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平成27年度市長市政執行方針

(はじめに)

  平成27年第2回定例市議会の開会にあたりまして、市政執行に対する
私の所信を申し上げます。

  私は、このたびの統一地方選挙におきまして、市民の皆さまの温かいご
理解とご支援をいただき、引き続き4期目の市政を担当させていただくこ
とになりましたが、直面する様々な課題への対応や、次世代への責任など
を考えますと、改めて緊張感と使命感に身が引き締まる思いであります。

  地方を取り巻く状況は、私が市長に就任しました12年前と比べ大きく
変わっており、特に、我が国の人口は、2008年をピークに減少に転じ、
地方においては、その傾向が顕著になってきております。

  本市は、このような状況下におきましても、人口増加を続けております
が、将来的には、人口減少が予想され、このことは、地域経済の縮小や市
民生活の活力低下など、地域の存立基盤に関わる深刻な問題と認識してお
ります。

  このことから、本年3月に「千歳市移住・定住促進プロジェクト」を策
定し、平成32年度の目標人口を9万7千人と掲げ、その達成に向け、各
分野の施策を戦略的に総動員し、定住促進の施策を進めているところであ
ります。

  国は、人口減少の克服や地域の活性化などを図るため、昨年11月に
「まち・ひと・しごと創生法」を制定し、全ての地方自治体に中長期的な
人口の将来展望と地方創生に向けた目標や施策等を内容とする「地方人口
ビジョン及び地方版総合戦略」の策定を本年度中に求めているところであ
ります。

  本市におきましては、地方版総合戦略などに先んじて策定しておりまし
た「移住・定住促進プロジェクト」を基本に、さらにこのまちの勢いが増
し、特に若い世代が将来に夢や希望を持ち、活力が循環するまちづくりを
目指して「(仮称)千歳市人口ビジョン及び総合戦略」を策定してまいり
ます。

  今後、地方を取り巻く状況がますます厳しくなることが予想されますが、
本市におきましては、まちのあらゆる分野の活力の源泉であります定住人
口の増加や交流人口の拡大を最重要課題として、この実現に全力で取り組
んでまいる決意であります。

(市政運営の基本姿勢)

  ここで、今後の市政に臨む基本姿勢について申し上げます。

  第一は、『市民協働により、住み良い、発展がつづく都市づくり』であ
ります。

  活力に満ち、個性豊かな住み良いまちを実現するため、私は市長に就任
以来、本市が持つ特性や資源などの「都市力」と市民一人ひとりが持つ知
識や経験などの「市民力」の二つの力を最大限に生かしながら、これまで
市民協働によるまちづくりを推進してまいりました。

  本市には、大正15年、村民総出で無償の汗を流し、原野に着陸場をつ
くり上げたという、一致団結の精神がまちづくりの根底に脈々と流れてお
り、今日の千歳の発展の礎となっております。

  昨年9月、支笏湖地区に大きな被害をもたらした大雨災害においても、
まちを挙げての復旧支援が行われたことは、「事に当たって一致団結する」
という、先人から引き継いできた精神が正に表れたものであると考えてお
ります。

  市民協働とは、言い換えれば郷土愛の発露であり、このまちに住んで良
かったと真に実感できるのは、市民や隣人とともに参加・連帯する機会な
どによってもたらされる郷土愛を強く感じる時ではないかと考えておりま
す。

  少子高齢化や人口減少等、社会経済情勢の変化に対応しながら、行政が
主体となり、市民サービスや福祉の充実などを図ることは無論のことです
が、あわせて、市民と行政が共に市民協働による郷土愛を醸成しながらま
ちづくりを進めることが重要となります。

  このようなことから、まちづくりの目標を『市民協働により、住み良い、
発展がつづく都市づくり』と掲げ、今後も、市民一人ひとりが真に夢を持
ち、その夢が実現できる都市づくりを推進してまいります。

  第二は、『みんなで生き生き  活力創造都市  ちとせ』であります。

  本市におけるまちづくりの最上位の計画であり、まちづくりの目標とそ
の取組方向を示す「千歳市第6期総合計画」は、平成23年度にスタート
しましたが、その後の社会経済情勢の変化や本計画の進捗状況等を検証し、
中間年を迎える本年度に内容を見直すこととしております。

  この計画においては、平成32年度の将来人口を9万5千人と設定して
おりますが、中間見直しに当たっては、現状の人口を踏まえ、9万7千人
に引き上げることとしており、まちの勢いや潜在力を市の内外に印象付け、
さらなる発展の好循環につながることを期待するところであります。

  まちの活力と発展が持続し、市民の皆さまが住み良さを実感できますよ
う、「第6期総合計画」の着実な推進を図り、将来都市像『みんなで生き
生き  活力創造都市  ちとせ』の実現に邁進してまいります。

