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令和3年度市長市政執行方針

(はじめに)
 令和3年 第1回定例市議会の開会に当たりまして、市政執行に対する私の所信を申し上げます。

 昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の対応に終始した一年でありました。

 現在、新型コロナウイルスに罹患し、療養されている皆様には心からお見舞い申し上げますとともに、医療従事者、介護職員並びに保健所など、関係の皆様におかれましては、日々の感染拡大防止対策と、感染者の命を守っていただいておられますことに、改めて感謝と敬愛の意を表するものであります。
 市民の皆様におかれましても、「新しい生活様式」や「新北海道スタイル」の励行など、引き続き感染拡大防止対策の実践についてお願いいたします。

 新型コロナウイルス感染症につきましては、本市におきましても、医療機関や市役所等、複数の場所で集団感染が確認され、強い危機感を持って対応したところであります。
 また、市内小中学校では、長期間にわたり臨時休校となったほか、市民の皆様が楽しみにしていた多くのイベントが中止となったほか、不要不急の外出自粛など、日常生活に大きな影響を与えました。

 感染症への対応としましては、医療体制の確保が最優先との考えから、千歳市民の入院を受け入れた市内の病院に対して助成を行うことで入院病床を確保するとともに、医療従事者の体制強化、及び感染対策への支援などを通じて地域医療体制の維持に努めたほか、昨年7月にはPCR検査センターを開設したところであります。
 また、市民病院においては、院内における感染拡大を防止するため、病院敷地内に発熱患者専用の仮設の診察室と待合室を設置して対応しているところであります。

 このほか、高齢者や障がい者施設等の事業者に対しては、感染者の対応に当たった場合の特別給付金制度を設けたほか、感染症予防の専門家を派遣するとともに、事業者の職員全員に「感染症対策HAND BOOK」を配付するなど、感染症予防意識の高揚に努めてまいりました。

 また、乳幼児期の教育・保育施設に対しても、マスクや消毒液などの感染防止対策用の衛生用品購入等に対する支援を行うなど、集団感染のリスクが高いと思われる各施設に対する感染拡大防止対策に努めてきたところであります。

 経済対策としましては、市の独自事業として、市内事業者に対する「緊急給付金給付事業」を1次及び2次にわたり実施したほか、市内の消費喚起のための「ちとせ市民応援商品券発行事業」、また、現在実施している「事業継続支援給付金給付事業」などに取り組んだところであります。

 新型コロナウイルス感染症への対応については、これまで感染拡大防止対策と経済対策を両輪で進めてまいりましたが、新型コロナウイルスが市民生活に与える影響は大きく、今後におきましても、これまでの対応に加えて、日々変化する状況を的確に捉え、適切な対策を迅速に行うことが重要であると受け止めており、引き続き緊張感と使命感をもって対応してまいります。


(まちづくりの課題について)
 次に、当面するまちづくりの課題について申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症への対応であります。
 令和3年度における新型コロナウイルス感染症拡大防止対策、及び医療体制の強化策として取り組む主な施策についてご説明いたします。

 保健予防対策については、感染予防対策の周知啓発、及びPCR検査体制を継続してまいります。

 また、新型コロナウイルス ワクチンの接種は、市民の生命・健康を損なうリスクや医療への負荷の軽減、更には社会経済の安定につながることが期待されるなど、収束に向けた第一歩であります。
 このことから、国が確保するワクチンを市民の皆様が円滑に接種できるよう、北海道や千歳医師会等の協力により、保健センター等での集団接種と医療機関での個別接種を併用した接種体制を構築するとともに、皆様が安心して予防接種を受けることができるよう、ワクチンや接種概要の周知、また、接種に関する相談体制を構築してまいります。

 救急医療については、内科系初期救急を担う休日夜間急病センターの安定的な運営に努めるほか、外科系初期救急については、新型コロナウイルス感染症などの影響を踏まえ、市内医療機関等における当番制を維持するとともに、診療日を確保するため、緊急的に市内開業医の協力を得て休日夜間急病センターが外科系当番の一部を担うなど、引き続き、皆様が安心して受診できる救急医療体制を確保してまいります。

 次に、新千歳空港の活況の回復であります。
 本市は新千歳空港とともに発展を続けてまいりましたが、令和2年の乗降客数は、国内線は前年比58.2パーセントの減少となったほか、国際線においては昨年の3月以降ゼロが続くなど、本市の定住人口や企業活動、観光産業、市内消費など、様々な分野に対し、計り知れない影響を与えています。

