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平成30年度教育行政執行方針

 

はじめに 

 

 平成30年第1回定例市議会の開会にあたりまして、平成30年度の教育行政執行方針を申し上げます。

 近年、少子高齢化や高度情報化の進展など、社会や産業の構造が大きく変化し、質的な豊かさが成長を支える成熟社会に移行していく中、教育を取り巻く課題も複雑多岐にわたっております。

 このような中、国が示した次期学習指導要領においては、新しい時代に必要となる資質・能力として、生きて働く「知識・技能」、未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」、学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の3つの柱に整理し、「社会に開かれた教育課程」の実現を求めております。

 こうした国の動向などを踏まえ、千歳の未来を担う子どもたちが個性や能力を発揮しながら、たくましく成長することができるよう、これまで以上に一人ひとりが持つ力を最大に引き出す教育を推進することが重要であります。

 また、生涯学習の充実にあたっては、市民一人ひとりが学んだ成果を生かし、ひとやまちの魅力を高め、住みよい暮らしや市民主体の地域づくりにつなげるため、生涯にわたって学習や課題に取り組むことができる環境づくりを進める必要があります。

 このことから、「千歳市総合教育会議」における議論などを通じて、「千歳市教育大綱」の基本目標の実現を目指し、本市の教育、学術及び文化の振興について総合的かつ計画的に推進してまいります。

 

 教育行政の基本姿勢

 

 ここで、今後の教育行政に臨む基本姿勢について申し上げます。

 一つ目は、『未来への飛翔・すべては子どもたちのために』であります。

 千歳の未来を担う子どもたちが夢や希望を持ち、健やかに成長していくことが、千歳のまちづくりの原動力となります。

 このため、「千歳市学校教育基本計画」に基づき、「知・徳・体」の「生きる力」を伸ばすための教育を推進し、知的な探究心を持ち、積極的に行動する力を育ててまいります。

 二つ目は、『学びの意欲と豊かな心を育む文化のまち』であります。

 市民一人ひとりが生きがいと潤いのある人生を過ごすため、自由で主体的な学習活動により、自らを高め、心を豊かにしていくことが必要であります。

 このため、「千歳市生涯学習基本計画」に基づき、活力ある地域社会の実現に向けた仕組みづくりを推進するとともに、学習や文化芸術活動を通じて、「人づくり・地域づくり・まちづくり」につながる生涯学習社会を構築してまいります。

 

 教育重点施策

 

 次に、平成30年度の教育重点施策について申し上げます。

 第1に、『確かな学力の向上』であります。

 社会構造が大きく、急速に変化していく時代においては、予測できない変化に主体的に向き合って関わり合い、自らの可能性を発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となることができる力を身に付けていくことが大切であります。

 各学校においては、全国学力・学習状況調査の結果分析等をもとに学校改善プランの進行管理を徹底し、学習支援員やICT機器の効果的な活用による授業改善に努めており、その成果が現われております。

 今後も、指導方法の工夫改善に努めるなど、確かな学力の定着に向けた取組を進めます。

 第2に、『教育環境の整備』であります。

 学校施設は、子どもたちの学習・生活の場であることから、安全・安心な教育環境を確保するため、計画的に施設の改修などを進めます。

 北陽小学校については、校区内の人口が伸びている状況にあり、児童数が数年後にピークを迎えた後も長期間にわたり過大規模校の状況が続く見込みとなることから、教育環境の改善を図るため、早急に分離新設校の建設に向けた具体的な検討を進めます。

 第3に、『外国語教育の充実』であります。

 グローバル化が急速に進展する中、外国語によるコミュニケーション能力は、生涯にわたる様々な場面で必要とされることが想定され、その能力の向上が課題となっております。

 本市においては、小学校の外国語活動の充実を図るとともに、次期学習指導要領の本格実施に向け、教員の指導力向上を目的とした校内研修の実施や外国人英語指導助手の配置拡充を図ります。

