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令和6年度教育行政執行方針

 

はじめに 

 

 令和6年第1回定例市議会の開会にあたり、令和6年度の教育行政執行方針を申し上げます。

 人口減少・少子高齢化の進行や産業構造の変化、ICTやグローバル化の進展など、社会を取り巻く環境は大きく変化しており、学校教育の推進にあたっては、学校・家庭・地域が一体となり、子どもたちが予測困難な将来において、たくましく生きていくために必要となる「資質・能力」の育成を一層推進する必要があります。

 また、生涯学習の充実にあたっては、市民一人ひとりが生涯にわたり、あらゆる機会に、あらゆる場所で学習することができ、学びを通して、まちづくりで活躍する人材を育む「生涯学習社会の構築」を進めていく必要があります。

 これらの状況を踏まえ、子どもたちが生き生きと学び成長し、市民一人ひとりが生涯にわたって学習し、その成果を地域で生かし、ふるさと千歳の未来につなげることができるよう、「千歳市教育振興基本計画」に基づき、教育活動のさらなる充実に取り組んでまいります。

 

 教育重点施策

  

 ここで、令和6年度の教育重点施策について申し上げます。

 第1に、『確かな学力の向上』であります。

 学力向上には、基礎的な「知識及び技能」、それらを活用して課題を解決するための「思考力、判断力、表現力」、さらには「主体的に学習に取り組む姿勢や人間性」といった資質・能力が必要とされております。

 これらの資質・能力は、児童生徒一人ひとりが自身の考えを他者に説明したり、互いの意見を交換したりする「探究型・対話型」の授業の推進により、確実に育成・定着されるものであり、各小中学校においては、千歳市学力向上検討委員会の提言などを踏まえ、教職員研修や学習者用コンピュータ等のICT機器の利活用を一層充実させるなど、授業改革を徹底してまいります。

 第2に、『教育環境の整備』であります。

 学校における安全・安心な教育環境を確保するため、校舎・講堂の計画的な改修に取り組むとともに、厳しい暑さの中で、児童生徒や教職員が熱中症等により体調を崩すことなく、集中して学習や勤務ができる環境を確保するため、小学校については令和7年の夏までに、中学校については令和8年の夏までに、普通教室等にエアコンを整備してまいります。
 また、それまでの間の段階的な暑さ対策として、令和6年の夏までに、普通教室等にスポットクーラーを設置するほか、クーリングシェルター機能として、各校が指定する特別教室などにエアコンを整備してまいります。

 第3に、『部活動地域移行の推進』であります。

 将来にわたり生徒がスポーツ・文化芸術活動に親しむことができる環境の整備や、部活動指導の負担軽減による教員の働き方改革に向け、引き続き、「千歳市部活動地域移行推進協議会」において検討を進めるとともに、地域移行に向けた段階的な取組として、教員の部活動指導を補完する「部活動指導員」の中学校への配置や指導者の人材発掘、育成に努めてまいります。
 
 第4に、『生涯学習の推進』であります。

 市民が活躍する生涯学習によるまちづくりを推進するため、各世代の生活課題や地域課題に対応した社会教育の充実に努めてまいります。
 また、まちの魅力を高め、心を豊かにする文化芸術の振興と文化財の保護・継承を進めてまいります。

 

  主な施策  

 

 次に、「千歳市教育振興基本計画」の基本理念を実現するための6つの基本目標について、主な施策を申し上げます。

 第1は、『社会で生きる力を育む教育の推進』であります。

 「学年・学級経営」については、教員との信頼関係や学級内のより良い人間関係が、児童生徒を育成するための基盤であることから、ハイパーQU検査による客観的な分析を活用し、教職員による日常観察では把握しきれない児童生徒1人ひとりの状況や学級集団としての傾向を確認することで、個別支援や教育相談を充実させるなど、引き続き、互いに認め合い、高め合う親和的な学級づくりを進めてまいります。

 「確かな学力の育成」については、「探究型・対話型」授業の推進のほか、基礎・基本の定着を図る「習得型・反復型」の授業として、学習支援員等による算数・数学科の習熟度別少人数指導を一層推進するとともに、電子黒板、デジタル教科書、AI搭載型デジタルドリルなどのICT機器を授業や家庭学習において有効活用し、個別学習や協働学習の充実を図ってまいります。