 本市の発展のためには、新千歳空港の利用者の回復が不可欠であり、新型コロナウイルスが収束した後には、空港がもたらす多くの効果をまちづくりに繋げていくことが必要であると考えています。
 今後も本市が将来にわたり持続的な発展を遂げることができるよう、新千歳空港の活況を取り戻すための取組を、空港の運営事業者をはじめとした関係機関と連携して進めてまいります。

 次に、自衛隊の体制強化であります。
 本市が人口増加を継続し、現在の市内経済活動を維持するためには、本市の発展とともに歩んできました自衛隊の体制の維持・強化が不可欠であると考えています。
 現防衛計画の大綱等において、北海道が我が国の防衛政策にとって、重要な位置付けにあることが示されています。
 一方で、我が国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しい状況にあり、宇宙、電磁波、サイバーといった新たな領域への対応や陸海空の統合運用など、多次元統合防衛力の構築を目指すこととしており、自衛隊の体制が大きく変化しています。
 今後も北海道の自衛隊体制強化や充足率の向上などの要望に加え、本市への新たな部隊等の誘致を求める活動を、これまで以上に積極的かつ精力的に行ってまいります。
 次に、財政収支への対応であります。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、令和2年度の歳入は、市税や譲与税などで19億円を超える、過去に例のない減収が見込まれていますが、国庫支出金や財政調整基金、ふるさと納税などの活用により、これまで9回で総額約197億円の補正予算を編成し、様々な対策を実施してまいりました。
 当面は、新型コロナウイルス感染症の影響は続くと考えており、感染拡大防止対策や経済対策などの実施が想定されますことから、7億7千万円となっている財政調整基金の年度末残高を、今定例会に提案する補正予算によりまして、35億2千万円程度まで回復させ、今後の市民生活や事業活動の継続に向けて備えてまいります。

 

(まちづくりの基本姿勢)
 次に、まちづくりの基本姿勢について申し上げます。

 第1に「市民協働によるまちづくり」であります。

 現在のコロナ禍におきましても、「市民の活力と安心を守り、市民協働の実践」によりまちづくりを進めることは、本市のまちづくりの姿勢として、過去から変わらない考え方であります。

 近年は社会情勢の変化が極めて速く、社会全体の価値観が多様化する時代にありますが、このような多様な価値観を受け入れつつ、本市が持つ様々な資源や特性を活かしながら、本市の魅力を市民の皆様とともに共有し、ともに効果的な発信をしていくことが、まちの発展に繋がっていくものと考えています。

 今後も「市民協働の実践」により、市民の皆様と共に「千歳に住んでよかった」「このまちに住み続けたい」と思っていただけるまちづくりを進めてまいります。

 第2は「人をつなぐ 世界をつなぐ 空のまち ちとせ」であります。

 本年は、今後10年間のまちづくりの方向性を示す、「第7期総合計画」がスタートする年であり、その将来都市像を「人をつなぐ 世界をつなぐ 空のまち ちとせ」と掲げ、人口の増加を維持することによってまちの勢いを持続し、空港とともに"活力あるまち"を目指すこととしています。

 全国的に人口減少が続いていますが、「まちの活力、発展の原動力は人である」という考えのもと、定住人口の拡大に不可欠な住環境の整備の一環として、大和4丁目などの「未利用市有地の売り払い」や「市街化区域の拡大」による住宅用地の確保を進めるなど、社会情勢や時代の流れに対応した人口増加策を、強力に展開してまいります。

 

(主な施策)  
 本年からスタートする「第7期総合計画」では、将来都市像を実現し、このまちに暮らす市民がお互い支えあい、「幸せ」を感じ、「住み良い」と思える活力あるまちづくりを推進することとしており、新たに設定した「7つのまちづくりの基本目標」に沿って、主な施策を申し上げます。

 第1は、『あたたかさとつながりを心で感じられるまち』の推進であります。

 母子保健については、新たに「新生児聴覚検査」に係る費用助成を行うことにより、受診率の向上を図ると共に、難聴児の早期発見、早期療育などの重要性を周知し、適切な支援に努めてまいります。

 乳幼児期の教育・保育施設については、幼稚園3か所が幼稚園型認定こども園に移行するほか、幼保連携型認定こども園1か所の新築移転などにより、保育定員の拡大を図ってまいります。

 市が運営する児童館・学童クラブについては、運営業務の一部を専門性の高い民間事業者へ委託し、より良質なサービスの提供に努めるとともに、児童の安全で安心な居場所と子育て世帯への支援の場の質的向上を図ってまいります。