 第4に、『いじめ・不登校の対策』であります。

 いじめ問題への対応は、「千歳市いじめ防止基本方針」に基づき、「いじめは人間として絶対に許されない」という確固たる認識と毅然とした態度で取り組むとともに、学校・家庭・地域・関係機関が連携し、いじめ根絶に向けた取組を進めます。

 また、不登校問題については、個々の児童生徒の実態に応じた支援活動を実施するとともに、家庭や関係機関と連携し、不登校児童生徒の学校復帰に向けた取組を推進します。

 第5に、『生涯学習の推進』であります。

 市民ニーズに応じた学習機会の充実をはじめ、文化の振興、文化財の保護と活用、次代を担う青少年の健全育成などに取り組むほか、活力ある地域社会の実現のため、地域の教育資源などを生かしたまちづくり・人づくりにつながる市民活動を支援します。

 

  主な施策  <学校教育の推進>  

 

 次に、「千歳市学校教育基本計画」の基本理念を実現するための3つの基本目標について、主な施策を申し上げます。

 第1は、『ふるさと千歳への感謝と希望を育てる』であります。

 学年・学級経営については、子どもたちの学校生活における意欲や満足度をはかる「ハイパーQU検査」を実施し、教員による日常の観察と併せて検査結果を活用し、望ましい学習集団の形成につなげます。

 教育相談の体制については、不登校やいじめなど、生徒指導上の課題に対応するため、スクールカウンセラーや心の教室相談員などを配置し、きめ細かな対応を図ります。

 いじめ問題については、児童生徒一人ひとりが、元気で明るく学び、健やかに成長していくことができるよう、学校や「いじめ問題等対策連絡協議会」と連携し、いじめの未然防止、早期発見などに取り組みます。

 不登校対策については、教職員とスクールソーシャルワーカーなどが情報の共通理解を図り、組織的に不登校の未然防止や早期解消に努めるほか、適応指導教室「おあしす」での集団生活における適応能力の向上を図るなど、不登校児童生徒の一日も早い学校復帰に取り組みます。

 学校施設については、安全・安心な教育環境を確保するため、校舎の外壁や屋根の改修、児童生徒用トイレの洋式化などを計画的に実施します。

 また、北陽小学校については、児童数増加による過大規模校の課題解消を図るため、早急に分離新設校の建設に向けた具体的な検討を進めます。

 防災・安全教育については、子どもたちを自然災害や交通事故、犯罪被害など突発的に発生する危険などから守り、自ら危険を回避する力を育てるため、災害発生を想定した避難訓練や保護者への引渡し訓練などを実施します。

 就学支援の充実については、保護者の経済的負担の軽減を図るため、入学年度前に新入学児童生徒学用品費を支給するほか、給付型奨学金の交付など、必要な支援を行います。

 家庭の教育力の向上については、本市の子どもたちの家庭学習の時間が少ないことや、インターネットを使用する時間が長いなどの状況を踏まえ、千歳市PTA連合会と協働し、各単位PTAへの普及啓発を行うなど、規則正しい生活習慣や学習習慣の定着に取り組みます。

 地域の教育力の向上については、学校の教育目標や方針、学校が持つ課題などを家庭や地域に発信するほか、学校行事などでの交流を通じて、学校と地域が相互に理解を深め、連携して子どもたちの教育を進める体制の充実を図ります。

 また、コミュニティ・スクールの推進については、調査研究指定校の3校において、順次コミュニティ・スクール活動を展開するとともに、引き続き全小中学校への導入に向けた取組を進めます。

 子どもたちの安全・安心については、児童生徒を犯罪や事故から守り、登下校等の安全を確保するため、市提案型協働事業による「子ども110番の家」の拡充を図るとともに、校区ごとの「安全マップ」を作成し、全児童に配布します。

 第2は、『国際都市千歳にふさわしいグローバルな感覚を育てる』であります。

 開かれた学校づくりについては、ホームページ、教育委員会だより「からふる」などを通じて、各学校の様子や行事を積極的に発信するとともに、保護者や地域の意見を生かした学校運営を推進します。

