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令和6年度市長市政執行方針

【はじめに】
 令和6年 第1回定例市議会の開会に当たりまして、市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 はじめに、本年元日に発生しました「能登半島地震」、翌2日に発生しました「羽田空港滑走路での航空機衝突事故」におきまして、お亡くなりになられました方々に心からご冥福をお祈り申し上げますとともに、地震災害において甚大な被害を受けられた石川県をはじめ近隣自治体の皆さまに心からお見舞いを申し上げます。

 能登半島地震においては、今なお、多くの被災者が厳しい避難所生活を余儀なくされ、悲しみや不安の中で過ごされておりますが、被災地の一日も早い復興を祈念する次第であります。

 石狩低地東縁断層帯や新千歳空港を有する本市におきましては、今回の地震や航空機事故を自分事と捉え、市民の生命及び財産を守るため、今後も、防災に関わる情報の収集・把握に努めるとともに、市民の皆さまの理解や協力を得ながら、防災関係機関や空港関係機関等と連携し、災害に強いまちづくり、ひとづくりに努めてまいります。


 令和6年の市政運営の基本姿勢並びに主要な施策について申し上げます。

 本年は、私にとりまして、市長就任2年目を迎えることとなりますが、これまでを振り返りますと、様々な課題に直面した1年であり、市長としての使命とその責任の大きさ、重さを強く感じたところであります。

 市政推進にあたり市議会並びに市民の皆さまのご理解とご協力にあらためて感謝を申し上げます。

 さて、現下の国際情勢は、ロシアによるウクライナ侵略、大国間競争の激化、深刻化する中東情勢など、我が国を取り巻く外的環境は日に日に厳しさを増し、我が国においても、エネルギー・物価高騰が深刻化し、加えて、「地球温暖化」や「少子高齢化」「人材確保への対応」など、様々な課題に直面しております。

 一方、経済活動の正常化は着実に進んでおり、昨年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが第5類に移行し、入国制限やイベント等での人数制限などの規制も撤廃され、社会全体がアフターコロナへシフトしました。

 新千歳空港においても、昨年の乗降客数が、4年ぶりに2,000万人を超えるなど、航空需要が急速に回復し、市内観光地やまちなかをはじめ、賑わいを取り戻しているところです。

 このような社会情勢の急速な変化に対応し、市民生活の安定と地域経済の活性化を図り、持続的なまちの発展を進めていくため、直面するまちの課題に果敢に挑戦し、市民の皆さまにとって暮らしやすく、活力あふれるまちの実現に向け、全力で取り組んでいく所存であります。


【市政運営の基本姿勢について】
 ここで、今後の市政運営に臨む基本姿勢について申し上げます。

 一つは、「安全安心なまちづくりの推進」であります。
 元日に発生した大規模な地震や、地球規模の気候変動がもたらす夏や冬の気温上昇など、身近に起こる自然災害等を目の当たりにし、改めて平時からの「備え」の重要性を感じているところであります。
 また、全国的に深刻化している出生率の低下・少子高齢化社会の進展は、本市においても重要な課題であると考えております。

 このような中、まちの発展と、安全安心な市民生活を維持していくためには、時代の流れとともに多様化、複雑化する社会情勢の変化や市民ニーズを的確に捉えながら、「医療・福祉」をはじめ、「子育て・教育環境の充実」「防災施策の推進」、「都市基盤の整備」など、生活に密着した分野で取組の充実を図っていくことが重要であると考えております。

 市民の皆さまが、日々の生活に「安心」と「幸せ」を感じ、このまちに「住み続けたい」と思えるよう、魅力あるまちづくりを進めてまいります。


 もう一つは、「活力あふれるまちづくりの推進」であります。
 本市は、空港とともに発展を続け、自衛隊との共存共栄によるまちづくりを進めてきており、この本市の特性である「空港」と「自衛隊」は、人口の定着に極めて重要な要素となっております。

 このような中、本市に、次世代半導体製造拠点の進出が決定し、まちは大きな転換期を迎えており、半導体関連産業の集積という新たな要素が加わり、さらなるまちの発展が期待されるところです。

 また、人口減少社会が進む一方、近年のICT技術の進歩に伴うデジタル社会の急速な進展は、人材不足を補い、業務効率や生産性の向上等につながることが期待されるところです。

