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令和4年度市長市政執行方針

【はじめに】
 令和4年第1回定例市議会の開会に当たりまして、市政執行に対する私の所信を申し上げます。

○新型コロナウイルス感染症
 新型コロナウイルス感染症につきましては、現在、第6波となる「オミクロン株」による感染が全国的に拡大し、北海道においても年明けから家族内や若い方を中心に感染が拡大したことから、1月27日から「まん延防止等重点措置」が適用されましたが、2月中旬以降も感染者の拡大傾向が収まらず、当初予定されていた2月20日までの期限が延長されるなど、感染症による影響の長期化に大変憂慮しております。

 これまで、市民の命を守るために多大なるご尽力をいただきました医療従事者、介護職員並びに保健所など、関係の皆様には、改めて感謝と敬意を表したいと思います。
 また、立地企業や事業者の皆様におかれましては、社会経済を維持するため、感染防止対策を徹底しながら事業を継続いただいていることに対し、深く感謝いたします。
 市民の皆様には、これまでの感染防止に向けた取組へのご理解とご協力にお礼申し上げますとともに、引き続き感染防止を意識した行動をお願いいたします。

 12月から開始した3回目のワクチン接種につきましては、2月から高齢者への接種が本格化し、今月からは64歳以下の方の接種が本格化するとともに、5歳以上11歳以下の小児接種を開始いたします。

 今後も、千歳医師会や市内医療機関の協力のもと、接種を希望する市民が円滑にワクチン接種を受けられるよう、接種体制の確保に努めるとともに、ワクチン接種に関する正しい情報を継続して発信してまいります。

 本市としましては、これまで同様、ワクチン接種体制の確保やPCR検査体制の継続などに努めるほか、市内経済の速やかな回復に向けた取組を進めるなど、感染防止対策と経済活性化に向けた両輪の取組を実施してまいります。

 

【まちづくりの課題について】
 次に、当面するまちづくりの課題について申し上げます。
 はじめに、「新型コロナウイルス感染症の対応」であります。
 新型コロナウイルス感染症は、市民の意識に大きな変化をもたらし、コロナ禍前と比較すると、市民の生活スタイルは大きく変容いたしました。

 今後は、コロナとの共存・コロナ後、いわゆる「ウィズコロナ・アフターコロナ」を見据え、市民の意識や暮らし、価値観などの変化に対応したまちづくりが求められ、市民生活の安定を目指すとともに、社会情勢の変化を的確に捉え、未来を見据えた効果的な施策を機敏かつ迅速に取り組むことによって、まちの活力を持続していく必要があると考えております。

 このため、令和4年度予算においても、令和3年度と同様、政策的に優先して実施する事業を「優先課題推進枠」として、
 ・新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止と経済活動の充実
 ・10万人のまちづくりを目指すための人口増加策
の2つの取組を重点的に進めることとしたほか、世界的な潮流である「脱炭素化」や「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」など、新たな事業を展開してまいります。

 次に、「新千歳空港の活況の回復」であります。
 新千歳空港においては、コロナ禍による航空需要の落ち込みが続いており、昨年1年間の国内線の乗降客数は、新千歳空港開港前の昭和59年以降で最低となったほか、国際線は、令和2年4月以降、全便運休が続いています。

 空港利用客の減少は、空港関係者の居住や観光客の動態に大きな変化をもたらし、市内の人口や雇用、経済にも大きな影響を及ぼしており、空港とともに発展を続けてきた本市にとって、新千歳空港の活況を取り戻すことは、まちの発展を持続させるための喫緊の課題と捉えています。

 このことから、令和4年度は、「空港応援キャンペーン」として、全市民を対象に空港内商業施設等で利用できる商品券を配布するほか、ターミナルビル内で地域特産品等のPRなどを行う事業を実施します。
 また、航空・空港の需要を促す取組として、新千歳空港発着便を利用する市民に対して、航空賃の助成を行うほか、新千歳空港発着便を利用する来訪者に対して、宿泊費の助成等を実施いたします。

 これらの事業を通じ、市内経済をはじめ、北海道全体の経済の回復につながることを期待しており、引き続き北海道や道内7空港の関係自治体のほか、空港運営事業者、関係団体などと連携しながら、航空需要の回復に向け、積極的に取り組んでまいります。