 「特別支援教育」については、「千歳市の特別支援教育の推進に係る基本方針」に基づき、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援を受けることができるよう、引き続き、研修などの実施により、教員の指導力向上に取り組むとともに、対象となる児童生徒の増加に応じて、児童生徒ヘルパーや特別支援教育支援員の増員を行うなど、特別支援教育の充実に努めてまいります。

 「外国語教育」については、引き続き、デジタル教科書や外国人英語指導助手(ALT)の活用などにより、児童生徒の英語力の向上を図るとともに、小学校で一部導入されている英語専科教員による授業実践の成果を各校と共有することで、小学校教員の指導力向上や、中学校との英語教育の円滑な接続に取り組んでまいります。

 第2は、『豊かな心と健やかな体を育む教育の推進』であります。

 「いじめ・不登校」については、いじめは絶対に許されるものではなく、どの学校でも起こりうるものであるという確固たる認識のもと、いじめの未然防止、早期発見・迅速な対応に努め、その根絶に向けて学校・家庭・地域等と連携し、児童生徒一人ひとりの状況に応じた個別の相談や支援などに取り組んでまいります。
 また、SNSの不適切な利用により、いじめや犯罪などのネットトラブルへと発展しないよう、インターネットの安全な使い方や、家庭でのルールづくりなどに関する指導・啓発の取組を継続してまいります。

 不登校の児童生徒への対応については、不登校の未然防止や、教室内には登校することができない児童生徒の学習保障などを図るため、「校内教育支援センター」の実証事業に着手し、別室登校の児童生徒を対象に、支援員による学習指導と教育相談を行ってまいります。
 また、スクールソーシャルワーカーを増員し、児童生徒・保護者の悩み、不安等の情報を教員やスクールカウンセラーと共有するなど、児童生徒の学校復帰や学びの継続に向けた、組織的な支援を行ってまいります。

 「ふるさと教育」については、小学校社会科副読本「私たちの千歳」を改訂し充実するほか、本市や北海道の歴史、文化、産業について、理解を深める学びや体験学習を推進するなど、郷土に対する愛着や誇りを育む機会の充実を図ってまいります。

 「読書活動」については、「第3次千歳市子どもの読書活動推進計画」に基づき、子どもたちの読書活動の充実を図るほか、学校図書館司書については、計画的に配置日数を増やすなど、読書相談や調べ学習でのアドバイスをはじめとする学校図書館機能のさらなる充実を図ってまいります。

 「体力・運動能力」については、新体力テストの結果などを踏まえ、効果的な体育活動を普及啓発するなど、児童生徒の健やかな身体の育成に努めてまいります。

 「食育」については、食に対する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けさせるため、栄養教諭を中心とした食に関する指導を推進し、食育の充実を図ってまいります。

 学校給食については、児童生徒が必要とするエネルギー量や栄養バランスが確保された給食を安定的に提供するため、急激な物価高騰に対する市の負担を継続しながら、学校給食費を改定いたします。
 また、学校給食費の取り扱いについては、保護者の利便性向上や教員の業務負担軽減のため、令和6年度から公会計へ移行いたします。

 新学校給食センターの整備については、より安全で安心な学校給食の提供に向け、民間事業者からのサウンディング調査結果も参考とし、建設候補地や配送計画、各室の配置や調理機器のレイアウトなどをより具体的に取りまとめた「千歳市新学校給食センター整備基本計画」を策定してまいります。

 第3は、『学びを支え、つなぐ教育環境の充実』であります。

 「学校運営」については、学校組織マネジメントの充実による学校経営方針の着実な実施に向け、教育委員会の学校教育主事による学校訪問回数を増加し、学校改善プランの確実な実行や授業改革の推進、不登校などの課題に対し、組織的に対応するための指導・助言を行うほか、教職員の働き方改革を進めるため、引き続き、業務の平準化やICTを活用した業務の効率化などに取り組んでまいります。

 「学びのセーフティネットの構築」については、経済的理由で教育の機会が失われることのないよう、引き続き、就学援助制度の周知を行うなど、必要な支援に努めてまいります。
 また、給付型奨学金については、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮して拡大した交付人数枠を維持し、修学・進学への意欲・能力がある学生生徒への支援を継続してまいります。

 「家庭教育支援」については、児童生徒の生活習慣がスマートフォンやSNSの普及により変化していることなどを鑑み、平成26年度に策定した「家庭生活宣言」を改訂し、千歳市PTA連合会との連携による家庭への普及啓発等を通じ、児童生徒の規則正しい生活習慣や学習習慣、社会生活ルールやマナーの習得を目指してまいります。