 これらを踏まえながら、本市の特性である農業・工業・観光等の地域資源を生かした地域経済の活性化や、企業誘致・DXの推進に取り組むとともに、まちの賑わい創出に向け「ちとせ未来ビジョン」の具現化に向けた検討を進めるなど、様々な課題に対し、市民や事業者、行政が連携して、時々に変化する社会情勢を見極めながら、活力あふれるまちづくりを目指してまいります。


【当面する重要課題について】
 次に、今後のまちづくりにおける「重要な課題」とその対応について申し上げます。

 はじめに、現在、国家プロジェクトとして進められている「次世代半導体製造拠点整備への対応」であります。

 昨年2月のラピダス社による立地表明以降、地元自治体として、組織体制を充実させるとともに、国や北海道をはじめ、関連企業などとの連携により、今日まで様々な対応を進めてまいりました。
 現在、各インフラ整備を遅滞なく進めているほか、1月に新たに開設したラピダス社の千歳事務所へ職員を派遣するなど、ラピダス社の操業に向けた支援を最大限サポートしております。

 特に半導体製造に不可欠な水の確保においては、令和7年度のパイロットライン稼働に向けた水道整備を昨年から進めているほか、量産体制時の排水処理に対応できる下水処理施設の整備にも着手してまいります。

 また、円滑な半導体工場の稼働に向けて必要となる周辺道路の整備においては、実施設計を今年度終了したところであり、計画通り順調に推移しております。

 このたびの、半導体製造拠点整備に必要な道路・下水道整備につきましては、国の新たな交付金制度の創設とともに、本市の配分決定がなされ、早期に整備が必要なことから、令和5年度の補正予算に計上して対応するなど、スピード感を持って進めてまいります。

 今後も引き続き、本事業の成功に向け、かつ本市への立地効果が、最大限波及するよう、国や北海道などとの連携を進め、必要とするインフラ整備に鋭意取り組んでまいります。

 この他、今年度中には、市民の皆さまにラピダス社の工事の進捗をはじめ、半導体関連情報を適切に発信するためのウェブサイトを開設する予定であり、今後も様々な媒体や機会を通じて、半導体への理解をいただくための取組を進めるとともに、ラピダス社の立地と半導体関連企業の集積によるまちの変化をわかりやすくお示ししてまいります。


 2点目は「現下の物価高騰への取組」です。

 新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したことに伴い、人や社会の動きが活発になり、アフターコロナの段階に入りました。
 しかしながら、不安定な国際情勢の影響を受け、依然として続く物価高騰は、市民生活や事業者、企業活動に多大な影響を与えております。

 このことから本市では、市民生活の支援と地域経済の活性化などを目的とした「ちとせ市民応援商品券2024」の発行や、エネルギー・食料品価格等の物価高騰に伴う低所得世帯への支援として、対象となる世帯に対し、速やかに給付金を支給し、市民の皆さまの負担軽減を図るなど、対応してきたところであります。

 今後も、情勢の変化を注視しながら、市民生活への支援等必要な施策を展開してまいります。


 3点目は「自衛隊の体制強化と防災への取組」についてです。

 本市はこれまで、自衛隊との共存共栄のまちづくりを進めており、人口の維持や安定した市内経済活動の継続のためには、自衛隊の体制維持・強化が不可欠であると考えています。国が進める防衛力の強化については、安全保障環境の変化に対応しつつ、防衛費の増額により、鋭意進められていくものと考えていますが、一方で、「防衛力整備計画」において陸上自衛隊の常備自衛官定数が2,000人減少することや、南西地域の体制強化のため、新たな部隊が配置されること、防衛力の抜本的強化に当たってはスクラップ・アンド・ビルドを徹底することが明記されており、今後の動きを注視する必要があります。

 時機をとらえた要望活動等を実現するため、引き続き部隊の改編等に係る情報収集に努め、「北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会」「千歳市における自衛隊の体制強化を求める期成会」などと連携を図りながら、本市への新たな部隊の誘致を含めた自衛隊の体制強化や充足率の向上を求める活動を、効果的かつ精力的に行ってまいります。