(当面する課題への対応)

  次に、当面する課題について申し上げます。

  1点目は、「地域経済の活性化」であります。

  我が国は、低い経済成長やデフレが長年続いていたことから、これらを
脱却するため、安倍内閣は、いわゆるアベノミクスと呼ばれる経済政策を
推し進め、雇用や株価等、各種の経済指標が改善するなど、一定の景気回
復の兆しは見られるものの、地域経済には、依然として厳しい部分がある
ものと考えております。

  このことから、就労支援の推進や積極的な企業誘致により雇用の場を創
出するとともに、本市が持つ優れた観光資源やスポーツ施設等を活用して、
観光振興やスポーツ合宿の誘致、国際交流、グリーン・ツーリズムによる
地域の活性化や交流人口の拡大を図るなど、まちの成長・発展につながる
取組を進めてまいります。

  さらに、本年8月にリニューアルオープンする「道の駅サーモンパーク」
と「サケのふるさと千歳水族館」や本年度で整備が終了するグリーンベル
トなどにより快適で活気のある市街地環境を創出するとともに、商店街や
中心市街地の活性化を図るなど、まちの賑わいづくりや商業振興につなが
る取組を進めてまいります。

  2点目は、「定住促進」であります。

  人口は、まちの勢いを測るものでありますことから、本市が持つ資源や
優位性を生かし、企業誘致の推進や自衛隊の体制強化、子育て支援、教育
環境の充実等、これまで定住促進につながる様々な施策に取り組んできた
ところであります。

  また、交流人口を拡大することは、観光産業や商業、サービス業等によ
るまちの活性化とともに、雇用が創出され、定住人口の増加につながるこ
とから、観光振興をはじめとする様々な施策を進めているところでありま
す。

  このような取組は、人口増加が続いている段階から行うことが重要であ
りますことから、「移住・定住促進プロジェクト」に基づき施策を進めて
いるところでありますが、本年度新たに策定します地方創生の千歳市版総
合戦略等ともあわせ、さらに定住人口の増加と交流人口の拡大につながる
よう効果的な施策を総合的に推進してまいります。

  3点目は、「新千歳空港24時間運用枠拡大の対応」であります。
  
  新千歳空港の24時間運用枠の拡大については、昨年12月に開催した
地域協議会で、委員の方々のご理解とご協力により、各町内会で検討が開
始されたことから、町内説明会や地域協議会委員の方々と勉強会を開催し
て、論点や課題の整理を行い、住宅防音対策や地域振興対策の検討などを
進めております。

  深夜・早朝時間帯に航空機の飛行回数が増えることになりますと、地域
の方々には、生活環境への影響など、さらなる負担をおかけすることにな
ります。市といたしましては、新千歳空港の24時間運用枠の拡大につい
ては、本市はもとより北海道の振興発展のために大変重要であり、この実
現のためには、地域の方々のご協力が何よりも大切であると考えておりま
す。

  このことから、枠の拡大については、「発着回数の増加による騒音の加
重に伴った必要な対策が講じられること」を前提として、今後とも、地域
の方々のご意見を丁寧にお聴きしながら、基本合意に向けた課題解決に積
極的に取り組んでまいります。

  4点目は、「自衛隊の体制強化」であります。
  
  防衛計画の大綱で示された「統合機動防衛力」の実現に向け、平成27
年度には、国により、部隊の改編や新編が本格的に行われるものと思われ
ますが、本市には、削減の対象とされた戦車・火砲を装備する部隊が多数
所在していることから、これら部隊が削減、縮小され隊員が減少すること
に強い危機感を抱いております。

  また、改編等が予定されていない部隊についても、配置される実員数は
定員数を大きく下回るなど、充足率が著しく低い状況にあります。

  市内に居住する隊員が減少することは、北の守りや、災害発生時など安
心・安全確保という面から市民の不安が増大するほか、地域経済やまちづ
くりにも深刻な影響を及ぼすこととなります。

  これらのことから、充足率の向上、新編部隊の誘致活動を積極的に展開
していくとともに、平成28年に予定されております「現中期防衛力整備
計画」の見直しに備え、「千歳市における自衛隊の体制強化を求める期成
会」や「北海道自衛隊駐屯地等連絡協議会」と連携を図り、自衛隊と共存
共栄するまちづくりを進めてまいります。

  5点目は、「持続可能な行財政運営」であります。

  少子高齢化や人口減少による人口構造の変化、社会経済状況の変化等に
伴い多様化する市民ニーズに的確に対応し、安定的な市民サービスを提供
していくためには、効率的で質の高い行政運営とともに、健全な財政運営
が必要となります。