 次に、「自衛隊の体制維持・強化」についてであります。
 本市はこれまで、国が行う防衛政策に対し、積極的に協力して自衛隊との共存共栄のまちづくりを行っており、人口を維持し、安定した市内経済活動を継続するためには、自衛隊の体制維持・強化が不可欠であると考えています。

 令和4年度には国家安全保障戦略や防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画が見直される予定であり、本市に所在する自衛隊の体制の縮小や隊員の削減が行われた場合には、地域の安全・安心の確保や地域経済に深刻な影響が生じるものと懸念しています。

 今後も、部隊改編等に係る情報収集に努めるとともに、北海道の自衛隊体制強化や充足率の向上などの要望に加え、本市への新たな部隊等の誘致を求める活動を、これまで以上に積極的かつ精力的に行ってまいります。

 次に、「脱炭素化に向けた取組」であります。
 国は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言いたしました。

 本市としましても、豊かな自然環境を後世に引き継いでいくため、持続可能な脱炭素社会の構築は喫緊の課題との認識のもと、このたび表明した「ゼロカーボンシティ宣言」に基づき、電気自動車などの次世代自動車について、普及啓発や公用車への導入を図るほか、再生可能エネルギーのポテンシャル調査を実施するなど、カーボンニュートラルの実現に向けた取組を積極的に進めてまいります。


【まちづくりの基本姿勢】
 次に、まちづくりの基本姿勢について申し上げます。

 第1に「市民協働によるまちづくり」であります。

 本市はこれまで、市民等と連携、協力する「市民協働」を市政運営の大きな柱に掲げ、まちづくりを進めてまいりました。
 コロナ禍やデジタル社会の進展などにより、個人の価値観や社会が複雑化、多様化している今日においては、多彩な「市民力」を持つ市民や町内会などの市民活動団体、事業者の皆様と行政が一丸となって、まちづくりの課題に対応することが重要であり、それぞれが主体となって取り組むことが、まちづくりの大きな力になるものと考えております。
 市民の皆様が将来にわたり「千歳に住んでよかった」と住みよさを実感でき、誇りを持てるまちを目指し、引き続き、市民協働によるまちづくりに鋭意取り組んでまいります。

 第2は「人をつなぐ 世界をつなぐ 空のまち ちとせ」の実現であります。

 第7期総合計画の将来都市像は、人口増加が続き、「人と物」が活発に行き交う「活力あふれるまち」、市民や企業、団体、行政が互いに支え合い「幸せを感じるまち」を目指すものであります。
 「まちの活力、発展の原動力は"人"」であるという理念のもと、まちの活力を維持するためには、コロナ禍にあっても、人口増加への着実な歩みを止めることなく継続していく必要があります。
 今後も、活気にあふれ、安全で安心できる魅力的なまちとなるよう、効果的な取組を通じて、将来都市像の実現に向けて邁進してまいります。

 

【主な施策】
 次に「第7期総合計画」で設定した「7つのまちづくりの基本目標」に沿って、主な施策を申し上げます。

 第1は、『あたたかさとつながりを心で感じられるまち』の推進であります。

 医療については、市立千歳市民病院において、健全で安定した経営基盤の確立を図り、新興感染症や医療制度改革など医療を取り巻く環境の変化に的確に対応するとともに、持続可能な地域医療提供体制を確保するため、コロナ後を見据えた新たな中期経営計画の策定に取り組みます。

 乳幼児期の教育・保育施設については、保育ニーズに適切に対応するため、既存施設の活用により定員を拡大するほか、施設にはウイルスの減少に有効な抗菌・抗ウイルスコーティングなどを実施し、新型コロナウイルス感染症の感染防止に努めてまいります。            

 みどり台地区の児童の居場所と地域の子育て支援拠点については、4月に「みどり台児童館」を開設するとともに、館内に2つの学童クラブを設置し、地域における児童の安全・安心な居場所づくりを図ってまいります。

 第2は、『豊かな自然を育み快適で住みよいまち』の推進であります。
 ごみ処理については、本市を含む2市4町で構成する道央廃棄物処理組合において、引き続き、焼却施設の建設工事を進めるとともに、新たに、最終処分場の広域化について検討してまいります。   

 米軍再編に係る訓練移転などの共同訓練については、これまで事件・事故なく円滑に行われていますが、引き続き、国に対し「安全管理の徹底」や「事前の情報提供」などを求めていくとともに、航空機騒音に対する住宅防音工事の促進については、「予算の確保」や「制度の拡充」を強く要望してまいります。

