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令和4年度千歳市学力向上検討委員会報告書

 過日、千歳市学力向上検討委員会の横山 浩之委員長(末広小学校長)から本市教育長に「令和4年度千歳市学力向上検討委員会報告書」が提出され、報告がなされました。

 千歳市学力向上検討委員会設置要綱.pdf (PDF 103KB)

1 提出日時等 

  日 時  令和4年12月12日(月) 11:00~11:30

  場 所  千歳市教育委員会 教育長室

  来庁者  千歳市学力向上検討委員会

        ・委 員 長   横山 浩之(千歳市立末広小学校長)
        ・副委員長 加藤 秀典(千歳市立青葉中学校長)
        ・副委員長 澁谷 拓 (千歳市立千歳第二小学校長)

      

2 報告の概要

 令和4年度 千歳市学力向上検討委員会では、末広小学校、千歳第二小学校、青葉中学校の3校を学力向上のモデル校として選定し、学校改善プランの改善と進行管理を通した各校の課題解決とともに、本検討委員会の「学校への提言」を踏まえた授業改善に取り組んできた。
 この報告が有効に活用され、千歳市の児童生徒が「確かな学力」を身に付け、健やかに成長していくことを心から期待し、報告書を提出する。

(1)提言の内容について

 千歳市学力向上検討委員会では、学習指導要領において示された資質・能力の三つの柱である「知識・技能」、「思考力、判断力、表現力」、「学びに向かう力、人間性」を、確かな学力の三つの要素ととらえ、その学力を確実に身に付けさせることを目標とし、その達成状況を全国学力・学習状況調査により検証する、としている。

 提言内容は、

 ①    学校への提言として
  ・ハイパーQU検査を活用した学年・学級経営の充実
  ・自尊感情や自己有用感を高める取組の充実
  ・「学校改善プラン」の検証改善サイクルの確実な運用
  ・学習指導の改善
  ・習熟度別少人数指導の充実     の5点

 ② 家庭への提言として
  ・「千歳市家庭生活宣言」運動の普及
  ・家庭学習の習慣づくり       の2点
 ③ 教育委員会への提言として
  ・ICT環境の整備と活用 
  ・習熟度別少人数指導への支援
  ・諸検査結果の情報提供
  ・家庭への支援           の4点
 併せて、11の提言としている。

(2)提言に対する学校の取組状況の調査について

 提言の検証については、全国学力・学習状況調査結果の推移と各学校の提言に対する取組状況のアンケート結果の推移から、提言の妥当性を検証する。

(3)令和4年度のモデル校の取組について

 本年度指定を受けたモデル校3校は、学校改善プランに本検討委員会の提言を位置づけ、実態を踏まえた取組を展開してきた。令和4年度の全国学力・学習状況調査結果とともに、各校が取り組んだ「学校改善プランの検証サイクルの確実な運用」と「学習指導の改善」について報告している。

①学校改善プランの検証改善サイクルの確実な運用

  ○末広小学校
   「学力向上担当者が校内研修も担当」し、校内全体で国語の研究に取り組んだ。「黒板に記載したことを写真に撮り職員間で共有」したり、「まとめの時間を充実させたり」した結果、「自分の考えをまとめる活動を行ってきた」と自覚する児童が全国比を超えている。「保護者向けに学力向上通信を発行する」等にも取り組んでいる。
  ○千歳第二小学校
   「読み取ったことを条件に合わせて書く活動を充実」させてきた。その結果、国語「書くこと」領域の正答率が前回を上回り、全国とほぼ同様の状況となっている。また、国語や算数の文章で書く問題への取組でも、未記入やあきらめたとする児童が、前回に引き続き全国を大きく下回っている。
  ○青葉中学校
   「校内学力向上検討委員会を発足」させ、組織的に学力向上に取り組みことで意識化を図ることとした。さらに「教職員向けの通信の発行」、「生徒対象の学習集会の開催」などの工夫を重ね、「国語の授業がよくわかる」とする生徒が、年々上昇している。