 防災については、能登半島地震の発生は、たいへん大きな出来事であり、同じ自治体として災害への日頃の備えの重要性を改めて認識したところであります。
 本市では、これまで総合防災訓練をはじめ、各種訓練の実施や、自主防災組織への資機材の貸与、町内会や学校への防災講座等の実施、重要給水施設の整備などに取り組んでまいりましたが、今回の対応状況も参考とし、企業等との災害協定の締結や、地域と連携した訓練・防災学習など、市民とともに「災害に強いまちづくり」を進めてまいります。


 4点目は「子育て支援と教育環境の充実」です。

 昨年の記録的な猛暑を踏まえ、夏季における熱中症発症リスクが高まってきている状況を鑑み、保育教育現場等において、子どもたちの安全と快適な学習環境等を確保していくため、市内の学童クラブや児童館、小中学校へのエアコン設置を順次進めるとともに、市内の幼児教育・保育施設に対し、エアコン設置費等に関する補助を実施してまいります。

 また、共働き家庭の増加などによる保育の受け皿確保として、約90人の保育定員の拡大を図るとともに、国の「こども大綱」、「こども未来戦略」等も踏まえ、令和7年度から5年間を計画期間とする「第3期千歳市子ども・子育て支援事業計画」を策定するなど、子育て世帯にとって魅力あるまちに向けた取組を進めてまいります。


 5点目は「空港開港100年に向けた取組の推進」です。

 令和8年に迎える空港開港100年に向けた取組については、100年の節目を市民や関係者の皆さまと盛大に祝賀するため、2月27日に「千歳市空港開港100年記念事業実行委員会」を設立したところです。

 取組のスタートとして、空港開港100年記念の象徴となるロゴマーク及びキャッチフレーズを公募により決定し、これを用いた広報・啓発により、機運を醸成するとともに、実行委員会を中心に記念事業の検討を進めるなど、100年という大きな節目が、市民の記憶に残り、次の100年に向けた一歩となるよう、関係者とともに積極的に取り組んでまいります。


【主な施策】
 次に「第7期総合計画」で設定した「7つのまちづくりの基本目標」に沿って、主な施策を申し上げます。

 第1は、『あたたかさとつながりを心で感じられるまち』の推進であります。

 医療については、市立千歳市民病院において、新たに総合診療科医師2名を内科に配置するなど医師をはじめとする医療従事者の更なる充実を図り、地域の基幹病院として救急・高度医療、小児・周産期医療の充実に努めるとともに、新興感染症に対応可能な環境整備に関する検討を進めてまいります。
 また、新たに策定した「経営強化プラン」に掲げた取組を着実に進め、持続可能な医療提供体制を確保してまいります。

 地域福祉については、市民等が支え合い、一人ひとりの暮らしと生きがいを地域とともにつくっていくことのできる地域共生社会の実現に向けて、第5期となる「地域福祉計画」の策定を進めてまいります。
 また、市民の社会福祉活動の拠点となる「総合福祉センター」について、主要設備の老朽化等の解消を含め、施設の環境改善に着手します。

 母子保健・児童福祉については、産後ケアの充実を図るため、デイサービス型における長時間の利用が可能となる「ロング型」を新たに設置するとともに、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもに対し、一体的に相談支援を行う機能を有する「こども家庭センター」を設置し、妊娠・出産・子育てに不安を抱える家庭などに対して、切れ目のない、適切な支援を目指します。
 また、ヤングケアラーに対して適切な支援に繋げるため、関係機関との調整・連携などを担うヤングケアラー・コーディネーターを配置するなど、社会認知度の向上や地域での見守りを進めてまいります。

 子育て支援については、恵庭市との連携事業として、同市の屋内遊び場「えにわファミリーガーデンりりあ」の千歳市民の利用について、3歳未満の利用を無料とするなど、恵庭市民と同額で利用できるよう進めてまいります。

 高齢・障がい福祉については、意思疎通に配慮が必要な方の情報の取得や利用、支援に係る施策を推進するため、コミュニケーション条例の制定に向け、障がい者団体等と十分に意見交換しながら、検討してまいります。