  このことから、これまで進めてきた行財政改革を引き続き推進するとと
もに、財政運営のあるべき姿を定めた「千歳市財政標準化計画」に基づき、
中長期的な視点に立って、強固で持続可能な財政基盤の確立に努めてまい
ります。

  また、全国的に老朽化する公共施設等への対応が大きな課題となってお
り、本市におきましても、多くの公共施設等を有し、維持管理してきてお
りますが、今後、これらの経費は増加することが見込まれます。このこと
から、現状や将来の見通し等を踏まえ、「千歳市公共施設等総合管理計画」
を策定し、公共施設等の更新・統廃合・長寿命化等を計画的に行い、最適
な配置を目指すとともに、財政負担の軽減・平準化を図り、効果的で効率
的な行財政運営に取り組んでまいります。

(重点施策)

  私は、まちづくりの目標を実現するため、「3つの活力と3つの安心」
を柱として60項目の公約を掲げたところでありますが、各施策を取り組
むに当たり、特に重点化を図る施策について申し上げます。

  第1に、「経済・雇用」であります。
  地域経済の活性化と雇用の拡大に向け、定住促進や企業誘致の推進をは
じめ、本市の資源を生かした観光振興やスポーツ合宿の誘致等、交流人口
の拡大に向けた取組を進めます。

  第2に、「市民協働・地域活動」であります。
  市民協働の仕組みを見直し、市民参加の場の拡充に努めるとともに、市
民の地域における活動が充実するよう、コミュニティセンターの改修を行
うほか、町内会館の新築や改築等の整備への支援を行います。

  第3に、「医療・福祉」であります。
  市民が心身ともに健康で、生きる喜びを実感しながら暮らすことができ
るよう医療体制の充実をはじめ、休日夜間急病センターの整備により救急
医療体制を充実させるとともに、高齢者や障がい者が安全に安心して生活
を送ることができるよう地域福祉の充実に取り組みます。

  第4に、「子育て・教育」であります。
  未来を担う子どもたちが、生き生きと学び健やかに成長するとともに、
安心して子どもを生み育てられるよう多様な子育て支援策の充実に取り組
みます。
  また、安全・安心で快適な学校施設の充実を図るとともに、新たな学校
給食センターの整備に向けた取組を進めます。

  第5に、「環境・防災」であります。
  千歳川上流部の水質を保全するため支笏湖温泉地区公共下水道の千歳処
理区への統合を進めるほか、防災行政無線のデジタル化に向けた取組等、
様々な災害から市民生活を守り、安心して暮らせるための基盤整備を進め
ます。  
  
(主な施策)

  次に、「第6期総合計画」の目指す都市像を実現するための、6つの
「まちづくりの基本目標」に沿って、主な施策を申し上げます。

  第1は、『あったかみのある地域福祉のまち』の推進であります。

  地域福祉については、本年3月に策定した「第3期千歳市地域福祉計画」
に基づき、市民主体の地域福祉活動やボランティア活動の促進を図り、お
互いに支え合い、安心して暮らし続けられる、あったかみのあるまちの実
現を目指します。

  本年4月からスタートした「生活困窮者自立支援制度」については、経
済的な困窮など課題を抱えた市民を早期に把握し、個々の状況に応じ、住
宅確保や就労支援などの自立に向けた相談支援を行うほか、「ちとせ学習
チャレンジ塾」を開設し、生活困窮世帯の子どもを対象とした学習支援を
進めます。
  また、本市の独自事業として、生活困窮者の冬季の暖房費の一部を助成
する「あったか灯油事業」を新たに実施するなど、地域福祉の充実に努め
ます。

  保健予防対策については、健康寿命の延伸と市民生活の質の向上を目指
し、生活習慣病の予防など市民のこころと身体の健康増進を総合的に推進
するため、次期千歳市健康増進計画を策定します。
  また、自殺の要因となるこころの病気への気づきや適切な対応を促すた
め、講演会や「うつスクリーニング事業」の実施による普及啓発を図り、
こころの健康づくりと自殺防止の取組を進めます。

  母子保健対策については、不妊治療費の助成制度の開始により、不妊治
療を受ける夫婦の経済的な負担の軽減を図り、安心して子どもを産み育て
ることができる環境づくりに努めます。

  医療については、市立千歳市民病院において、『より質の高い  心あた
たまる医療の実現』に向け、救急・高度医療、小児・周産期医療の充実を
図るとともに、地域医療連携の推進や北海道が策定する地域医療構想を見
据えた病床機能の検討を行うなど、「中期経営計画」に掲げた取組を着実
に進め、地域の基幹病院として必要な医療提供体制を確保します。