 「学校と地域の連携・協働」については、「学校運営協議会(コミュニティスクール)」において、保護者や地域住民が、学校と教育目標やビジョンを共有し、学校運営の改善を図るとともに、「地域学校協働活動」において、水泳、スケート、スキー等の授業を地域人材が支援するなど、地域と連携・協働した学校運営の推進に努めてまいります。
 また、児童生徒を犯罪や事故から守り、登下校等の安全を確保するため、「千歳っ子見守り隊」の取組を推進するなど、子どもたちの安全確保に努めてまいります。

 「学校段階等間の連携・交流」については、各学校段階を円滑に接続するため、子ども園等と小学校では、子どもの成長に関する情報共有や交流の機会を設けるなどの連携を図るとともに、小中学校においては、中学校区単位で目指す子ども像を共有し、現状における課題と、それに応じた学び方やICTの活用、学習習慣の改善などの方策について協議を行うなど、小中連携・一貫教育を進めてまいります。

 第4は、『市民が活躍する生涯学習によるまちづくりの推進』であります。

 「多様な主体の連携による学び合いと交流の場」については、「千歳学出前講座」の仕事編などの登録講座を拡充し、学習機会の充実を図るほか、生涯学習まちづくりフェスティバル「ふるさとポケット」を開催し、市民活動団体の活動成果の発表や交流の場を提供してまいります。
 「市民活動交流センター」については、「市民活動講座」や「ミナクールサロン」の開催など、利用者のニーズにあわせて、市民活動の活性化を図ってまいります。

 「地域と学校の連携による地域の教育力を高める活動」については、地域学校協働活動の取組を推進するため、協働活動コーディネーターを計画的に増員し、地域と学校の連携を深め、子どもたちの豊かな学びや健やかな成長を支える環境づくりに努めてまいります。

 第5は、『各世代の生活課題や地域課題に対応した社会教育の充実』であります。

 「青少年の自立と成長を育む学び」については、公益財団法人千歳青少年教育財団と連携し、自然体験教室や宿泊学習など各種教育事業を実施するほか、引き続き、指宿市との青少年相互交流事業を実施してまいります。

 「成人期や高齢期を誰もが豊かに過ごす学び」については、「市民教養セミナー」を開催するほか、高齢者の学習機会として、「千歳高星大学」や「千歳高星大学大学院」、「若返り学園」を実施してまいります。

 「読書環境の充実」については、市立図書館の図書資料の充実に努めるほか、引き続き、移動図書館車「ブッくん」の運行、インターネットなどを活用した図書の貸し出し予約など、利用者の利便性向上に取り組むとともに、幅広い世代が読書に親しめるよう、おはなし会や図書館まつりなどのイベントの開催、ブックスタートの取組などを継続してまいります。

 第6は、『まちの魅力を高め、心を豊かにする文化芸術の振興と文化財の保護・継承』であります。

 「文化芸術に親しむ環境の整備」については、北ガス文化ホールにおける音楽・演劇などの公演や、市民ギャラリーにおける絵画・写真等の作品展など、市民ニーズを反映した魅力ある事業を実施するとともに、開館から40周年を迎える北ガス文化ホールにおいて、記念事業を実施してまいります。

 「文化財の保存と調査・研究及び継承」については、開発行為に伴う調査業務の適切な実施など、引き続き、遺跡の保護に努めるとともに、市指定無形文化財である「アイヌの伝統的芸能と工芸技術」や「泉郷獅子舞」の保存・伝承活動を支援してまいります。

 「文化財の活用」については、キウス周堤墓群来訪者や市民の利便性向上を図るため、昨年に引き続き、埋蔵文化財センターの休日開館を試行的に実施するほか、「縄文まつり」や「史跡見学会」、「市内の遺跡等に関する企画展」などを開催し、身近に文化財に触れることができる機会の充実に努めてまいります。

 「世界文化遺産登録と資産保護の取組」については、キウス周堤墓群のガイダンス施設や展示設備、園路の工事に着手し、令和7年4月のオープンに向け、着実に整備を進めてまいります。

 

むすび

    

 以上、令和6年度の教育行政執行にあたっての重点施策と主な施策について申し上げました。

 今後も、未来を担う子どもたちや市民一人ひとりが、これまで以上に学ぶことの喜びを実感することができるよう、学校や家庭、地域、関係機関・団体などと連携を図り、市民の期待と信頼に応えることができる教育行政を推進してまいります。

 市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

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