 第2は、『豊かな自然を育み快適で住みよいまち』の推進であります。

 カーボンニュートラルに関する取組については、令和6年度を始期とする「千歳市地球温暖化対策実行計画」に基づき、市民や事業者の皆さまと地球温暖化の危機感を共有し、脱炭素の取組への支援や公共施設等の脱炭素化を推進するなど、脱炭素化とまちの発展の両立を目指してまいります。

 廃棄物対策については、本市を含む2市4町で構成する道央廃棄物処理組合において、本年4月から焼却施設の供用を開始し、安全・安心・安定した、施設の管理運営を行ってまいります。
 また、焼却施設以外の広域化については、最終処分場の整備を全ての構成市町が参画可能となる令和16年度を目標として、検討を進めてまいります。

 米軍再編に係る訓練移転や諸外国との共同訓練等については、市民の「不安解消」や「安全・安心」を確保するため、引き続き国に対し「事前の情報提供」や「安全管理の徹底」などを求めてまいります。
 航空機騒音に対する住宅防音工事の促進については、「予算の確保」のほか、「対象範囲の拡大」、「告示後住宅への対応」など、「制度の拡充」を国に対し強く要望してまいります。


 第3は、『災害や危険から暮らしを守るまち』の推進であります。

 消防については、災害対応力の更なる強化を図るため、札幌圏共同消防指令センター整備工事及び消防総合庁舎大規模改修工事を施工するほか、消防車両及び消防用資機材の更新整備を進めてまいります。

 また、地域防災の要として活動する消防団員が火災などの災害現場に出動する際に着装する防火服を更新整備します。

 防災については、地域防災計画や各種防災対策のあり方などの見直しを引き続き行い、効果的な訓練の実施や防災関係機関等との連携強化に努めてまいります。

 また、災害発生時、消防や自衛隊等の防災関係機関が迅速に災害状況の共通認識を図ることを目的として作成している「防災グリッドマップ」について、まちの現状に合わせて更新し、防災関係機関の災害対応に役立てるとともに、福祉避難所である総合福祉センターの給水装置耐震化を実施するなど、災害への備えについても、引き続き充実させてまいります。


 第4は、『充実した学びと豊かな文化・スポーツのまち』の推進であります。

 学校活動への支援については、中学校部活動の地域移行に向けた段階的な取組として、教員の部活動指導を補完する部活動指導員の配置を進めてまいります。

 学校給食の充実については、現在の学校給食センターが抱える課題を解消し、より安全・安心で多様な献立に対応した施設を整備するため、「千歳市新学校給食センター整備基本計画」を策定し、早期の整備に向けて事業を推進してまいります。

 公立千歳科学技術大学については、学生に半導体関連科目を周知し、半導体への興味関心を促すほか、文部科学省の補助事業を活用した大学院の機能強化・拡充による、高度情報専門人材育成を検討しており、引き続き、ラピダス社をはじめとする半導体関連産業に求められている人材の育成に取り組んでまいります。

 アイヌ施策の推進については、新たに「第2期千歳市アイヌ施策推進地域計画」を策定し、地域のアイヌの人々と連携しながら、アイヌ文化の保存・継承と普及・啓発に資する施策を計画的に進めてまいります。


 第5は、『地の利と資源を生かした産業のまち』の推進であります。
 農林業においては、優良農地の確保や、農業経営の強化、健全な森林の維持など、今後も地域資源を生かし、次世代に繋いでいく事業を引き続き推進してまいります。
 また、農作業の省力化や効率化を図るため、自動操舵システム導入に係るスマート農業普及推進助成事業を新たに実施します。

 商業の振興については、空き店舗の利活用促進や新規開業支援資金利用者に対する利子補給を行うなど、創業を希望する方がチャレンジしやすい環境づくりに引き続き取り組んでまいります。

 雇用については、求人企業と求職者のマッチングを推進するため、合同求人企業説明会の拡充を図るとともに、高校生の地元就職や地元定着に向け、新たに高校生向けの企業紹介ガイドブックの作成や企業見学バスツアーを実施するなど、市内企業の人材確保をより一層支援してまいります。

 観光振興については、本市の多様な観光コンテンツや地理的な優位性を生かし、国内外へのプロモーション活動を通じて誘客を促進するとともに、「アドベンチャートラベル」の受入環境整備や、ビジネス客を観光に繋げる取組等により、通年における誘客を図ってまいります。