 教員の資質・能力の向上については、学校指導訪問を通じて授業改善の指導・助言を行うとともに、指導力の向上に資する各種研修を開催します。

 学校間の連携については、義務教育9年間を見通した系統的な教育活動や小中学校の円滑な接続を図るため、「千歳市小中連携・一貫教育推進基本方針」に基づき、モデル校区を指定し、調査研究に取り組みます。

 ICT教育については、教員のICT機器活用能力の向上を図るため、各学校における校内研修のほか、千歳市教育振興会と連携し、長期休業期間を利用した研修を実施します。

 環境教育については、千歳川や支笏湖などの身近な自然環境を学ぶとともに、節電やごみの分別、リサイクル活動など、自然や資源を守る教育を推進します。

 外国語教育については、外国語活動を小学校全学年で実施するとともに、次期学習指導要領の本格実施に向け、移行期における授業時数の確保を図るほか、小学校外国語活動巡回指導教員研修事業の実施など、教員の指導力向上に取り組みます。

 国際理解教育については、外国の文化に触れあう機会を充実するとともに、姉妹都市アンカレジ市サンドレイク小学校、ミアーズ中学校との相互交流を通じて、積極的にコミュニケーションを図る取組を支援します。

 第3は、『知的な探究心を持ち積極的に行動する力を育てる』であります。

 確かな学力については、習熟度別少人数指導の一層の取組を進めるため、学習支援員を増員するとともに、ICT機器の活用や授業改善の取組など、学習指導の充実を図ります。

 道徳教育については、平成30年度から小学校で特別の教科として、本格実施されることから、教員の授業力向上に取り組むとともに、参観日における授業公開や人権教室の開催など、家庭や地域と連携した道徳教育を推進します。

 読書活動については、「ちとせっ子読書プラン」を推進するほか、全小中学校に配置している学校司書を増員し、読書相談や調べ学習でのアドバイスなど、学校図書館の充実を図ります。

 体験的な活動については、「千歳アクティブスクール事業」等において、地域の自然や人材などを活用した体験活動を行うとともに、職場体験や就業体験などのキャリア教育などを実施します。

 体力・運動能力については、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果において、児童生徒の体力の向上が見られているところであり、今後も、実践指定校の取組と併せて、体育授業の改善や運動習慣の定着に向けた取組を進めます。

 学校給食については、安全・安心で、よりおいしい給食を提供するため、新しい献立の追加や味付けを工夫するなど、学校給食の改善に努めます。

 新学校給食センターの整備については、整備手法等の調査結果を踏まえ、関係者の意見も聴きながら、改めて整備の内容や時期について検討します。

 健康教育については、栄養教諭による食育指導を進めるとともに、外部講師による薬物乱用防止教室を開催するほか、子どもたちの虫歯予防を図るため、全小学校で「フッ化物洗口」を実施します。

 特別支援教育については、学習や生活面の支援を行う「特別支援教育支援員」を増員するとともに、児童生徒の生活全般を支援する「児童生徒ヘルパー」や、医療的ケアを行う「学校看護師」を配置するなど、より細かな支援を行います。

 

  主な施策  <社会教育の推進>  

 

 次に「千歳市生涯学習基本計画」の基本目標を実現するための6つの推進方向について、主な施策を申し上げます。

 第1は、『いつでも、どこでも、だれもが学びあえる仕組みづくりの推進』であります。

 市民の自主的な学習活動や交流活動の支援については、「千歳学出前講座」や「生涯学習フォーラム」を実施します。

 生涯学習活動の普及啓発については、市民活動団体が集い、活動を広く市民に紹介する場として、生涯学習まちづくりフェスティバル「ふるさとポケット」を開催します。

 まちづくり活動を行うセンター機能については、市民活動交流センター「ミナクール」において、市民活動の情報提供やイベントを開催するなど、市民の自主的な活動と交流を支援します。

