの安全確保に努めてまいります。

 「学校段階等間の連携・交流」については、各学校段階を円滑に接続するため、子ども園等と小学校では、子どもの成長に関する情報共有や交流の機会を設けるなどの連携を図ってまいります。
 小中学校間においては、各中学校区単位で目指す子ども像を共有し、「探究型・対話型」授業の質向上や児童生徒の学習・生活習慣の改善など、小中9年間を通じた取組を推進し、小中連携・一貫教育を進めてまいります。

 第4は、『市民が活躍する生涯学習によるまちづくりの推進』であります。
 「多様な主体の連携による学び合いと交流の場」については、「千歳学出前講座」の登録講座を拡充し、学習機会の充実を図るほか、生涯学習まちづくりフェスティバル「ふるさとポケット」を開催し、市民活動団体の活動成果の発表や交流の場を提供してまいります。

 「市民活動交流センター」については、「市民活動講座」や「ミナクールサロン」の開催など、利用者のニーズにあわせて、市民活動の活性化を図ってまいります。

 「地域と学校の連携による地域の教育力を高める活動」については、地域学校協働活動の協働活動コーディネーターを計画的に増員し、学校における水泳、スキー、書写等の授業を地域人材が支援する取組を推進するなど、地域と学校の連携を深め、子どもたちの豊かな学びや健やかな成長を支える環境づくりに努めてまいります。

 第5は、『各世代の生活課題や地域課題に対応した社会教育の充実』であります。
 「乳幼児期からの家庭教育を支える学び」については、引き続き、「バンビはぐくみプログラム」をとおして、子育て中の親に育児知識の習得と情報交換の場を提供するほか、「家庭教育セミナー」を開催し、家庭や地域での教育力を高めるための支援を行ってまいります。

 「青少年の自立と成長を育む学び」については、公益財団法人千歳青少年教育財団と連携した、自然体験教室や宿泊学習など各種教育事業のほか、引き続き、指宿市との青少年相互交流事業を実施してまいります。

 「成人期や高齢期を誰もが豊かに過ごす学び」については、「市民教養セミナー」を開催するほか、高齢者の学習・交流の機会として、「千歳高星大学」や「千歳高星大学大学院」、「若返り学園」を実施してまいります。

 「読書環境の充実」については、市立図書館の図書資料の充実に努めるほか、移動図書館車「ブッくん」の更新、図書取次場所の拡大など、利用者の利便性向上に取り組むとともに、幅広い世代が読書に親しめるよう、おはなし会や図書館まつりなどのイベントの開催、ブックスタートの取組などを継続してまいります。

 第6は、『まちの魅力を高め、心を豊かにする文化芸術の振興と文化財の保護・継承』であります。
 「文化芸術に親しむ環境の整備」については、北ガス文化ホールにおける音楽・演劇などの公演や、市民ギャラリーにおける絵画・写真等の作品展など、市民ニーズを反映した魅力ある事業を実施してまいります。

 「文化財の保存と調査・研究及び継承」については、開発行為に伴う埋蔵文化財包蔵地の所在調査、工事立会、試掘調査業務の適切な実施など、引き続き、遺跡の保護に努めるとともに、市指定無形文化財である「アイヌの伝統的芸能と工芸技術」や「泉郷獅子舞」の保存・伝承活動を支援してまいります。

 「文化財の活用」については、キウス周堤墓群来訪者や市民の利便性向上を図るため、埋蔵文化財センターの休日開館を継続するほか、「縄文まつり」や「市内の遺跡紹介に関する企画展」の開催回数を増やすなど、身近に文化財に触れることができる機会の充実に努めてまいります。

 「世界文化遺産登録と資産保護の取組」については、史跡キウス周堤墓群に多くの方々に来訪していただき、価値や魅力を体感し理解を深めていただけるよう「千歳市史跡キウス周堤墓群ガイダンスセンター」を4月25日にオープンするとともに、園路工事や駐車場整備についても、着実に進めてまいります。

 

むすび

 

 以上、令和7年度の教育行政執行にあたっての重点施策と主な施策について申し上げました。

 今後も、未来を担う子どもたちや市民一人ひとりが、これまで以上に学ぶことの喜びを実感することができるよう、学校や家庭、地域、関係機関・団体などと連携を図り、市民の期待と信頼に応えることができる教育行政を推進してまいります。

 市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

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