②学習指導の改善

  ア.授業改善の取組
  ○末広小学校
   「まとめ・振り返りの充実」で書く力の向上を目指した。その結果、国語の短答式問題の正答率は、全国を上回る状況を継続できている。また、「授業中の隙間時間の効果的な活用」に取り組んだことで、記述式問題の無解答率が全国を下回っている好結果が続いている。
  ○千歳第二小学校
   「授業の中で「自力解決」と「集団解決」の場面を指導過程に位置付け」た。また、「児童が課題に取り組む時間を明記」するなどにも留意した。その結果、算数の授業で、公式やきまりのわけを理解しようとする、あきらめずに解き方を考えるとする児童が、全国を超えている状況を継続させている。
  ○青葉中学校
   「何を学んだかがわかる授業」、「課題把握や授業内容などの可視化」、「基本事項の定着を図る課題プリントの作成や個別指導の充実」に取り組み、数学の「データの傾向を的確に捉え、説明する」問題の正答率は、全国との差が縮まっている状況が見られる。
  イ.学習規律の徹底
  ○末広小学校
  ○千歳第二小学校
   「学習ルール」「ノートの書き方ルール」などを徹底し、児童の意識向上に取り組んだ。
  ○青葉中学校
   「ノーチャイムの採用」や「授業開始前の2分間を有効活用」し、復習や見直しなどに取り組み、学習に入るための準備をさまざま整えた。
   以上の結果、3校とも、「課題解決に向けて、自分で考え、自分から取り組む」と回答する児童生徒が全国を超えた。
  ウ.学習習慣の確立
  ○末広小学校
   「6期に分けたテーマ設定」「パワーアップウィークの設定」  
  ○千歳第二小学校
   家庭学習の手引きに、「親子学習」「ひとり学習」「自立学習」の位置付け
   以上の結果、両校とも、家庭学習に1時間以上取り組む児童が全国を上回った。
  ○青葉中学校
   「授業内容と社会生活との関連性を意識させる授業構成の工夫」、「スケジュール管理手帳の利活用」
   以上の結果、「国語の授業は将来役立つ」と回答する生徒が年々上昇している。

(4)令和4年度全国学力・学習状況調査結果の概要について

 ①教科に関する調査結果
   市内「小学校の平均正答率」は、全国との比較において、国語で「やや低い」、算数で「やや低い」、理科で「ほぼ同様(下位)」となった。「記述力」「問題の読解力」「問いと正対する力」が課題であり、言語能力の向上は、国語科だけで担うのではなく、すべての教科等で言語活動を保障していくことが求められる。
 市内「中学校の平均正答率」は、全国との比較において、国語で「やや低い」、数学で「やや低い」、理科で「ほぼ同様(下位)」となった。身近な現象をとらえる問題が出題されていることから、学習事項と日常がリンクしていることを意識させながら、関心を高める授業づくりが求められる。
 小中ともに、課題の見られる領域や内容について、各校で組織的に改善策を講じる必要がある。
 ②児童生徒質問紙の結果
   小学校の学習習慣を見ると、「普段、1日当たり1時間以上2時間未満勉強する」児童が、年々増えている。各学校で取りんでいる家庭学習の充実、という点で成果を残している。一方、「2時間以上勉強する」、「土日に2時間以上勉強するという児童が少ない」という本市の課題が継続している状況である。「ゲームを1時間未満」という児童がたいへん少ないのもこれまでと同様である。
 中学校の学習習慣、生活習慣は、全体的に心配な状況である。家庭での学習時間は、平日も休日も課題がある。「家庭で学習することが習慣になる」取組の充実が必要である。
 
 ③学校質問紙の結果
   特に、中学校では、授業改善の意識が向上している。教える授業だけでなく、生徒が自ら学んでいく授業への切り替えへの意識が、各校向上している。学校質問紙については、おおむね全国を上回る取組ができている。

(5)学校・家庭・教育委員会への提言の取組状況について 

 ①学校への提言に対する検証
 

 ハイパーQU検査結果分析について、「どのように検査結果を活用するか」、「どのような利活用があるか」など、検討や工夫の余地がある。各校での検査報告時間の保障など、工夫した取組をさらに期待する。
 千歳市全体として、「学校改善プラン」がしっかりと作成され、それが実効性を伴う形になっている。今後とも、自校の実態を様々な観点で不断に分析し、プランの実効性を高めていくことが重要な課題である。
 授業改善が小中ともに進んでいる。特に中学校では、学習者用コンピュータを利活用した取組が推進されている。
 「解説資料」、「授業アイディア例」、「千歳チャレンジ」等の活用について、小学校で意識化が進んでいる。今後も、児童生徒が義務教育期間に身につけるべき資質能力の育成について、広い視野でとらえられるよう、教員の意識向上に取り組む必要がある。
 本市においての「習熟度別少人数指導」がしっかり定着している。少人数指導の中でも、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向け、担任や教科担当者と学習支援員との連携が求められる。