 まちづくりを行う人材や団体の育成については、「みんなで、ひと・まちづくり委員会」によるリーダー養成事業を実施するなど、「まちづくり」の担い手となる人材育成に努めます。

 地域の力による子どもたちの活動支援については、「学校支援地域本部事業」の支援対象校を全校に拡大するとともに、学校支援ボランティアとコーディネーターを増員し、学校活動の支援を充実します。

 第2は、『社会の変化や今日的課題などに対応した、様々な学習機会の充実』であります。

 市民ニーズに応じた学習機会については、社会的課題に対応した「市民教養セミナー」の実施や英語を学びながら国際理解や国際感覚を身につけることを目的とした「英会話教室」などを実施します。

 高齢者の学習機会については、「千歳高星大学」や「千歳高星大学大学院」において講義、実習、体験発表などの学習機会を提供するとともに、趣味や教養を高める「若返り学園」の充実に努めます。

 家庭教育に関する学習機会については、子育てに必要な知識を学ぶ「ママさん教室」、「男性の子育て講座」、「家庭教育セミナー」を開催します。

 第3は、『市民ニーズに対応し、安全で快適に利用ができる社会教育施設の充実』であります。

 社会教育施設の機能の充実と計画的な改修・更新については、北ガス文化ホールの大ホール舞台床の一部改修などを実施するほか、千歳公民館分館の備品購入や照明設備のLED化などを実施します。

 第4は、『多様な文化鑑賞機会の充実と文化活動の支援』であります。

 文化鑑賞機会の充実については、幅広い世代の市民に多様な文化芸術に触れる機会を提供するため、北ガス文化ホールにおける音楽・演劇などの公演や、市民ギャラリーにおける絵画・写真等の作品展など、市民ニーズを反映した魅力ある事業を実施します。

 読書環境の充実については、市立図書館の図書資料の充実を図るとともに、新たに子どもたちの読書活動を推進する取組として読書手帳を導入します。

 文化関係団体等の活動については、市のホームページや「生涯学習情報メールマガジン」、「学(まな)ブログ」で各団体の活動状況などを紹介します。

 市民の文化活動の促進については、活動成果の発表機会の充実に向けた支援や、文化の向上と振興に貢献された方に対する表彰を実施します。

 第5は、『文化財の保護と継承』であります。

 文化財の保護・保存と活用については、郷土の歴史を伝える貴重な遺跡や伝統的郷土芸能「泉郷獅子舞」、千歳固有のアイヌ文化を伝える「アイヌの伝統的芸能と工芸技術」の保護と継承に努めます。

 国指定史跡「キウス周堤墓群」については、これまでの試掘調査結果をまとめた総括報告書を作成するとともに、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部と連携し、世界文化遺産登録に向けた取組を進めます。

 埋蔵文化財の普及啓発については、「縄文遺跡群」をテーマとする企画展や講演会を開催するほか、体験学習会を実施します。

 第6は、『思いやりの心とチャレンジ精神を育む青少年の健全育成活動の推進』であります。

 青少年の健全育成活動については、地域における児童の健全育成対策や子ども会活動を推進するため、公益財団法人千歳青少年教育財団や千歳市子ども会育成連合会と連携し、青少年が地域の中で健やかに育つ環境づくりを進めます。

 また、英語に対する興味や関心を高めることを目的とした「イングリッシュキャンプ」を実施するほか、体験を通してものづくりや科学への理解を深める「チャレンジ教室」を開催します。

 

むすび

 

 以上、平成30年度の教育行政執行にあたっての方針と重点施策及び主な施策について申し上げました。

 今後も、様々な教育課題にスピード感と緊張感を持って精力的に取り組むとともに、子どもたちの未来を育む学校教育と、豊かな心と文化を育む社会教育のさらなる充実のため、学校や保護者をはじめ、関係機関・団体などと連携を図りながら、市民の期待と信頼に応えられる教育行政を推進してまいります。

 市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

 

 

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