 また、新型コロナウイルス関連の行動制限緩和による 観光需要の高まりに加え、観光を取り巻く情勢は大きく変化しており、新たな対応が求められていることから、市独自の宿泊税導入について、観光関係者及び宿泊事業者等による検討委員会を設置するなど検討を進めてまいります。

 姉妹都市交流については、本年、アンカレジ市との提携が55周年、指宿市が30周年、友好親善都市については、長春市との提携が20周年を迎えることから、市内関係団体と連携し、例年の交流事業に加え訪問事業を実施します。

 企業誘致については、企業への訪問活動やトップセールスなどによる誘致活動を行うほか、引き続き、首都圏等で開催される産業展示会などにおいて、本市工業団地のPRを行ってまいります。
 また、立地企業の円滑な操業をサポートするため、意見交換や訪問活動などを積極的に行うとともに、企業と共に発展するまちづくりを進められるよう、連携を図ってまいります。

 本市の工業団地については、ラピダス社の立地が注目を集め、半導体関連企業をはじめとして様々な業種の企業から問い合わせをいただいているほか、立地企業からも用地拡張の相談が寄せられておりますが、現在本市の11の工業団地は、およそ88パーセントが分譲済みとなっており、また、残りの区画についても順次商談を進めているところです。

 このことから、本市への進出を検討している企業の需要に応えられるよう、新たな工業用地の選定について、千歳市第3期都市計画マスタープランの位置付けや交通の利便性、ラピダス社との近接性などを踏まえ、関係機関と協議を進めており、「工業団地」の早期開発に向け、令和5年度補正予算において、調査や土地利用計画の策定費を計上し具体の取組を進めてまいります。


第6は、『暮らしやすく便利な都市基盤があるまち』の推進であります。

 新千歳空港については、地域経済の活性化に繋げるため、北海道エアポート株式会社をはじめ、関係機関と連携して、空港機能等の高質化や航空路線の維持・拡充などに取り組むとともに、24時間運用に係る深夜・早朝便の運航については、引き続き、市民の理解を得ながら、地域住民の生活環境の保全に努め、新千歳空港の国際拠点空港化に取り組んでまいります。

 公共交通については、AIオンデマンド交通や自動運転バスの実証実験を向陽台地区で行うなど、持続可能な公共交通の維持・確保に努めるとともに、便利で利用しやすい千歳駅前広場の再整備を引き続き実施します。

 中心市街地の活性化については、グリーンベルト及び周辺街区の活用方法や拠点施設等に関する提案を民間事業者から募る"サウンディング"を実施するなど、「ちとせ未来ビジョン」実現に向けた取組を進めてまいります。

 都市基盤については、市民の皆さまが「いつまでも暮らし続けたい」と感じられるよう、引き続き、最も身近な社会インフラである道路や公園などの計画的な修繕や更新を積極的に進めるとともに、障がいの有無に関わらず誰もが一緒に遊ぶことのできるインクルーシブ公園の整備などを進め、日常生活で基本となる各種インフラの充実及び魅力向上に努めてまいります。

 千歳川流域の治水対策については、昨年8月、千歳川流域が特定都市河川流域に指定され、今後、堤防整備や河道掘削などの河川整備の加速化や、開発行為に伴う雨水の流出抑制、流域全体でのソフト対策などの推進により、千歳川における水害への安全性の向上が図られるものと期待しているところであります。

 また、令和6年度には流域における具体的な対策を示す千歳川流域水害対策計画の策定が予定されており、引き続き、国や北海道、流域市町と連携し水害に強い地域づくりを目指してまいります。

 上下水道については、「水道事業経営計画」及び「下水道事業経営計画」に掲げる経営の基本方針に基づき、施設の重要度・優先度を踏まえた計画的な更新のほか、引き続き、汚水管の更生事業や重要給水施設である指定避難所等への配水管路の耐震化を行い、災害に強い施設整備を進めるとともに、水需要の増加に対応するため、浄水場の能力確保に係る基本設計を実施します。

 また、ラピダス社の工場建設に係る用排水整備については、パイロットラインに必要な水を供給するための水道管整備を引き続き行うとともに、量産体制における排水処理のため、ポンプ場及び下水道管の整備や、処理場における処理能力の増強に取り組んでまいります。