 各校においては、課題のある取組について検証し、次年度の経営計画に反映させて改善を図る必要がある。

 ②家庭への提言に対する検証
   特に「生活リズムの定着」と「読書の習慣化」「家庭学習の習慣づくり」に課題があり、粘り強い働きかけが求められる。
 ③教育委員会への提言に対する検証
   「ICT環境整備と活用」、「学習支援員の配置による習熟度別少人数指導」、「NRT標準学力検査やハイパーQU検査等の諸検査結果の情報提供」、「千歳市PTA連合会との連携による家庭への支援」について、今後も学校や関係機関との連携を密に、指導・助言、働きかけを継続・強化していく必要がある。

(6)成果の検証と今後の取組

 千歳市学力向上検討委員会は、児童生徒の学力向上に向け、「小中9年間の連続的な積み上げ」と「学校・家庭・教育委員会の連携協力」を基本に取組を進めている。

 「小中9年間の連続的な積み上げ」については、全国学力・学習状況調査から、小学3年生や4年生で学習した内容が定着せず、その正答率が低くなる傾向が見られる。児童に既習事項の整理・意識化をさせる取組が改めて必要である。

 今年度の中学3年生は、小学6年生のときに調査問題が変容し、A問題とB問題を一体化した問題に取り組んだ学年である。当時の小学6年生の国語と算数の平均正答率から、中学3年生の平均正答率の推移を見ると、いずれの教科も維持・向上に至っていない。「授業改善が進んでいないこと」、「コロナ禍で、授業以外の学校での学習の場が縮小・削減されたこと」などで、児童生徒への学習サポートが十分でなかったことは否めない。学校で学習させることが、家庭での学習時間の確保や児童生徒の進路選択、広い視野の獲得にもつながることに留意し、さらには小中連携・一貫教育を一層推進し、9年間を見通したカリキュラムのもと、学力向上の取組が必要である。

 「学校・家庭・教育委員会の連携協力」については、「家庭学習時間」「読書離れ」などの課題も見られることから、今後も三者が連携し、望ましい生活習慣・学習習慣を身に付けることができるよう努めていく必要がある。

(7)その他

 報告書提出の最後に、学力向上検討委員会 横山委員長から、『今年度より全ての小中学校に一人1台端末が整備され、授業改善の一助となっており、また中学校では平時の持ち帰りで、家庭学習や復習などに利活用される好事例も積み重なっていること、学習支援員を活用した習熟度別少人数指導も定着、充実していること、ハイパーQU検査の全学年実施、NRT検査の中1英語の導入など、学習環境の整備充実に各学校から感謝の声があがっている』との言葉があった。
 今後もモデル校の取組が各校の学力向上に寄与するよう、学校改善プランを組織的・計画的に遂行し、確実に成果をあげられるよう努力するとの決意が報告された。

 

3 千歳市学力向上検討委員会報告書

 報告書は以下の4章から成っています。

  表紙・はじめに・目次.pdf (PDF 11.3KB)

 

 第1章 学力向上に向けた基本的な考え方と取組の経過

  1 学力についての基本的な考え方

  2 学力の定着と向上に向けた基本的な考え方

  3 学校・家庭・教育委員会への提言

  4 千歳市学力向上検討委員会の経過及び令和4年度の取組

  5 本年度の重点的な取組(モデル校の取組)

 

  第1章「学力向上に向けた基本的な考え方と取組の経過」.pdf (PDF 1.27MB)

 

 第2章 令和4年度全国学力・学習状況調査の結果概要

  1 調査の概要

  2 教科に関する調査の結果

  3 児童生徒質問紙の結果

  4 学校質問紙の結果

 

  第2章「令和4年度全国学力・学習状況調査の結果概要」.pdf (PDF 1020KB)

 

 第3章 学校・家庭・教育委員会への提言の取組状況

  1 学校の取組状況

  2 家庭の取組状況

  3 教育委員会の取組状況

 

  第3章「学校・家庭・教育委員会への提言の取組状況」.pdf (PDF 1.86MB)

 

 第4章 成果の検証と今後の取組

 

  第4章「成果の検証と今後の取組」.pdf (PDF 15.1KB)

 

 資 料

  ・千歳市学力向上検討委員会の提言に対するチェックシート

 

  資料 提言チェックシート.pdf (PDF 4.93KB)

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