 みどり台地区の児童の居場所と地域の子育て支援拠点の確保については、「みどり台小学校」の令和4年4月の開校に合わせて開設できるよう、「(仮称)みどり台地区児童センター」の建設に着手します。

 第2は、『豊かな自然を育み快適で住みよいまち』の推進であります。

環境の保全については、令和3年度を始期とする「第3次千歳市環境基本計画」に基づき、地球温暖化をはじめとした環境問題への対応や、環境意識の醸成などを通じて、良好な環境を維持していくため、本市の環境行政を計画的に進めてまいります。

 ごみ処理については、引き続き、本市を含む2市4町で構成する道央廃棄物処理組合において、安全で環境に配慮した焼却施設の建設工事を進め、廃棄物の減量とリサイクルの推進に努めてまいります。

 在日米軍再編に係る訓練移転やオーストラリアとの共同訓練については、日米地位協定や2国間の合意に基づき実施され、これまで事件・事故なく円滑に行われていますが、引き続き、国や北海道等と連携し、市民生活の安全と安心の確保を図ってまいります。

 航空機騒音に対する住宅防音工事の促進については、予算の確保や対象範囲の拡大など、制度の拡充を国に対し強く要望してまいります。

 第3は、『災害や危険から暮らしを守るまち』の推進であります。

 防災については、コロナ禍における災害の発生に備え、市民等が行う訓練への支援や自主防災組織の結成・育成に取り組み、自助・共助による防災活動を促進するとともに、防災関係機関等との連携を深めるなど、公助の強化に努めてまいります。

 消防については、日常の消防・救急活動のほか、地震や風水害等、大規模化する自然災害に対応するため、消防施設等の更新整備を行うほか、本市を含む6消防本部で進めている「札幌圏消防通信指令業務の共同運用」に関して、令和7年度の運用開始に向けた実施設計に着手します。
 また、災害発生時等の初動活動における緊急車両や公用車のほか、避難所における発電機などに必要な燃料を確実に供給するため、自家給油取扱所の更新整備を進めてまいります。

 第4は、『充実した学びと豊かな文化・スポーツのまち』の推進であります。

 学校環境の整備については、分離新設校となる「みどり台小学校」の令和4年4月開校に向け、校舎と講堂等の整備を進めてまいります。
 小中学校におけるICT環境の整備については、教育情報機器整備基金を新たに設置し、計画的な整備・更新に取り組んでまいります。

 公立千歳科学技術大学については、学生の「主体性・多様性・協調性」を育成するため、「グループワーク」等の実施が可能となる場を設置するほか、情報系教育と研究体制の強化を目的に、令和4年4月の供用開始に向け、校舎増築事業を進めてまいります。

 文化財については、国指定史跡「キウス周堤墓群」の整備基本計画を策定するとともに、縄文遺跡群世界遺産登録推進本部や関係自治体などと連携し、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界文化遺産登録の実現と、登録後を見据えた取組を進めます。

 アイヌ施策については、新たに、伝承活動の担い手の育成や、サケ漁に使用する丸木舟の制作、国有林野における資源量の調査を地域計画に盛り込み、アイヌの知識や技術の確実な継承に努めてまいります。

 第5は、『地の利と資源を生かした産業のまち』の推進であります。

 農業振興については、新たな「千歳市農業振興計画(第4次)」に基づき、農業の体質強化に向けた経営安定対策や、担い手の育成・確保などの取組を進めてまいります。

 商工業の振興については、商工会議所等と連携し、融資制度や各種助成制度の活用を促進するとともに、起業、事業継続等の支援により、中小企業の経営安定化を図ってまいります。

 観光振興については、ウィズコロナ時代に求められる新しい生活様式に対応したニーズを踏まえ、本市が持つ様々な観光特性や交通利便性を活かしたワーケーションなどの新しい取組を、観光事業者や関係機関と連携して進めてまいります。

 第6は、『暮らしやすく便利な都市基盤があるまち』の推進であります。

 中心市街地の賑わい促進については、賑わいや市民の憩い・交流の場を創出するため、中心市街地エリアをマネジメントするためのプラットフォームを組織し、魅力ある「まちの顔」として活性化に取り組んでまいります。

 新千歳空港については、令和8年に千歳飛行場開設から100年を迎えることから、記念すべき100年に向けた機運を醸成するため、令和3年度中に準備組織を立ち上げ、記念事業の在り方や「北海第1号機」の活用についての検討を進めてまいります。

 交通政策については、引き続き、安全で快適な千歳駅周辺の再整備に向け、西口広場の実施設計に着手するとともに、持続可能な地域公共交通を確保するため、令和4年度を始期とする「千歳市地域公共交通計画」を策定します。