  救急医療体制については、初期救急医療における市民の安心と安全を確
保するため、平成29年度の休日夜間急病センターの開設を目指して、本
年度より、設計業務等の整備事業に着手するとともに、医師確保に向けた
取組を進めます。

  高齢者福祉については、「千歳市高齢者保健福祉計画・第6期千歳市介
護保険事業計画」に基づき、地域密着型サービスの整備を進めるとともに、
地域のネットワークづくりを進め、地域包括ケアシステムの構築を目指し
ます。
  また、介護予防サロン事業のモデル事業など、新しい介護予防・日常生
活支援総合事業の実施に向けた準備を進めるとともに、「千歳市きずなポ
イント事業」を創設し、高齢者が支え合いながら生きがいを持って暮らせ
る地域づくりを推進します。

  障がい者福祉については、本年3月に策定した「千歳市障がい者計画・
第4期千歳市障がい福祉計画」に基づき、障害福祉サービスや地域生活支
援事業を充実させるとともに、障がいのある方の就労支援と雇用機会の拡
大に努めます。
  また、「千歳市障がい者地域自立支援協議会」を中心に関係機関等との
連携を図り、障がいのある方が安心して暮らすことができる地域づくりを
進めます。

  児童福祉については、「子育てするなら、千歳市」をキャッチフレーズ
に、多様な子育て支援策の充実を図ります。新たな取組としては、転入し
てきた子育て世帯を歓迎し、不安感や孤立感を和らげることを目的に「転
入親子ウエルカム交流ツアー」を実施するほか、効果的なしつけ方法の普
及を図る「子育てスキルアップ講座」を開催します。

  乳幼児期の教育・保育施設については、本年4月に公立保育所、民間保
育園及び幼稚園計7か所が、幼稚園と保育所の良さを併せ持ち、地域の子
育て支援を行う幼保連携型認定こども園に移行しております。
  新制度の保育料については、全ての所得階層の負担軽減を図るほか、多
子世帯に対する保育料の減免を行うなど、子育てしやすい環境の整備を図
ります。

  子育て支援中核施設である「ちとせっこセンター」と「げんきっこセン
ター」に子育てコンシェルジュを配置し、多様な子育てサービスの情報提
供を行うほか、転入後間もない子育て家庭を訪問し、孤立化や子育て不安
の解消を目指します。
  また、7か所の児童館において地域子育て支援拠点事業(連携型)を導
入し、地域子育て支援センターを3か所から10か所に拡大します。
  さらに、学童クラブの需要が増えている北陽小学校区に学童クラブを新
設し、受入れ拡大を図ります。

  障がいのある乳幼児への支援については、認定こども園や幼稚園などへ
の「訪問療育支援」のほか、専門職員が巡回し、障がいの早期発見・対応
のための助言などを行う「こども相談」を実施します。

  町内会活動の支援については、再編交付金を活用し、町内会館改修事業、
町内会等備品整備事業を引き続き行います。

  コミュニティセンターについては、バリアフリー化や耐震化など、安全
性や利便性の向上のための計画的な改修を進めており、本年度は北桜コミ
ュニティセンターの改修工事を実施します。  

  また、結婚を希望する独身男女の出会いの場を提供する婚活パーティー
や結婚のすばらしさ・家族を持つことの意義等、結婚を考えるセミナーを
開催します。

  泉沢向陽台住宅地については、緑豊かな自然環境や利便性に優れた住環
境のPRとともに、市有地売却媒介制度の導入などを行い、分譲の促進を
図ります。

  第2は、『人と地球にやさしい環境のまち』の推進であります。

  環境保全対策については、「千歳市環境基本計画」に基づき、温室効果
ガスの排出削減の推進を図るため、家庭における太陽光発電システムや太
陽熱温水器の購入設置費の一部を助成する「千歳市エコチャレンジ補助制
度」を引き続き実施し、環境にやさしいクリーンな新エネルギー導入を促
進します。

  廃棄物対策については、使用済小型家電製品の回収を開始してから1年
が経過し、順調に実績をあげており、今後も貴重な有用金属の再資源化に
つながる本事業を継続して推進します。

  集団資源回収については、持続可能な循環型社会の形成に向けて安定的
な運営に努めます。

  ごみ処理の広域化については、建設コスト・運転管理コストの低減や環
境負荷の抑制につながるものと考え、道央廃棄物処理組合において廃棄物
焼却施設の建設に向けた建設候補地選定を行っているところであり、引き
続き協力して取り組んでまいります。