 第7は、『多彩な市民とオール千歳で挑戦するまち』の推進であります。

 町内会活動については、生活環境の向上や防犯、自主防災に取り組まれるなど、協働のまちづくりを進めるうえで重要な役割を担っており、引き続き、町内会連合会などと連携し、活発にコミュニティ活動に取り組むことができるよう支援に努めてまいります。

 活力あるコミュニティづくりについては、新たな地域コミュニティの拠点となる「(仮称)大和地区コミュニティセンター」について、令和9年度中の供用開始に向けて基本設計などに着手してまいります。    

 DXの推進については、令和6年度を始期とする「千歳市DX推進計画」に基づき、マイナンバーカードなどを活用し、申請書に氏名などを記入せずに、各種証明書の発行や申請手続きができる「書かない窓口」や、子育て情報の発信に加え、子どもの成長記録の管理や各種手続のオンライン予約などが行える「子育てアプリの導入」など、市民がデジタル化による利便性を実感できるよう、様々な分野においてデジタル技術を活用し、質の高い行政サービスの提供を進めてまいります。

 情報発信については、本市の持つまちの魅力を「ふるさと納税」や「移住情報ポータルサイト」などを活用し、効果的に発信していくとともに、市民生活やまちづくりに関する情報を、広報ちとせやホームページ、SNS等による発信に加え、プレスリリース等メディアの積極的な活用により、幅広い年齢層に情報が伝えられるよう取り組んでまいります。

【新年度の予算】
 次に、新年度の予算について申し上げます。

 令和6年度当初予算の編成に当たっては、「第7期総合計画」及び「第2期財政標準化計画」の着実な推進を基本として、公約に掲げる政策を具現化するため、「優先課題推進枠」として予算の重点化を図るとともに、人口増加が続く、持続可能な千歳の未来に向けて、直面する課題解決に積極的に対応するため、「輝く未来につながる"まちの鼓動"予算」として取りまとめたところであります。

 この結果、一般会計の予算総額では、526億7,600万円、前年度の政策予算後と比べ、36億1,499万3千円、7.4パーセントの増としたところであります。
 また、一般会計に6特別会計を含めた7会計の総額では、687億1,157万8千円となり、公営企業会計を加えた総体では、876億7,073万6千円の規模で編成したところであります。
 なお、予算の細部については、別に「令和6年度千歳市各会計予算大綱」の中でご説明申し上げます。


【むすび】
 以上、市政に臨むにあたっての「私の所信」について申し上げました。

 現在、私たちの日常を取り巻く環境は、デジタル社会の急速な進展や、人口減少、地球規模の気候変動など、刻々と変化を続けており、安全安心、安定した社会の実現に向けては、これらの変化に適切に対応し、まちの将来を見据えた効果的な施策を展開していくことが求められております。

 本市におきましても、このような社会情勢の急速な変化と、国を挙げてのプロジェクトであります「次世代半導体製造拠点の立地」により生じる、さまざまな「動き」を的確に捉え、これまでの「空港を核としたまちづくり」「自衛隊とともに発展するまちづくり」という本市の大きな「柱」に、「半導体関連産業の集積」という新たな特性(強味)を加え、まちづくりを進めていくことが必要であると考えております。

 現在、本年12月に予定している、ラピダス社の立地等によるまちの変化と将来像を示す、「(仮称)将来ビジョン」の策定に向け、複数の分野において組織横断的に議論を重ねており、喫緊では新たな工業団地の早期開発や、交通インフラへの対応のほか、
中長期的には教育や医療、外国人対応などについて、様々な角度からその影響と必要な取組などについて検討しているところであります。

 この策定と並行し、人口ビジョンの改訂を進めておりますが、これらを踏まえながら、まちの将来展望や施策の基本的な考え方、方向性を示す「総合計画」の見直しにつきまして、検討を行う準備を進めてまいります。

 今後も、社会の動向を見極めながら、本市が将来にわたって発展を継続し、安全安心な暮らしと、活気あふれるまちを実感していただけるよう、市民の皆さま、事業者の皆さまと連携しながら、これからも現場重視の姿勢を変えることなく、全力で職務を全うしてまいります。

 引き続き、市議会議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

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