 道路整備については、老朽化が進む幹線道路や生活道路における舗装の改修工事を着実に推進するとともに、突発的な陥没事故の未然防止に向けた路面下空洞化調査を進めてまいります。

 橋梁の長寿命化については、支笏湖のシンボルであり、経済産業省の「近代化産業遺産」、土木学会の「選奨土木遺産」などに認定された、道内に現存する最古の鋼橋であり、貴重な財産である山線鉄橋などの改修を進めてまいります。

 千歳川流域の治水対策については、国や関係自治体が連携して「総合的な流域治水」に取り組むとともに、引き続き、国に対し、千歳川などの「堤防整備」の促進を要望してまいります。

 公園緑地の整備については、林東公園や青葉公園などにおいて、市民ニーズを反映した施設の改修や更新を行うとともに、自然環境との調和を図りながら、安全で安心な公園整備を進めてまいります。

 上下水道事業については、引き続き、施設の適切な維持・修繕と計画的な更新を行うほか、避難所や病院等の重要給水施設への配水管路の耐震化、川北商業地区における合流式下水道の改善や、緊急輸送路に設置している下水道マンホールの地震対策などの事業を実施してまいります。

 第7は、『多彩な市民とオール千歳で挑戦するまち』の推進であります

 市民参加のまちづくりについては、広報ちとせをはじめ、多様な媒体・手法により市政情報の提供を図り、市民の関心を高めるとともに、市長への手紙・ポスト等、様々な機会を通じて市民の意向を把握し、市政への反映に努めてまいります。

 行政改革の推進については、非常時における業務継続に資する「リモートアクセス」や「Web会議」の利用環境の整備を進めてまいります。
 また、令和3年度中に市内における光ファイバ未整備地域の整備を完了し、市内居住世帯全域でデジタル化の基盤である、光ファイバによるインターネットサービスを活用できる環境整備を目指してまいります。

 

(新年度の予算)
 次に、新年度の予算について申し上げます。
 令和3年度の予算編成に当たっては、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受け、「歳入に見合った歳出」と「限られた財源による最大の効果」を念頭に、より一層の「選択と集中」を意識して取り組んでまいりました。

 これにより、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止対策や、新しい生活様式への対応のほか、第7期総合計画における将来都市像の実現に向け、将来人口10万人を目指した人口増加策を「優先課題推進枠」と位置付けて予算の重点化を行い、「新たな生活、新たなまちへの"新時代"予算」として編成したものであります。

 新型コロナウイルス感染症に関する予算の考え方でありますが、令和3年度当初予算では、1年間の基本的な感染防止対策を中心に措置し、今年度の補正予算で措置したワクチン接種などの予算と一体的な編成とすることで、切れ目なく対応してまいります。
 今後、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策や経済対策などが必要となった時点で、補正予算により、きめ細やかに、迅速かつ機動的に対応してまいります。

 また、市税等は、大幅な減少となりましたが、安定した市民生活と市内経済の活力を維持するため、工事請負費などは、国庫支出金などの財源を活用し、大幅な増加としています。

 この結果、一般会計の予算総額を、498億889万4千円とし、前年度予算と比べ、2億623万6千円、0.4パーセントの増加としています。
 また、一般会計に6特別会計を含めた7会計の総額では、649億574万4千円となり、これに公営企業会計を加えた総体では815億7,166万円の規模で編成したところであります。

 なお、予算の細部については、別に「令和3年度千歳市各会計予算大綱」の中でご説明申し上げます。

 

(むすび)
 以上、新年度の市政運営と施策の大綱について申し上げました。

 本市は「優れた交通アクセス」を持ち、「新千歳空港」や「日本有数の防衛施設」のほか、「多くの立地企業」や「支笏湖を代表とする豊富な観光資源」など、様々な分野で北海道をリードする資源や特性を有し、魅力あふれるまちであります。

 今後は、この魅力を最大限に発揮し、市内外に対し積極的に発信することで、"活力ある、選ばれるまち"として「第7期総合計画」に掲げた将来都市像の実現を目指すとともに、本市が持つ魅力や輝きが後世にわたって引き継がれ、千歳市民の皆様が「幸せ」や「誇り」を持っていただけるよう、また、市内外の多くの人が本市に興味を持ち、一人でも多くの「千歳ファン」に応援していただけるよう、創造力あふれるダイナミックなまちづくりの展開に、誠心誠意努めてまいります。

 市民並びに議員各位のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。

 

 

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