  霊園事業については、従来の3霊園に加え、本年4月に開設した合葬式
墓地「千縁塚」により、近年の家族環境の変化によるお墓へのニーズに対
応します。

  下水道事業については、公共用水域の水質保全対策として、将来の合流
改善に必要な幹線汚水管の敷設を継続実施するとともに、浄化センターの
震災対策事業を継続し、さらに、管路の長寿命化計画の策定に着手します。
また、支笏湖温泉地区については、千歳処理区への統合に向けた汚水管の
敷設を継続して実施します。

第3は、『安全で安心して暮らせるまち』の推進であります。

  防災については、災害対策基本法等の法律改正や御嶽山の噴火災害を教
訓として策定した樽前山噴火災害対策「支笏湖地区避難計画」などを反映
し、「千歳市地域防災計画」を見直したところであります。
  今後も引き続き大規模災害等が発生した場合に備え、指定緊急避難所に
おける備蓄品の配備と必要な備蓄倉庫の整備を進めるとともに、自主防災
組織の結成や育成支援に取り組むなど、「災害に強いまちづくり・人づく
り」を進めます。
  また、防災行政無線システムについては、施設のデジタル化とともに、
本市に適したシステムの構築を進めます。

  消防については、災害の大規模化、多種多様化に対応するため、災害対
策の活動拠点である消防総合庁舎の耐震設計を実施するとともに、高規格
救急車と消火栓の更新を行い、迅速な災害活動と消防体制の充実・強化に
努めます。

  住宅施策については、市営住宅みどり団地3号棟80戸の建設工事を5
月上旬から着手しており、平成28年9月完成を目指し良好な住宅環境の
整備を進めます。

  千歳川流域の治水対策については、千歳川河川整備計画に基づき、釜加
地区の堤防整備や根志越地区の遊水地整備が進められており、国と連携を
図りながら、整備促進に努めます。

  在日米軍再編に係る訓練移転については、これまで計6回の訓練が実施
され、いずれも市民のご理解とご協力により円滑に終了しており、今後も、
沖縄の負担軽減のため可能な限り協力していくとともに、市民への情報提
供や国に協定の順守を求めるなど、市民生活の安全と安心を確保します。
  また、再編交付金の交付期間については、平成29年3月31日までと
なっておりますが、これまでの訓練移転では相応の負担と貢献を果たして
いることから、訓練移転が継続される場合は、千歳飛行場騒音地区整備協
議会や在日米軍再編に係る訓練移転先6基地関係自治体連絡協議会とも連
携しながら、再編交付金の交付期間延長に取り組みます。

  航空機騒音に対する住宅防音工事の促進については、待機件数の早期解
消に向けて関連予算の増額確保が不可欠となりますので、引き続き、国に
対し強く要望してまいります。

  C経路については、装軌車両の通行による舗装の損傷への対応として、
周辺地域の良好な住環境を確保するため、本年度より東4線道路の補修に
着手するとともに、今後も計画的に補修を進めます。

  北千歳駐屯地急傾斜地対策については、これまで順調に工事が進捗して
おり、今後においても、国と連携を図りながら、平成27年度中の完了に
向けて進めてまいります。

  水道事業については、浄水施設や配水管などの計画的な更新を行うとと
もに、災害時における配水管網の整備手法の検討を進め、安全でおいしい
水の安定供給に努めます。
  また、石狩東部広域水道企業団拡張事業からの受水開始に伴う費用の増
加に対応するため、今後の事業のあり方を示す水道ビジョンやアセットマ
ネジメントの手法を用いた施設更新計画などに基づく中長期的な経営計画
の策定を行い、引き続き効率的な経営に努めるとともに、料金改定により
収支の改善を図るなど、経営の健全化を進め、事業の持続性を確保してま
いります。

  第4は、『学びの意欲と豊かな心を育む教育文化のまち』の推進であり
ます。

  教育については、本年5月、教育委員会との協議・調整の場であります
「千歳市総合教育会議」を設置し、教育や文化等の振興に関する総合的な
施策の方針を定める「千歳市教育大綱」について、協議を行い策定したと
ころであります。
  今後も、教育委員会との連携をさらに深め、学力向上や教育環境の整備
などの教育施策を重点的に推進します。

  学力向上については、小学校に配置している「学習支援員」を増員し、
習熟度別少人数指導の充実を図り、学力向上に向けた取組を進めます。
  また、より効果的な学習指導を進めるために、全小学校にデジタル教科
書を導入し「ICT教育」の充実を図ります。

  いじめ問題については、不登校やいじめ、暴力行為、児童虐待など児童
生徒指導上の課題に対応するため、新たにスクールソーシャルワーカーを
配置し、より積極的な家庭への働きかけや関係機関との連携を図ります。