 第3は、『災害や危険から暮らしを守るまち』の推進であります。

 防災については、災害に備える知識の普及や災害時の避難場所の周知等を目的とした防災ハンドブックを改訂し、全戸に配布することにより、避難行動等の再確認を促すとともに防災意識の高揚を図ってまいります。

 消防については、本市を含む6消防本部で進めている「札幌圏消防通信指令業務の共同運用」に関して、令和7年度の運用開始に向けた工事契約を行うほか、災害対応の活動拠点となる消防総合庁舎の大規模改修に着手し、災害対応力の更なる強化を図ってまいります。

 第4は、『充実した学びと豊かな文化・スポーツのまち』の推進であります。

 小中学校における感染症対策については、児童生徒が、引き続き安心して学校生活を送ることができるよう、普通教室や水飲み場などに、抗菌・抗ウイルスコーティングを実施し、感染防止に努めてまいります。

 学校環境の整備については、これまで建設を進めてきた「みどり台小学校」を本年4月に開校するとともに、北陽小学校には、新たに通級指導教室を設置し、支援が必要な子どもの学習環境づくりに取り組んでまいります。

 小中学校の情報教育については、令和4年度中に学習者用コンピュータの1人1台の整備を完了させ、ICT機器を積極的に活用できる環境づくりに取り組んでまいります。

 文化財については、世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」の構成資産の一つである国指定史跡「キウス周堤墓群」の保護・保存とともに、史跡の価値や魅力を伝えることができるよう、史跡整備に向けた基本設計などに着手します。

 令和5年度に北海道で開催される「全国高等学校総合体育大会」の「なぎなた競技」の会場に本市が選定されました。
 大会が成功裏に終了し、本市での大会が選手やスタッフにとって記念となるよう、令和4年度に千歳市実行委員会を設立し、万全な受け入れ体制を構築してまいります。

 アイヌ政策については、千歳アイヌ協会や千歳アイヌ文化伝承保存会の方々が大切に伝えてきたアイヌ文化の保存と継承を目的として、新たに、伝承活動の成果を発信する取組や伝統工芸品の制作技術の向上を地域計画に盛り込み、アイヌの知識や技術の確実な継承に努めてまいります。

 第5は、『地の利と資源を生かした産業のまち』の推進であります。

 農業振興については、農業の体質強化に向けた経営安定対策や担い手の育成・確保を進めるとともに、農業振興条例による助成事業については、新たに農場の適正管理や農産物の産地化などの取組を拡充します。

 多様な働き方の促進については、千歳アルカディア・プラザ1階に、「南千歳テレワークステーション」を開設したことにより、空港利用者のほか、テレワーク、多地域居住、ワーケーションなど、「新しい働き方」への対応を推進し、本市への新たな人の流れの創出に取り組んでまいります。

 第6は、『暮らしやすく便利な都市基盤があるまち』の推進であります。

 新千歳空港については、令和8年に迎える空港開港100年に向け、昨年立ち上げた準備委員会とともに、記念事業の検討やロードマップの作成を行うなど、先人の偉業を称え、後世に伝える事業となるよう、取り組んでまいります。

 交通政策については、令和4年度を始期とする「千歳市地域公共交通計画」に基づき、持続可能な公共交通の維持確保に努めるとともに、千歳駅前広場については、バスレーンの一部を廃止するなど、市民にとって安全で快適な交通環境を目指した再整備に着手します。
 道路整備については、老朽化が進む幹線道路や生活道路における計画的な舗装の改修工事を進めるとともに、道路の陥没を未然に防止するため、路面下空洞化調査を進めるほか、老朽化した街路灯の更新や、省エネルギー、脱炭素化に向けた灯具のLED化に着手するなど、安全で安心できる道路環境の整備を推進してまいります。

 上下水道事業については、令和4年度を始期とする「水道事業経営計画」及び「下水道事業経営計画」に基づき、経営基盤の強化や財政マネジメントの向上に取り組むほか、上下水道施設の重要度、優先度を踏まえた計画的な施設更新、蘭越浄水場における浸水対策に係る基本計画の策定や下水道マンホールの地震対策を引き続き実施します。