  学校環境の整備については、学校施設の安全性向上のため、屋内運動場
を対象とした非構造部材の耐震化や放送設備の更新、校舎の大規模改修な
どを計画的に推進します。

  教職員住宅については、管理職住宅の1校1戸の整備を進めるとともに、
教職員の居住環境の改善と移住・定住を促進するため、新たな一般教職員
住宅の整備について検討を進めます。

  特別支援教育については、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な支
援を行うため、特別支援教育支援員を増員するなど、特別支援教育の充実
を図ります。

  学校給食センターについては、施設の機能面での課題があることから、
これらを解決するため「学校給食衛生管理基準」に基づいた、新たな学校
給食センターの建設に向けた検討を進めます。

  生涯学習については、市民一人ひとりの能力を生涯にわたり発揮できる
活力ある生涯学習社会の実現に向け、本市の豊かな自然環境や生活環境、
地域の教育資源などを生かした様々な学習機会の充実に努めます。

  文化財については、国指定史跡キウス周堤墓群の世界文化遺産登録に向
けた取組を進めるとともに、見学者の利便性を図るための整備を実施しま
す。

  スポーツの振興については、市民がスポーツ施設を安心して利用できる
よう、安全性の維持と向上に努め、総合武道館や市民球場等の改修を計画
的に行いスポーツ振興の促進を図ります。

  国際交流の推進については、千歳国際交流協会などと連携を図りながら、
国際理解を深める情報提供の充実に努めるとともに、「青少年海外派遣研
修事業」等を実施し、青少年期における国際感覚の醸成に取り組みます。
  また、市民と外国人との交流の機会を創出し、国際感覚豊かな人材の育
成を進めます。

  アンカレジ市・指宿市などの姉妹都市等との交流については、教育・文
化交流のほか、観光や経済分野への拡充など、両市の持つ地域資源を生か
した相互交流を推進します。

  第5は、『活力ある産業拠点のまち』の推進であります。

  農業の振興については、農地の利用調整を図るとともに、経営所得安定
対策や経営体育成支援事業の実施、経営の改善・近代化に取り組む農業者
の支援を行い、農業経営の安定や生産力の確保、担い手の育成等を展開し
ます。
  また、環境と調和した農業の推進を図るため、化学肥料・化学合成農薬
の低減や有機農業に取り組む農業者を支援する環境保全型農業直接支援対
策事業を実施するとともに、農業まつりなどの各種イベントや農産物直売
所などによる地産地消の取組を進めます。
  このほか、計画期間の中間年に当たる「第3次千歳市農業振興計画」に
ついては、農業を取り巻く情勢の変化や施策の進捗状況を検証・把握し、
必要な見直しを行います。

  グリーン・ツーリズムの推進については、千歳市グリーン・ツーリズム
連絡協議会などと連携を図りながら、本市が有する地域資源と美しい農村
環境を生かした体験型観光や食農教育を実施し、市民が農村地域の景観や
食と農の魅力を実感する機会を創出します。

  優良農地の確保については、農作業の効率性を高め、農家経営の安定化
を図るため、土地改良事業の推進や農業用施設の適正な管理・機能保持に
努めるとともに、農業・農村が有する多面的機能の維持・発揮を図るため、
地域の共同活動を支援します。

  林業の振興については、地球温暖化や災害の防止、水源かん養、国土の
保全など森林が持つ公益的な機能を踏まえ、関係機関と協力して健全な森
林の整備と維持に努めます。

  支笏湖産ヒメマスについては、昨年度供用を開始した新ふ化場を拠点に、
関係機関や団体などと連携し、資源の保護・増殖と安定した供給を図るた
め、ふ化放流事業を円滑に実施するほか、ヒメマスのブランド化を見据え、
通年販売を可能にする冷凍設備等の購入や、昨年度に試作した魚醤等のP
Rなどに取り組みます。

  工業の振興については、さらなる企業立地を推進するため、道央地区を
中心とした自治体、関係機関や市内の民間企業などとの広域連携による取
組を進めるとともに、自動車・機械金属関連産業との取引企業を対象とし
た企業立地動向調査を実施するほか、市ホームページやパンフレットなど
を活用した情報発信を積極的に行い、本市の交通アクセス・産業インフラ
の優位性やリスク分散の適地である立地環境の特性を生かした誘致活動を
展開します。
  また、市内に事務所などを借りて製品の開発・製造を行う創業者等への
支援に取り組み、新たな事業の集積や維持・拡大につなげます。
  立地企業に対しては、ワンストップサービスの展開や各種助成制度の活
用、販路開拓の支援など、サポート体制の充実に取り組むとともに、企業
間のビジネスマッチングやネットワークの強化、さらには産学官連携の推
進を図り、地域内経済の循環を促進します。

  高度技術産業の集積については、千歳科学技術大学の学術研究機能を最
大限に生かし、ホトニクスバレープロジェクトに関する研究開発活動を産
学官の連携で推進するとともに、研究開発支援機関等による事業を活用し、
新製品の創出や新技術の開発など、企業活動を支援します。

  商業の振興については、商業者の自発的な取組による魅力的な個店や商
店街づくりのため、イベント等の開催のほか、次世代を担う人材の育成や
空き店舗利用の促進を支援してまいります。また、国の交付金を活用し、
消費喚起による地域内経済の循環を図るプレミアム付き商品券の発行を実
施します。
  さらに、平成28年度を計画の開始期とする新たな商業振興プランにつ
いては、環境の変化に対応するとともに、中心市街地の活性化等に結び付
く商業空間の形成に向け、実効性のあるプランづくりを進めます。

  中小企業に対する経営支援については、本市の中小企業振興融資制度の
条件緩和の継続、原材料価格や人件費等のコストアップに対応する融資制
度の周知等を行うなど、千歳商工会議所や金融機関と連携を図りながら、
資金繰りに伴う負担軽減を促進します。

  観光振興については、「千歳市観光振興計画」の前期5年間の総括を行
い、後期の施策見直しなどを実施するほか、大幅に増加する訪日外国人を
含めた観光客を誘致するため、観光ガイドを全面改訂し、英語版を作成す
るほか、関係機関や団体と連携し、国内外の展示会への出展、海外プロモ
ーションの実施などの事業を行います。

  「道の駅サーモンパーク千歳」のリニューアル事業については、「清流
せせらぐ まちなか にぎわい空間」を基本コンセプトとして、サケが遡上
する千歳川や豊かな自然環境が残された河川敷地を生かした施設整備を進
めてきており、本年8月8日にグランドオープンします。イベントや飲食
などを楽しめる目的型の道の駅として多くの市民や観光客などに利用して
いただけるようセンターハウスをはじめ、駐車場、イベント広場、河川敷
地などを総合的に整備し、センターハウスにおいては、市内の観光やイベ
ント情報などを発信するとともに、地元の食材を生かしたレストランやフ
ードコート、地元産品を中心とした物販コーナーや農産物直売所のほか、
24時間営業のコンビニエンスストアも併設します。
  また、キッズスペースでは、大型遊具や映像の投影などにより、子ども
にも安心して長時間楽しめる施設となるよう整備します。

  公益財団法人千歳青少年教育財団が設置・運営する「サケのふるさと
千歳水族館」については、道の駅と同時にリニューアルオープンし、共同
イベントの開催など連携を強化します。

  スポーツ合宿・大会の誘致については、魅力ある観光資源や交通アクセ
スの優位性など、まちの強みを生かしながら、「千歳市スポーツ合宿・大
会誘致等推進協議会」を中心に、官民一体となって、スポーツ合宿や大会
の誘致等の活動を積極的に進め、観光とスポーツの融合・連携による地域
経済の活性化や市民スポーツの振興を図るとともに、交流人口の拡大に努
めます。

  雇用については、雇用情勢の改善の動きがより安定的なものとなるよう、
ハローワーク千歳など関係機関との連携を図りながら、雇用情報センター
による活動等を展開し、市民の就労を支援します。
  また、市内の産業を支える人材を確保するため、UIJターン事業の充
実を図るとともに、女性の就業機会の創出や若年者の就労意識の形成に向
けた取組を進めます。

  第6は、『都市機能が充実したまち』の推進であります。

  新千歳空港については、外国人観光客の急増やLCCの就航等により、
平成26年の乗降客数が過去最高の1,926万人を記録するなど、北の
拠点空港として順調に発展を遂げており、現在、国内線旅客ターミナルビ
ルの大規模改修工事などが進められ、利用者の利便性向上や混雑緩和とと
もに、今後の観光客や新規就航路線の誘致などにも弾みがつくものと期待
をしております。
  また、北の玄関口として北海道経済の振興と発展に重要な役割を担って
おり、今後も、北海道や新千歳空港国際化推進協議会などの関係団体と連
携しながら、国内外の航空路線の維持・拡充及び空港機能の強化など、国
際拠点空港化の推進に取り組みます。

  道路整備については、33号通などの改良を計画的に進め、幹線道路や
生活道路としての安全性と利便性の向上を図るとともに、鉄北通の千歳駅
東口から栄通までの区間において歩道のバリアフリー化を進め、人にやさ
しい道路づくりに努めます。
  また、中心市街地における環境整備の一環として、仲の橋通のバリアフ
リー化に取り組みます。
  さらに、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、仲の橋と向陽橋の修繕工事を
引き続き進めるほか、平和橋の修繕工事に着手し、施設の長寿命化とコス
ト縮減を図ります。