 第7は、『多彩な市民とオール千歳で挑戦するまち』の推進であります。

 北海道日本ハムファイターズは、北海道内すべての市町村において地域貢献活動「北海道179市町村応援大使」を展開しており、令和4年は、本市が対象市町村に選定されました。
 本市の応援大使として、近藤健介選手と万波中正(まんなみ ちゅうせい)選手の2名が決定しており、本市のPRや元気づくりに加え、北海道全体が盛り上がるよう、応援ツアーやファンミーティングなどに取り組んでまいります。

 シティセールスの推進については、市民のまちへの「誇り」の醸成や、市外在住の「千歳ファン」の創出を目指し、本市が持つ様々な魅力を、ホームページやSNS、ふるさと納税のPRなどの多彩な手法を活用するなど、情報発信力の強化を図ってまいります。

 行政改革の推進については、住民登録情報などの基幹系情報システムの標準化・共通化に取り組むとともに、RPAの導入業務やオンライン手続きの拡大など、自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)を着実に進めます。
 また、令和2年度から着手している、光ファイバー未整備地域での光ブロードバンドサービスの供用開始に向けた取組を進めてまいります。

 

【新年度の予算】
 次に、新年度の予算について申し上げます。
 令和4年度の予算につきましては、「第7期総合計画」及び「第2期財政標準化計画」を着実に推進するとともに、「優先課題推進枠」と国の成長戦略である「脱炭素化の推進」、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」に関する予算を重点的に配分するなど、直面する課題の解決と市民生活や経済活動のさらなる向上に積極的に取り組むため、「ポスト・コロナを見据え"幕明け"予算」として編成したところであります。

 この結果、一般会計の予算総額では469億6,440万1千円、前年度予算と比べ、28億4,449万3千円、5.7パーセントの減としたところでありますが、主な要因としましては、前年度に計上していた新型コロナウイルス感染症による市税の徴収猶予特例に関する経費や、「みどり台小学校建設事業費」などが減となったことによるものであります。
 また、一般会計に6特別会計を含めた7会計の総額では、622億7,794万8千円となり、これに公営企業会計を加えた総体では798億6,536万6千円の規模で編成したところであります。

 なお、予算の細部については、別に「令和4年度千歳市各会計予算大綱」の中でご説明申し上げます。

 

【むすび】
 以上、新年度の市政運営と施策の大綱について申し上げました。

 私が5期目の市政を担ってから3年が経過し、「3つの活力」と「3つの安心」を柱として掲げた49項目の公約については、全ての項目において「おおむね達成」できる見込みであります。
 今後は、これまで課題となっておりました新たな地域コミュニティの拠点となる「大和地区コミュニティセンター」について、令和9年度中の供用開始に向けた検討を進めるほか、「新学校給食センター」については、今後の整備の方向性などについて、令和4年度中にお示ししたいと考えております。
 引き続き、住みよいまちとなるよう、各種事業を推進してまいります。

 現在、我が国はコロナ禍という世界的な脅威にさらされ、人口や医療、経済、教育など、多くの分野に影響が生じており、未だ新型コロナウイルス感染症の完全なる収束は見えておりません。

 一方、世界的には、未来を見据えた成長戦略の分野として、脱炭素化やDX(デジタルトランスフォーメーション)など、新たな概念に基づく取組が世界基準としてスタートしています。
 今後は、世界や国内情勢の動きを敏感に察知し、社会ニーズや市民ニーズに的確に応えることができるよう、まちの未来を見据え、次代を担う子どもたちからコロナ収束後にやってみたい「夢」を募集するなど、ウィズコロナ・アフターコロナに向けた新たな施策を展開してまいります。

 また、徐々にではありますが、これまで開催を中止していたイベントや祭りの再開により、コロナ禍で実現できなかった、千歳ならではの四季折々の風情やふるさとの風景を愛で、楽しむ機会が増えていくことを期待しております。

 本市としましては、このような機会を通じて、子どもから大人まで幅広い世代の市民が、本市が持つ多くの魅力や特性は市民の財産であるということを再認識し、「ふるさと千歳」に住むことの「幸せ」や「誇り」を実感していただきたいと考えております。

 そして、市民の皆様とともに、これらの魅力や特性を市内外に対し発信していくことで、コロナ禍という未曽有の危機を乗り越え、まちの活力を生み出すことができるものと信じております。

 今後も、全身全霊をもって「活力を持続させ、市民の皆様にとって住みよく、安全で安心できる魅力的なまちづくり」に取り組んでまいりますので、市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
 

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