  道路の維持管理については、市民生活を支える上で重要な都市基盤であ
る道路施設を、常に安全で信頼できる状態に保ち続けるため、昨年度実施
した道路ストック総点検結果に基づき、適切な維持管理と施設の長寿命化、
計画的な改修・更新に努めます。

  道央圏連絡道路については、平成26年度から工事に着手した泉郷道路
の早期完成供用に向け、国に整備促進を要望してまいります。
  また、「新千歳空港インターチェンジ」に接続する道道泉沢新千歳空港
線の4車線化並びに延伸計画についても、関係団体及び北海道と連携を図
り事業化の促進に努めます。

  交通政策については、公共交通におけるサービスレベルの向上や過度な
自動車利用からの転換、公共交通を支える仕組み、JR千歳駅周辺におけ
る再整備の在り方などの課題解決に向け、地域や関係機関との合意形成を
図りながら、「千歳市交通戦略プラン」を策定し、誰でも分かりやすく、
使いやすい交通の便利なまちとなるよう、交通ネットワークの充実に取り
組みます。

  グリーンベルトについては、引き続き、東大通に面した「旅人の森」の
再整備を進め、千歳川やママチ川周辺の河川緑地と連続した、市民に親し
まれる水辺環境の整備を進めます。

  次に、行政経営の基本目標の『市民協働による自主自立の行政経営』で
あります。

  市民協働の推進については、新たに協働化テストの要素を取り入れた市
提案型協働事業など10事業の協働事業を実施します。
  また、市民協働プロモーション事業については、7事業を継続し、市民
協働サポート事業については、2事業を継続します。
  さらに、市民協働の仕組みを見直し、市民参加の拡充に努めるとともに、
協働事業などの実施を通じて、情報共有、担い手育成、行政活動への市民
参加を進め、市民協働のさらなる浸透を図ります。

  市民の参加によるまちづくりについては、広報ちとせや市ホームページ
などにより市政に関する情報提供を図り、市民の市政に対する理解や関心
を促すとともに、市長への手紙・ポストなど、様々な方法により把握した
市民の意向を市政に反映してまいります。

  市役所本庁舎については、建物の強度不足や市民の相談窓口などの狭隘
化、災害時における防災拠点機能の充実などの諸課題を解決し、市民サー
ビスの充実を図るため、「まちづくりを推進する中核的な公用施設」と位
置付け、「市民が利用しやすい  市民にやさしい」庁舎となるよう、第2
庁舎の建設及び本庁舎の耐震化に向けた取組を進めます。

  千歳市史の編さんについては、市制施行60周年の平成30年度を目途
として、「通史編(下巻)」刊行のため、編さん委員会を立ち上げるなど
の準備を進めます。

(本年度の政策予算)

  次に、本年度の政策予算について申し上げます。

  まちづくりの目標や公約を実現するため、平成27年度の政策予算の編
成に当たっては、当初予算と合わせ『千歳のちから“伸展”予算』として、
取りまとめたところであります。
  この結果、一般会計総額では、375億7,676万3千円となり、前
年度当初予算と比べ、11億6,688万5千円、3.2パーセントの増
となっております。
  また、一般会計、特別会計、公営企業会計の総額では、681億9,9
94万6千円となり、前年度予算に比べ、6億4,934万7千円、1.
0パーセントの増となったところであります。

  なお、予算の細部については、別に「平成27年度千歳市各会計補正予
算概要」の中でご説明申し上げます。

(むすび)

  以上、本年度の市政運営と施策の大綱について申し上げました。

  私は毎年、1年間の目標を漢字一字に込め、「一年一字」として新たな
年への想いを表してきたところであり、本年は、「伸(しん、のびる)」
としたところであります。この「伸」は、これまで、第6期総合計画や今
までの公約の推進により躍動感に満ちたまちづくりを進め、発展を遂げて
きた「まちの勢い」を止めることなく、さらに加速させ、これからも、伸
展する「『伸』びゆく」一年にしたいという思いを込めたものであります。

  この千歳は、先人が時を重ねて守り続けてきた貴重な財産により今日ま
で発展してまいりましたが、さらなる発展が期待できる潜在力を秘めてお
ります。これらの財産や潜在力を最大限に生かし、発展を持続させ、次の
世代に引き継いでいくことが私に課せられた最大の使命と深く自覚してお
ります。

  新たな魅力づくりにより、まちの価値をさらに高め、「このまちに住ん
で良かった」、「千歳に住んでみたい」と思っていただけるよう、9万5
千市民の皆さまとともに、『夢実現』を目指し、全力で邁進してまいりま
す。

  市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

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